シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ジョンソン&ジョンソンとデルタ変異株

デルタ変異種が米国のCOVIDの主役に躍り出て以来、ワクチン未接種の人の不安はもちろんだが、ワクチン接種済みの人の不安も煽られている。

もちろん、ワクチン懐疑派の未接種の人々の70%はデルタ株の脅威は大げさに報道されていると主張しているそうなので、彼らの不安はあおられていないようだが、一年間で繰り返し聞いたことのあるようなこの話には、今日は触れない。今日はワクチン接種済みの人の間で広がる不安についての話だ。

先月の初めに「Delta (デルタ)ってなんだ? 」で書いたように、ファイザーはデルタ株に対しても88%に近い有効率を発表している。モデルナはまだ公式に発表されていないかもしれないが、ファイザーと同じmRNA技術を使用していることから、その有効性はファイザーとほぼ同じと考えることができる。さて、米国で上記の2つのワクチン以外に接種されているのはジョンソン&ジョンソンだ。

この日記でも紹介されたが、ジョンソン&ジョンソンはファイザーやモデルナに比べるとその有効率が若干落ちるが、接種が 1 回ですむことや、保管方法が容易なことから、ポータブルで非常に扱いやすいワクチンとして、その価値は多いに評価されている。しかしながら、この若干の有効率の低さ、低いといっても70%は超えているのだが、それを気にする人は結構多くて、もし選択できるのであれば、ファイザーやモデルナを接種したいと、5月に悩んだ人は結構いたと思う。今はワクチンの選択が可能はほど米国にワクチンは普及したが、大人たちにワクチン接種が解禁され、多くの人が一刻も争ってワクチンを接種しようとした5月の時点では、まだ、どのワクチンを接種するかはくじ引きのような感じだったのだ。

さて、このジョンソン&ジョンソン、当然ながらデルタ株に対してどのくらいの有効率なのかが注目されている。私の知る限りではまだ公式発表はされていないのだが、同じ技術によって作られているアストラゼネカが、案の定ファイザーやモデルナよりも低めの有効率をだしているため、ジョンソン&ジョンソンもそれ位の数値を出すのではないかと考えらえられている。アストラゼネカは、その開発国である英国がデルタ株に襲われワクチン接種者の中から相当数の感染者を出しているため、この情報がジョンソン&ジョンソンのワクチンの接種者の不安の根拠となっている。

これらの背景から生まれてきた考え方が、アストラゼネカまたはジョンソン&ジョンソンのワクチン接種者は、ファイザーやモデルナをブースターとして接種すれば、より安全なのではないかという考え方だ。この主張は医療関係者の中でもわりと強いようで、医者によっては、ジョンソン&ジョンソンを接種済みの患者に、今なら誰でもすぐにファイザーを打てる状況であるため、ファイザーを打ってこいと推奨する医者もいるということだ。

これに対してCDCを含め専門家たちは、現時点では、この考え方を肯定していない。むしろ、ジョンソン&ジョンソンのデルタ株に対する有効率は十分によいと考えらえるし、感染したとしても軽症ですむのであれば、現時点でブースターショットの必要性はないとしている。

では、必要性あるなしはおいておいて、このように2種類以上のワクチンを混ぜて接種することに、リスクはあるかどうかという疑問が湧き上がってくると思うのだが、これに関しては専門家はいまだ調査中で結果を待たねばならないそうだ。現時点では、「追いワクチン」としてファイザーを接種することが、重大な問題を引き起こす可能性や例は報告されていない。

ちなみに、米国では接種されていないアストラゼネカに関しては、米国の隣国のカナダでは 2 回の接種のうち、1回目がアストラセネカの人は、2 回目をファイザーまたはモデルナにするという混ぜこぜ接種がすでに推奨されている。しかし、カナダが推奨しているのはあくまでも、2回接種のうちの1回をファイザーかモデルナにするというもので、1回で接種が終了するジョンソン&ジョンソンの後に、さらにファイザーやモデルナを接種するというのは、また一味違う。

誤解しないようにしなくてはいけないのは、これを読んで、ジョンソン&ジョンソンがデルタ株に対して効かないのではと青くなる必要はないということだ。前の日記にも書いたけれど、ワクチンはそもそも感染しなくなる魔法の薬ではなく、ウィルスが体に取り込まれたとしても訓練された免疫が戦ってくれるために重症化しなくなるという戦略のために開発されているのであり、テストで陽性となり新規感染者として数えられたからといって、ワクチン未接種者と同じようにレベルで危険な状態にいるわけでない。

そう考えると、不安にかられ慌てて、いまだ研究結果の出ていないジョンソン&ジョンソン+ファイザー・モデルナという形のブースターショットを自己判断で接種するよりも、CDCや専門家たちが正式に必要であると判断するまでは、ジョンソン&ジョンソンの接種者はあまり心配しすぎず、待機していたほうがよいような気がする。

重要なのは、引き続き信頼できるソースからの情報を取得することだ。

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独立記念日の週末

今週末は祝日の中でも特に米国民が愛する独立記念日が日曜日の週末で、月曜日を振替休日にするところも多く連休となる企業が多い。ワクチンのおかげで新規感染者が激減している米国は、いよいよ本格的にレジャーが始動し始め、あちらこちらに旅行に出かける人々で空港は混雑しているそうだ。

ちなみに、私が知っているだけでも3家族が飛行機で旅行をしているし、向かいに住んでいる夫婦も大きなスーツケースをゴロゴロしながら出かけて行くのを見かけた。ワクチンの接種と共に米国は急激にパンデミック前の暮らしに戻りつつある。

戻りつつあるどころか、パンデミックの間に使うことのできなかった資金が滞留している人々は、ここぞとばかりに豪華なバケーションに出かけたり、買い物や食事に出かけたりしているために、米国経済は大ブーム中だ。資金が余っているのならば貯金すればいいと思うのだが、多くの米国の人にとって、余ったお金は使うものなのだ。とにかくいろんなものが売れているらしくて、車に至っては需要が供給を追い越し、去年購入した車であれば、新中古として新車と同じ値段、希少なモデルであればむしろ新車以上の値段でうれるという不思議な現象までおきている。

ただし、独立記念日の風物詩である花火は、去年に引き続き今年もキャンセルされているものが多い。シリコンバレーのあるベイエリアでも、毎年恒例の多くの花火大会がキャンセルされているが、ごく一部が開催されるようで、そちらのほうは相当な人手と混雑が予想されている。独立記念日といえば、「カリフォルニア→個人があげる違法花火→火災」という方程式はカリフォルニアが抱える問題の一つだが、こちらについては姉妹ブログのほうで書くことにしたいと思う。

さて、これだけのレジャー花盛りの米国なので、当然ながら感染拡大の不安がゼロであるといったらそれは嘘か、無知のどちらかだ。確かに、すでにワクチン接種済みの人たちにとっては、自分が感染する確率はゼロに近い。しかし、12歳以下の子供を含めワクチンを接種していない人は、相変わらず、というかむしろ以前よりも感染するリスクは高くなっているかもしれない。なぜなら、多くの人々が混雑した場所でマスクをしなくなったからだ。

今や食料品の買い物にいっても半分ぐらいの人はマスクをしていない。客も店員もしていたり、していなかったりさまざまである。入店の人数制限もないので、店内は普通に混んでいる。まだショッピングセンターにはいっていないが、たぶん相当な人出だと思う。これを反映して、カリフォルニアの新規感染者数は微増ではあるが増加方向に傾いている。が、これはカリフォルニア再オープンのときから多少の増加は予想されていたので、騒ぐほどのことではない。むしろ、多くの人々にとって、普通の生活に戻るきっかけとなるとこの独立記念日の連休の後、新規感染者がどのように動くのかは注目したほうが良いと思う。連休から2週間、7月15日ぐらいからのデータは注目だ

7月15日ぐらいからもし感染者数が大幅に増えるようなことがあったら、実は私は個人的に困る。なぜなら、いまだ日本へ渡航にはいろいろな規制がある最中、どうしても一時帰国しなくてはいけなくなったからだ。そのころ、米国の感染者が大幅に増えると、ただでさえ面倒な日本入国の手続きがさらに面倒になる可能性がある。

3週間ほどの帰国だが、うち2週間は自主隔離しなくてはならないし、日本入国のためにも米国再入国のためにも、とにかく高額かつ面倒な手続きがいろいろある。自主隔離中はいつもの在宅勤務を日本でするだけだし、隔離解除後の短い期間も必要な用事が多く、楽しい要素はほぼない帰国だ。なので行きたくないのだが、秋から冬にかけて感染の波が高まる可能性や個人的な仕事の予定など考えると、結局今に行くのが一番妥当だという結論に至った。家人はそれぞれ仕事や夏期講習があり、2週間の自主隔離が必要かつ、日本への渡航規制勧告中であるため、どうしても必要のある私個人だけの帰国となる。

その一時帰国に備えて、様々な準備が必要なのと、そんなこととは無関係に仕事が通常モードで忙しいので、日記の更新がまばらになる可能性がある。が、興味深いニュースや一時帰国への必要な手続等の情報などをぼちぼち更新すると思う。

とりあえず今日は国際免許をとってきた。運転する可能性はあまりないが、念のためにである。最も近い国際免許をとれるオフィスに行くと、なんと国際免許作成に必要な台紙がきれていた。つまりそれだけ、国際免許を取得する人が多い、つまり旅行をする人が多いのだろう。驚きつつも別のオフィスまで出向いて、無事取得することができた。

来週は、自主隔離中に通常モードの仕事を遂行するために、持ち込むコンピュータの選別、設定、バックアップをしなくてはならない。普段4台のコンピュータを仕事に応じて切り替えて使っているのだが、どう考えてもその中の2台を連れていく必要があり、それだけでもげんなりしている今日この頃だ。

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デルタ株の台頭でマスク復活か?

6月15日、カリフォルニア再オープンの日、カリフォルニア州政府はワクチン接種済みの人に対するマスク規制を撤廃した。しかし、実はその数日前にWHOはワクチン接種済みの人もマスクを着用し続けるようにという指針を出していた。これはもちろん感染力が半端ないデルタ株の世界での台頭を受けての指針である。

というわけで、カリフォルニアではマスク規制は撤廃されたものの、実際にはワクチン接種済みでもマスクを着用し続けている人は多い。特にシリコンバレーのあるベイエリアでは、大人のワクチン接種率は80%を超えているというのに、公共施設にいる70%ぐらいの人は未だにマスクを着用しているような気がする。

さて、デルタ株の米国での台頭がいよいよ目に見える形になってきた。このデルタ株、前回の日記にも書いたように、ワクチン接種済みの人にも感染するほど感染力が強いと言われている。だからといってパニックになる必要はない。

このワクチンが生まれたときの基本に戻って考えてみれば、最初からこれらのワクチンのゴールは、感染したときに症状を出さない、または重症化させないことであったからだ。ファイザーもモデルナもジョンソンアンドジョンソンも、ワクチンによって感染しなくなるとは一度も言っていない。ワクチンにより免疫がつくので、感染しても十分に戦えると言っていたのだ。むしろ、本人が気づかないうちに感染してウィルスを運ぶ可能性があるというのは、ワクチンが認可されたときから、専門家によって何度も言われてきたことだ。それが、現実世界で接種が進むにつれ、どうやら感染も回避できているらしいという後付のデータにより、感染しない効果もあるらしいとなったのである。

ということは、感染力の強い変異株が台頭することにより、ワクチン接種済みの人でも感染はするというのは、十分に考えられたシナリオであって驚く必要はない。感染しても入院するほど重症化しなければ、ワクチンの目的は十分に果たされているのである。

ただ、ここには一つの問題がある。CDCがワクチン接種者はマスクを外していいと発表したのは、デルタ株が米国に入ってくる前だった。つまり、「ワクチンにより感染もしなくなるらしい」という現実データが主流だったときだ。

ワクチンを接種していてもデルタ株には感染する可能性があるとわかってきた今、「ワクチン接種者=感染拡大に寄与しない」という式は成り立たなくなってしまった。ワクチン接種者は重症化しないが、ウィルスを運ぶ可能性、つまり他の人にウィルスを感染させる可能性があるということになったのである。

となると、感染拡大をコントロールできるのは、やっぱりマスクの着用やソーシャルディスタンスだということになる。では、米国やカリフォルニアが今すぐマスクの再着用規制を出す直すかというと、それはまだわからない。WHOはあくまでも世界的な視点から指針を出している。世界的にデルタ株が広がり、かつ、ワクチン未接種者のほうが断然多い世界コミュニティを考えれば、WHOにとってマスクの着用は当然の指針である。

しかし、例えばベイエリアのような、大人の80%がワクチン接種済みの場所ならどうだろう。お互いにデルタ株を感染しあうような機会があったとしても、ワクチン接種済みの人は、「あ、風邪ひいたな」で終わる可能性が高い。ここで、問題になるのは接種していない残りの20%の人たちだ。彼らはデルタ株が台頭してきた今、非常にリスクが高いところに立つことになった。つまり、 もしデルタ株が主流の感染株となり、それにともない軽傷であれ新規感染者が増えてきたときに、コミュニティはこの20%の人々を守るためにマスクを再着用するかどうかというのが分岐点となる。

実際のところ、現時点で子供はワクチンの接種ができないので、実はこの20%は大人だけの話であり、もし子供もカウントするならば、たぶんカリフォルニアの人口の40%ぐらいはまだワクチンを接種していない。40%はそうとうな規模だ。となると、もしカリフォルニアにデルタ株が蔓延したら、たぶんワクチン接種済みの人にも再びマスク着用規制がでることは十分に考えられる。

すべては今後のデルタ株の動きに依存するのは間違いない。私達は1年半近くマスクをして生活してきたし、今でもまだマスクをしている人たちが半数近くいるカリフォルニアの現状を考えれば、不満はでるだろうけれど、マスク生活に戻るのはそれほど難しくないかもしれない。ただ、ようやくビジネスがオープンして開放感が進んでいるところなので、後退感を感じてショックを受ける人はいるだろう。ショックを受けないように心の準備はしておいたほうがいい。

実はカリフォルニアは恵まれているほうなのだ。州によってはワクチンの接種率が40%にすら満たない州もある。その上、これらの州ではカリフォルニアよりもずっと早くマスクの着用が撤廃されていた。このような地域にデルタ株が蔓延したらと思うと非常に怖い。再び、医療機関が切迫し死者が増加する可能性は十分ある。

結局はマスク規制の進退も、より早い大規模なビジネスの復活も、その鍵はワクチンが握っている。握っているにもかかわらず、米国ではワクチンの接種がとんと進まなくなった。これ以上は、どんなに叫んでもワクチン敬遠派の間に接種者を増やすことはできない感じなので、こうなったら世界中でワクチンを切望している人たちにどんどんワクチンを配って接種してもらって、これ以上の驚異の変異種が生まれないように、世界的にパンデミックを収束するしかないのだろう。

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イスラエルの現状は注目が必要

数日前から注目されているのはイスラエルのデルタ株の現状だ。イスラエルは世界でも最も早くワクチンの接種が行われ、世界のトップを走って規制緩和を行っている。ということは、イスラエルの現状はいつだって、今後の世界のパンデミックの行方を占っているといっても過言ではない。

さて、イスラエルは現時点で国民の約57 %がワクチン接種完了であり、61%が少なくとも1回のワクチンを接種していると言われている。彼らの接種しているワクチンは主に、ファイザーまたはモデルナである。

そのイスラエル、先週まで新規感染者が一桁台であり、これは集団免疫達成できるかと話題になっていたにもかかわらず、今週になって突如新規感染者州が100人に跳ね上がった。その新規感染者の約70%がデルタ株である。そして、そのデルタ株に感染した人々の40%から50%がワクチンの接種者だったというのだから、ワクチン接種により安心を手に入れたと感じている世界中の人達は肩を落としたに違いない。どうやらCOVIDが放った新兵器デルタ株は、これまでのどの変異種よりも感染力が強く、ワクチンという武器ですらねじ伏せる傾向がある。

しかし、心強いデータもある。

確かにワクチン接種済みの人も感染しているが、感染した人が完全に免疫完了済みであったのか、2回のワクチンのうち1回しか受けていない状態だったのかは未だ発表になっていない。ワクチンを1回だけしか接種していない人に対してデルタの攻撃力は非常に高い。今後イスラエルからこの辺りの詳しい情報が必要だ。また、感染者の中でもワクチン接種済みの感染者の症状は、ワクチンを接種していない感染者の症状に比べて軽いのはどうやら間違いないようだ。

ファイザーの場合、デルタ株に対して1回だけ接種の場合の効果は33%だと言われているが、2回接種した後2週間後だと88%だそうだ。確かにデルタ以外の変異株に対しての効果が1回目52%、完全接種後95%に比べれば低くなっているがそれほど大幅に低くなっているわけではない。ただ、2回めの接種を副反応がいやで回避しようと思って受けていない人は、今から走ってワクチンを受けに行ったほうがいいのは間違いなさそうだ。

接種せずに集団免疫を待っているという人たちも多いと言われているが、イスラエルの現状ををみたり、また、現在米国でCOVIDでなくなっている人の99%がワクチンを接種してない人だというニュースを読めば、その賭けはいますぐ降りたほうが良いのではないかと思う。デルタ株の台頭により、接種をしないでいることに対するリスクは劇的に上がっている。

そして、今、米国は夏だ。2020年夏の間の感染は、冬に比べると大したことなかったことを思い出したほうがいい。このまま、冬がやってきたときに、ウィルスが必ず活発化することは、去年のデータが教えてくれている。そのときに、ワクチンを接種している人としていない人の間で、リスクと運命は大きく動くだろう。

イスラエルはワクチン接種者も感染しているといった。しかし同時に、ワクチン接種者のほうがワクチン未接種者にくらべて症状が軽いともいっている。このウィルスは死を招くウィルスだ。イスラエルからのすべての情報が私達にワクチンを接種するべきだと告げている。

前回の日記でも書いたけれど、ワクチン敬遠派の人は、たぶんこれらすべての情報も「でたらめだ」というのだろう。そうなると個人の選択なので、彼らを説得する方法はないのだけれど、せめて彼らの周りの人の接種を妨害するような言動は謹んでほしいとは思う。特に若い人に対して親は影響力は強い。このことを考えると、接種したくてもできない人がいるかもしれない。

ファウチ博士は、デルタ株は脅威だが、「ゲームチェンジャー(ゲームの流れをガラッと変えてしまう人)」ではないと言った。これまでと同様、彼の言葉を信用したい。

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COVIDの死亡者の脳にみられる特徴の研究報告

今週スタンフォード大学から非常に興味深い研究報告がされた。

あまりに興味深いので、この内容は未だに研究段階ではっきりとした結論に達しているわけではないことを最初に断っておきたい。

スタンフォード大学ではCOVIDによる死亡者の脳の組織とそれ以外の原因の死亡者の脳の組織からデータを集め比較研究してみたところ、COVIDの死亡者の脳の組織には、明白な炎症と神経変性の兆候が広範囲に見られることがわかった。しかし、これがウィルスによって引き起こされたかどうかという根拠は見つかっていない。

見つかってはいないが、COVIDによって死亡した患者の脳には明白な炎症と脳のサーキットへの損傷が見られるそうだ。そして、それはアルツハイマーやパーキンソンのような神経変形の病気によって死亡した患者の脳に見られるものとよく似ているという。

このレポートでピンときた人も多いのではないかと思うのだが、PASCまたはロングCOVIDと呼ばれるCOVID感染後の後遺症の症状は、深刻なケースではパーキンソン症候群の症状に似ていると証言している患者や患者の家族はすでに存在している。COVIDの後遺症の症状は多岐に及び、最も特徴的なのは倦怠感や記憶や思考力の低下であるといわれているが、同時に神経系ではないかと思われる症状も多く訴えられている(「PASC ってなんだ?」を参照)。

ここにきてこの研究結果である。もちろんスタンフォード大学もこの発見はPASCの原因や治療法を解明する手がかりになるのではないかと考えている。

しかし、現時点ではCOVIDのウィルスが脳細胞で見つかってはいないので、ウィルスが直接脳細胞に入り込んで影響を与えているとは考えられてはいない。それでは、COVIDの死亡者の脳がアルツハイマーやパーキンソンのような損傷を受けているのはなぜなのか。これは今後の研究課題となっている。

昨日の日記でも指摘したように、PASCまたはロングCOVIDの患者は相当数存在しており、数ヶ月で症状が改善する患者もいれば、一年以上症状が続き、悪化する患者もいる。先日もその病状を苦に自殺者がでている。神経系の病気は、その原因解明や治療が非常に難しく難病とされていることが多いが、もしこの後遺症がアルツハイマーやパーキンソンのような傾向の疾患である可能性があるのであれば、それらの治療法を試すという可能性も広がることを考えられる。これは、現在長期に渡って苦しんでいる患者に一つの可能性を示している。

スタンフォード大学は実際にCOVID後遺症のためのクリニックを新たに新設し、この原因と治療法を研究中であり、この未知の病に苦しむ人々に救済の手を差し伸べることになった。

神経系の病気というのは、他人には非常に理解しにくい症状が多く、ともすれば頑張りがたりないとか、ノイローゼ気味だとか、怠惰なのではという誤解を他人から受けるだけでなく、自分自身にもあてはめ、患者はさらに精神的に追い詰められていくということが珍しくない。COVIDに感染したけれど、若いから大丈夫などと安心していると、思わぬ後遺症に長期間苦しめられる可能性がある。

そのことを考えると、やはり現在パンデミックに打ち勝つための唯一の武器となっているワクチンの接種は非常に重要だ。今日のニュースによれば先月5月に米国内でCOVIDにより入院した人および死亡した人のなんと99%がワクチンの未接種者だった。つまり1%の人はワクチンを接種しても感染したのであるが、これを根拠にワクチンを接種しないというのは馬鹿げている。重傷者の99%がワクチンを接種していなかったということは、ワクチンを接種していれば、彼らの多くは感染を避けられたことが明白に示されているからだ。ここまで、明白なデータがでていても、ワクチン敬遠派の人たちは、これらのデータやニュースもでたらめだと思うのだろうか。そう考えると、とても残念だ。

デルタ株の感染力は非常に高い。そして、重症化の確率も高い。ワクチンを接種したければ接種できるという世界でも貴重な幸運に恵まれた米国の人々が、デルタ株が米国に蔓延する前にできるだけ早くワクチンを接種するという選択をするのを願ってやまない。

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デルタ変異株が米国を襲う

今月の初めにデルタ変異株について紹介したが(「Delta (デルタ)ってなんだ?」を参照)、それから2週間もたたないうちに、米国ではデルタ変異株のニュースがCOVIDのニュースの大半を占めるようになった。それもそのはず、デルタ変異株は、ものすごい勢いでその勢力を伸ばしているからだ。この2週間ですべての感染者に対するデルタ変異株の感染者の割合は10%から20%に伸びた。2週間で倍になるという、その勢いはまったく衰えておらず、今後数週間の間に、米国のCOVIDの過半数はデルタ変異株となり、米国にとってのパンデミックの新しい章が開かれることになる。

前回の日記でも紹介したように、デルタ変異株の特徴は従来のどの変異株をも超える感染力の高さと若年層にまでおよぶ重症化の傾向である。しかし、同時にわかっているように、現在のワクチンはデルタ変異株にも有効であり、特に2回接種する必要のあるワクチンは2回目以降にデルタ変異株に対する有効率が高くなることが知られている。このため、副反応が高くなる2回目の接種をスキップしようとしていた人たちに対して、必ず2回目を接種するようにという呼びかけが高くなってきている。

では、ワクチンが物理的に十分に行き渡っているはずの米国では、デルタ株が台頭してきても心配はいらないのではと思うかもしれないが、実はワクチンは十分にあるにも関わらず、ワクチンの接種が少なくとも一回は終了しているのは米国の大人の65%にすぎない。ワクチンが十分にあっても、頑なに接種を拒否する人々が相当数いるからだ。州によってその傾向は顕著で、カリフォルニア州は大人の73%を超える人々が少なくとも一回ワクチンを接種しているし、中でもここシリコンバレーを含むベイエリアと呼ばれる地域は、接種者が大人の80%を超えており、全米のトップに立ってワクチンの接種を牽引している。が、一方でミシシッピ州のようなワクチン敬遠派が多く暮らす州は、なんと36%しか接種をしていない。

この状態でデルタ株が米国の主流株として蔓延するようになったとき、これらのワクチンの接種率が極端に低い州の感染拡大とそれに伴う重傷者の拡大が、現在非常に心配されている。デルタ株による悲惨な被害は、すでにインドの状況が世界に教えてくれているので、連邦政府は必死にこれらのワクチン敬遠派に対して一日も早くワクチンを接種するように訴えており、ファーストレディーであるジル・バイデンが現地までスピーチに飛んでいるぐらいだ。しかし、これら地方の人々の頑なな意思を変えることができるかどうかは非常に微妙で、米国は数週間後には一部の地域的な感染拡大を迎えるのではないかと言われている。

ちなみに、接種者が大人の80%を超えるワクチン接種率を誇るベイエリアの病院からの報告によると、現在感染して病院に入院している人々の90%以上がワクチン未接種者であるというデータも紹介されており、ワクチンの接種が人々の感染状況を左右しているかが明白になっている。このまま、ワクチン未接種者までも守ることのできる集団免疫の状態を到達できる最初の地域は、全米の中でもここベイエリアであるとすでに囁かれている。

ところで、この80%を超える接種率というのはあくまでも大人の中でという話で、未だワクチンの接種が認められていない12歳以下を数えると、その接種率はベイエリアであっても70%ぐらいまで落ちる。ただ、よく知られているようにあ12歳以下は重症化しにくい傾向があるため心配ではあるが危機的な状況ではないと考えられているわけだが、じゃあ、若ければ重症化しないし感染してもいいのかといえば、最近はそのような考えに対して非常に怖いニュースが出てきている。最近話題になっている後遺症だ。そう、以前の日記でも何度も触れている感染の後遺症PASCまたはロングCOVIDと呼ばれる症状が最近再び注目されている(「PASC ってなんだ? 」を参照)。

PASKは若い人の間でも、、また、特に重症化していない人の間でも発生しており、人によっては数週間で回復するが、人によっては一年以上ろくに起き上がって行動することもできなほど重症化しているケースもあり、時がたつにつれて注目度があがってきている。つい先日、その病状を苦に自殺した患者まで発生している。この後遺症のことを知れば知るほど、若く健康だから感染しても大丈夫だし、むしろ感染により免疫を身につければいいと考えているワクチン敬遠派の人々のことが心配だ。デルタ株が席巻してきたときに、彼らは命を落とすことは少ないかもしれないが後遺症になることはあるかもしれない。

この後遺症、現在治療法は全くない状態た。そもそも、その原因も全くわかっていないのだが、これについて今日、非常位興味深い研究結果が発表になっているので、明日はこれについてレポートしようと思う。

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仕事を辞める人々

米国はワクチンの接種拡大に伴って、本格的に経済が再始動、求人が大量に発生し、雇用市場は完全に売り手市場だ。特にレジャーやレストラン業界は働き手が十分に集まらず四苦八苦している。

そんな折、今年4月中に仕事をやめた人の数、なんと400万人近いというデータが発表された。こんなに沢山の人が一ヶ月間に辞職するのは記録だそうだ。仕事を得た人の数ではなくて、辞めた人の数である。

なんでこんなことが起こるのか、理由はいくつかある。

まず、レジャーやレストラン業界で働く給料が安い労働者たちの場合は、理解しやすい。なにしろ売り手市場なので、少しでも給料がよい仕事を求めて転職するのが背景だ。彼らには同じ雇用主のところでしごとをしていても、役職があがるとか、出世するという可能性はあまりない。それならば、雇用主のところに長くとどまる理由はなく、少しでも多くの給料を払ってくれる職場を求めて仕事を辞めるのは、誰もが納得するところだ。この流れに伴い、現在、レジャー、レストラン産業では、賃金の上昇傾向が顕著である。

しかし、これだけが辞職者400万人の理由ではない。

こちらも予想できるものだと思うのだが、長いロックダウンの間に出社せずに働いていた労働者が、出社を求められたタイミング、または、出社をはじめてすぐに辞職するというケースだ。そもそも、出社しなくて良くなった時点で、職場から遠くに引っ越した労働者もいれば、身軽な人々の中には、なんと車を改造して、仕事をしながら米国をロード・トリップし続けている強者もいる。このような人々は当然ながら、出社しろと言われたタイミングで、仕事をやめる選択をする人は多い。では、引っ越しもせず、ロードトリップにも行かなかった人はどうだろう。もちろん、素直に出社生活に戻った人もいるだろう。が、1年以上に及ぶ長い自宅勤務生活の中で、より多くの自由な時間を手に入れた労働者の中には、これまでやりたくてもできなかった趣味や活動に時間を費やす生活を手に入れ、それを手放せなくなった人も多い。再出社を始めても、かつては普通だと思っていた生活、つまりオフィスに束縛されて、気が向いた時にジョギングや犬の散歩にも行けず、通勤時間に2時間も無駄な時間を費やすような生活に耐えられずに辞職する。彼らは、自宅勤務を認めてくれる企業や、趣味を活かせる仕事を探そうとしている。

そして、さらに興味深いケースは、パンデミック中に会社の労働者への対応をみて、会社が自分の価値を十分に認めていないことに失望した、または、再認識したというものだ。自らの健康事情や家庭の事情により、パンデミック時の働き方に柔軟性をもたせてくれるように要求しても応えてもらえず、会社における自分の価値を認識させられたという人もいれば、通勤時間や社交時間が減った分、インターネットでいろいろリサーチした結果、自分の給料が仕事に対して少なすぎることに気づいてしまった人もいる。これらの人々は、パンデミックがなくても、いずれはその仕事をやめていた可能性が高いのだが、パンデミックにより肩を押されたケースだろう。

パンデミックは、パンデミック前の忙しさの中で見落とされてきた様々な視点を可視化する社会現象となった。代表的なのは、雇用主と労働者の関係を浮き彫りにしたこと。つまり雇用主が個々の労働者を大切に考えているかがわかりやすく可視化された。そして、もう一つは、生きる時に何が一番の価値があるかを考える時間を人々に与えたことだ。

仕事に忙しくしていたときは、大勢の人々が目まぐるしく働くオフィスの中で達成感や充実感などで溢れ、同僚との情報交換や社交にも忙しかった。自分の会社への貢献が自負になるし、自分の価値を肌で感じることができただろう。

しかし、パンデミックで自宅勤務になった人々は、家族に囲まれた環境で、または、一人だけの環境で、同僚との社交もなく通勤もなく余った時間で、これまでにくらべてずっと柔軟な環境で、自分の本当にしたいことをする時間というのものを持つようになった。そして、気づいてしまったのだ。自分が生きるのに一番大切なのは仕事じゃない。

そして、これを機に、やりたかったことや、やってみたかったことをしてみようと思った人もいれば、仕事は生きるための手段にして、もっと自分のやりたいことに時間を費やす生活体制に変えようと思った人もいる。とにかく、これまでの仕事中心の生活に戻らないと決めた人がたくさんいる。そして、このような人たちをパンデミック前の精神構造に戻すことは難しい。

多くの企業がこの変化を肌で感じているだろう。未だに多くの企業は労働者をオフィスに戻していない。戻したとしても希望者だけとか、週に数日だけとか、一部でしかない。そして、徐々に出勤する人数も日数も増えていくだろうけれど、人々の精神構造が元の状態にはもどらないように、週5日出勤するような元の労働体制にはもうもどらないだろうといわれている。

どうやら、パンデミックは米国社会の価値観に始まり、その精神構造および社会構造の土台に大きな地殻変動を起こしたのは間違いないようだ。

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