イスラエルの現状は注目が必要
数日前から注目されているのはイスラエルのデルタ株の現状だ。イスラエルは世界でも最も早くワクチンの接種が行われ、世界のトップを走って規制緩和を行っている。ということは、イスラエルの現状はいつだって、今後の世界のパンデミックの行方を占っているといっても過言ではない。
さて、イスラエルは現時点で国民の約57 %がワクチン接種完了であり、61%が少なくとも1回のワクチンを接種していると言われている。彼らの接種しているワクチンは主に、ファイザーまたはモデルナである。
そのイスラエル、先週まで新規感染者が一桁台であり、これは集団免疫達成できるかと話題になっていたにもかかわらず、今週になって突如新規感染者州が100人に跳ね上がった。その新規感染者の約70%がデルタ株である。そして、そのデルタ株に感染した人々の40%から50%がワクチンの接種者だったというのだから、ワクチン接種により安心を手に入れたと感じている世界中の人達は肩を落としたに違いない。どうやらCOVIDが放った新兵器デルタ株は、これまでのどの変異種よりも感染力が強く、ワクチンという武器ですらねじ伏せる傾向がある。
しかし、心強いデータもある。
確かにワクチン接種済みの人も感染しているが、感染した人が完全に免疫完了済みであったのか、2回のワクチンのうち1回しか受けていない状態だったのかは未だ発表になっていない。ワクチンを1回だけしか接種していない人に対してデルタの攻撃力は非常に高い。今後イスラエルからこの辺りの詳しい情報が必要だ。また、感染者の中でもワクチン接種済みの感染者の症状は、ワクチンを接種していない感染者の症状に比べて軽いのはどうやら間違いないようだ。
ファイザーの場合、デルタ株に対して1回だけ接種の場合の効果は33%だと言われているが、2回接種した後2週間後だと88%だそうだ。確かにデルタ以外の変異株に対しての効果が1回目52%、完全接種後95%に比べれば低くなっているがそれほど大幅に低くなっているわけではない。ただ、2回めの接種を副反応がいやで回避しようと思って受けていない人は、今から走ってワクチンを受けに行ったほうがいいのは間違いなさそうだ。
接種せずに集団免疫を待っているという人たちも多いと言われているが、イスラエルの現状ををみたり、また、現在米国でCOVIDでなくなっている人の99%がワクチンを接種してない人だというニュースを読めば、その賭けはいますぐ降りたほうが良いのではないかと思う。デルタ株の台頭により、接種をしないでいることに対するリスクは劇的に上がっている。
そして、今、米国は夏だ。2020年夏の間の感染は、冬に比べると大したことなかったことを思い出したほうがいい。このまま、冬がやってきたときに、ウィルスが必ず活発化することは、去年のデータが教えてくれている。そのときに、ワクチンを接種している人としていない人の間で、リスクと運命は大きく動くだろう。
イスラエルはワクチン接種者も感染しているといった。しかし同時に、ワクチン接種者のほうがワクチン未接種者にくらべて症状が軽いともいっている。このウィルスは死を招くウィルスだ。イスラエルからのすべての情報が私達にワクチンを接種するべきだと告げている。
前回の日記でも書いたけれど、ワクチン敬遠派の人は、たぶんこれらすべての情報も「でたらめだ」というのだろう。そうなると個人の選択なので、彼らを説得する方法はないのだけれど、せめて彼らの周りの人の接種を妨害するような言動は謹んでほしいとは思う。特に若い人に対して親は影響力は強い。このことを考えると、接種したくてもできない人がいるかもしれない。
ファウチ博士は、デルタ株は脅威だが、「ゲームチェンジャー(ゲームの流れをガラッと変えてしまう人)」ではないと言った。これまでと同様、彼の言葉を信用したい。