シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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日本入国時検査証明書を入手

前に日記にも書いたけれど、日本に3週間ほど行くことになって、その準備を徐々に進めてきたのだが、いよいよ出発を2日後にひかえ、出国前72時間以内に検査を受けて、COVID陰性のテスト結果を日本の政府指定のフォームを使って署名してもらうという、一番面倒なプロセスにとりかかった。

ここシリコンバレーでは、たくさんの日本人が面倒なルールに従い頑張って日本への入国を果たしているため、いろいろな情報が出回っていて、COVIDテストをうけられるサイトも実に多岐に渡っている。興味深いのは、保険でカバーされる無料検査サイトもあれば、150ドル前後の料金をとる検査サイトもある。また、無料サイトの中でもすぐに結果が出るところから、いつでるかわからないところがある。有料サイトのなかにも、日本のフォームを発行してくれるところもあれば、発行してくれないところもある。選択肢は実に多岐にわたり、もう、どこに頼めば一番信頼でき、かつリーゾナブルなのか迷うばかりである。

よって、知り合いが利用して入国を果たした方法が一番確実と思い、130ドルでテストを受けて、テスト結果を翌日に渡してくれることを保証しているテストサイトを予約した。で、そのテスト結果を元に日本人の医師のオフィスで日本語フォーマットにしてくれる有料サービスも予約した。若干割高っぽく二度手間感がある方法なのだが、確実なのがいいかと思ったのだ。しかし、テストをする前日になって、別の知り合いから魅力的な情報をもらった。

CityHealth という団体がカリフォルニアの10都市で、保険でカバーしてくれるテストをやってくれるのだが、なんと結果がほぼ当日にでるというのだ。通常、結果が翌日というところが多い中、これは珍しい。もちろん、ウェブサイトには当日とは書いていない。24時間以内と書いてあるわけだが、実際はそれよりも早く数時間で結果をだしてくれているらしい。保険カバーによりテスト料金は無料になる。

その上、なんと25ドルを払えば、様々な国のドキュメントで出してくれるというのだ。つまり日本人医師ののところにもっていって書き直して貰う必要もない。「それほんと?」というくらい魅力的なオプションなのだ。しかし、私にとっては情報の段階で、知り合いが使ったことがあるわけでもなく、「だいじょうぶかいな」と一瞬躊躇した。

悩んだ挙げ句、ま、やってみてだめなら、オリジナルの方法でやり直せばいいか。結果はすぐ出るらしいし、25ドル損するだけだしということでチャレンジすることにした。幸いオリジナルのテストは、まだ予約時間変更もキャンセルもできる状態だったので、とりあえずキャンセルをして、先に CityHealth で予約をとることにした。

CityHealth の予約は至って簡単で、ウェブサイトでちゃっちゃと予約、国際ドキュメント料金$25ドルは、予約時に申し込めばクレジットカードで支払われる。この予約のときに、身分証明の運転免許証も、保険のカードも写真をとって登録するために、実際のテストサイトではこの辺の手間が省かれていてとてもスムースだった。

さて、当日、ドライブスルーのテント会場に行くと、なんと隣のテントが、ついさっきキャンセルしたテストサイトだった。つまりこの2つの並んだテント群、同じことをして、片方は保険カバーで無料、片方は自費で130ドルだという。そして、そのどちらにも結構人が並んでいる。不思議だ。でも、不思議じゃない。なぜなら、私ももう少しで130ドルのほうに並んでいるところだったのだ。

さて、無料の方のテントに車で並ぶと、停車したタイミングで係の人がタブレット片手にやってきて窓越しに登録をしてくれる。このタイミングで日本のフォーマットが必要であることを強調。印刷して持ってきてあったので渡そうとしたら、日本のフォーマットは用意してあるのがあるからいらないという。えらい用意がいい。しかし、時間によってはフォーマットを受け取る場合もあるらしいので、念の為に用意していくのがおすすめだ。

で、次のストップで車に乗ったまま問診。これもさっさと終了して、最後のストップで車に乗ったまま検査なのだが、普通のスワブを持った検査員が近づいてきたところで、受付のお兄さんが最初のテントから走ってきて、「その人行き先日本だから、それじゃないよ!長い方のスワブ!」と検査員に指摘してくれた。えらいしっかりしてる。

で、20分もしないうちにすべてのプロセスが終了した。最後の検査員に結果はPDFで送ると言われたので、へー簡単だったな、安くて素晴らしいと、鼻歌歌いながら帰ってきたら、1時間もしないうちにテスト結果がメールでやってきた。「早い!」と思って開けてみると、普通の英語のみテスト結果である。「日本語フォーマットはどうなった!」

カスタマーケアに電話をして事情を説明するのだが、何だが要領が悪くて全然話が通じない。もう、テストサイトに行って確認したほうが早いと電話をそうそうに切って、テストサイトに戻ること、車で15分。再びドライブスルーに入って、受付のお姉さんに事情を話すと、お姉さんはテントのほうにトコトコ去っていき、すぐに紙をもって帰ってきた。なんとテスト結果はすでにテストサイトに鎮座して私を待っていたらしい。それも、ちゃんと日本語フォーマットで。

答え合わせをすると、そもそも、日本のフォーマットでほしいときは、テストの数時間後にテストサイトに取りに来なくてはいけないプロセスだったらしい。その部分を、係員が言い忘れたのか、私が聞き落としたのか、ただ普通のテスト結果がPDFで送られてくるところだけはしっかり伝わっていて、誤解が生じていたのであった。

そして、これに関して電話のカスタマーケアはまったく助けにならなかった。日本語のフォーマットで結果などは出せないと言い張っていた。結局は自己判断で、テストサイトにもどったのが正解だった。テストサイトの人たちはなかなかプロフェッショナルだったし。でも電話のカスタマーケアがイマイチなのは米国の掟のようなものなので、全体的には合格だ。

というわけで、オリジナル計画では200ドル近く払って2日作業だったはずの検査証明書が、25ドルで2時間で手に入った。検査証明書が手に入ると一気に気が楽になる。これで明日は書類のことは気にせず、普通に仕事と旅の準備に集中できるというものだ。

総合的には CityHealth はおすすめだが、気をつけたほうがいいのは、いつ日本のドキュメントを取りに来ればいいか確認すること、また、彼らは日本のフォーマットに慣れているわけではないので(一応英語も併記されているのだが)、記載漏れや間違いには気をつけたほうがいいと思う。日本の医師に頼むよりも間違いはありうるので、検査証明書をもらったときは必ずその場で内容を確認して、漏れがないことを再確認してからその場を去るようにしたほうが良いと思う。

さて、現在、日本は感染拡大に勢いがついてしまっているようだ。シリコンバレーも同様に新規感染者数が伸びている。そして、以前日記に書いたように英国はものすごい数の新規感染者をだしつつ、今日から規制の完全撤廃に突入だ。

ワクチンの効果は疑っていない。ただ、ワクチンを摂取していない人々の存在やブレイクスルー感染のことを考えると、どこまで入院者数を食い止めることができるのかが医療崩壊を回避するためにとても重要となる。今後の注目データは新規感染者数よりも、新規入院者数と医療設備の可用性になると思う。

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マスク早くも復活す

シリコンバレーの属するカリフォルニア州ベイエリアの7つの郡が共同で、ワクチンの接種とは無関係にマスクの室内着用を強く推奨する声明をだした。昨日ロサンゼルスでは、マスクの室内着用が義務づけられたのを追った素早い処置だが、まだ強制ではない。これはロサンゼルス郡よりもベイエリアの郡のワクチン接種率が高いことが根拠になっているのだと思う。

全米を通して、デルタ株が大暴れだ。春から初夏の間すっかり息をひそめ、新規感染者も死者も減り続けてきた米国だが、その減少した分をデルタ株があっというまに飲み込んでしまいそうな勢いである。新規感染者は先週よりも70%増加、入院者も死者も増えてきている。そして象徴的なのは、新規感染者の97%がワクチン未接種者であるということだ。

これを反映して、全米的に感染が拡大しているとはいえ、大幅な拡大を見せているのはワクチンの接種率が低い州で、この関連性は非常に明白になっている。裏を返せば、ワクチンの接種者は今回の感染拡大もあまり心配しなくてもよいということになるが、未だに全国民の半分ぐらいしかワクチンを接種していないことを考えれば、ワクチン未接種者のパンデミックが発生してしまうのも無理はない。

米国は幸運なことに、12歳以上の全国民に十分いきわたるだけのワクチンを確保している。が、ワクチンを接種しないと心に決めた人たちに接種させるのはとても難しい。そうこうしている間に、デルタ株により感染者数がどんどんあがっているという状況だ。

心配されているのは、ワクチンの接種率が低い州や地方では、このまま入院者数が増えると、医療機関を圧迫し、それが死者の増加を引き起こすことだ。これらの死は避けられる死であり、必然性のない死であるのに、それでもワクチンを接種しない人を説得することができない。

そこでとうとう、あちらこちらの地域で、ワクチン未接種者を守るために、ワクチン接種者も含め全員がマスクをする規制に戻すという動きが始まった。全員がマスクをすることにすれば、これまでと同様、感染拡大を大幅に抑えることができる。ワクチン接種者はマスクをしなくても感染する確率は低いし、感染を引き起こす確率も低いのだが、ワクチン接種者のみマスクを外してよいという現在のルールでは、ワクチン未接種者がルール違反でマスクを外していても誰にもわからない。

いっそのこと全員マスクをすることにすれば、ワクチン未接種者もしぶしぶながらマスクをするので、感染を食い止めることができるのだ。

現在COVIDと戦うための有効な武器は2つ。1つはワクチン。もう1つはマスクだ。そして大変残念なことに、米国ではこれらの一方の武器を拒否するグループは、もう一方の武器を拒否するグループと、ほぼ同じ人々が所属しているのだ。そうなると、ワクチン未接種者の間の感染拡大を食い止めるには、ワクチンを接種した人々も協力してマスクをする社会に戻すしかない。

ワクチンをしないのも、マスクをしないのも、彼らの勝手だし自由だから、放っておけばよいという考え方もある。しかし、そうしておくと、医療機関が圧迫されることで不必要な死が増えたり、ワクチンを接種できない12歳以下の子供たちのリスクがあがってしまう。よって、彼らを放っておくことはできないのだ。

本当にどうすれば、ワクチン敬遠者たちの協力を得ることができるのか。多くのワクチン接種済みの米国の住民は、深い深いため息をついてニュースをみている。

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英国大きく賭けに出る

現在ウィンブルドンを満席近く観客を導入して開催してる英国だが、今日の新規感染者数はなんと3万4千人超である。にもかかわらず、英国は5日後の19日には、ウィンブルドンだけではなく、すべてのCOVID関係の規制を撤廃し「普通」の生活に戻る予定だ。

この英国の方策の根拠は、英国のワクチン接種者が50%を超えた現在、6月の初頭から新規感染者が増え続けているにも関わらず、1日当たりの死者数がほぼ変わっていないことにある。つまり、ワクチンを接種したおかげで、新規感染者が増えても死亡者が増えないので、COVIDを「死に至る危険な病」とはみなさないでパンデミック前の生活に戻ろうというのがその意図らしい。

確かにこれまでの傾向からいうと、新規感染者が増えてから2週間ないしは3週間後には死者の数が増えていく。が、現在の英国の死者数は、6月初頭から新規感染者が激増しているにもかかわらず、ほとんど増えていない。今週になって微増している感じだ。新規感染が増えだしてからすでに4週間経過していることを考えると、データの動きは明らかにこれまでとは異なる軌跡を描いている。

このデータを根拠に、英国はワクチン接種により、新規感染者と死者の連動を断ち切ったとの判断により、すべての規制撤廃を進める決定をしたらしい。

ちょっと心配なのは、新規入院者数だ。実は英国の新規入院者数は6月15日ぐらいから、新規感染者数を追うように増え続けている。確かに激増しているとはいえないが、着実に増加傾向だ。つまり、亡くなるほどではないが入院するほどの症状を発症する人数は、新規感染者数との連動が断ち切られていない。となると、このまま入院者数が増え続けて医療設備を圧迫するようなことがあれば、それが死者の増加につながるリスクは捨てきれない。ちょっと危ないような気もする。

英国政府は、自信をもって規制撤廃を進めているが、私が英国に住んでいたらナーバスになるかもしれない。いまだに国民の40%近くはワクチンを接種していないという現状を考えれば、このまま規制撤廃により更に新規感染者が増え続ければ、再び死者数が増加するのではないだろうか?また、たとえ死者が増えなかったとしても、入院するほどの症状が出ている人々がいるとなると、後遺症の心配があるのではないだろうか?また、ワクチン未接種の子供たちの感染はだいじょうぶだろうか?

これは、未だどの国も足を踏み入れていない新たなフェーズへの英国の挑戦だ。もちろん、英国にはこの賭けに勝ってほしい。ワクチンの接種割合ではだいたい似たような米国は、今後の英国のデータを十分に参考にしつつ、今後の米国の「COVIDと生きる普通の生活」はどのようにするべきかを決めていくのではないかと思う。

米国は広いので、地域ごとにワクチンの接種割合が大きく異なる。もし、英国でこの作戦が彼らの思惑どおりに運び、彼らの接種率でもCOVIDが恐れる必要のない病であるとわかれば、それよりもはるかに高い接種率を誇るシリコンバレーは非常に安全な場所だと考えることができる。そうなってほしい。が、まだわからない。

しかし、もし反対の結果が出たら、英国は再びロックダウンに戻るかもしれず、その場合は、英国ばかりではなく世界の多くの地域で不安と失望が広がることになるだろう。

今後のパンデミックの出口を占うことになる、英国の一カ月のデータが勝負となる。

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ロサンゼルスで感染が拡大中

今日はロサンゼルスから、感染拡大のニュースだ。今年の初め、全米でも最も厳しい状況にたたされ医療崩壊一歩手前で苦しんだロサンゼルス郡は、ワクチンの接種が始まると時を同じくして急激に新規感染者を減らした。去年からの中でも特にCOVIDにやられ続け、劣等生でありつづけたロサンゼルスは、今年の初めに多くの犠牲をだし、その痛手の上にやっとことで回復に向かい、その後はカリフォルニアでも有数の低感染率をしばらく保っていた。

のだが、6月15日のカリフォルニア再オープンから2週間、その暑い気候からマスクの着用規制がなくなったことに胸をなでおろしたであろうロサンゼル市民たちは、あっというまに新規感染者を増やしだした。今週の新規感染者は先週の165%、昨日までの今週の新規感染者数はすでに839人だ。

このデータに注目だ。その839人の内、ワクチン完全接種済みの人の割合は0.06%であったという。つまり、新規感染者のほとんど全員はワクチン未接種者だったのだ。

ロサンゼルス郡は、先週は10万人につき1.74人であった新規感染者が、今週は3.5人となるなど、ほぼ倍々の状態で感染を拡大している。この状況を受けて、今週、ニューサム州知事は「入院している人々、命を落とした人々、その原因はワクチンを接種していなかったから以外のなにものでもない。」と断言した。

カリフォルニアの州政府や郡の保健局は、民間企業も巻き込んで、大盤振る舞いのクジや特典をつけてまで、ワクチンの接種への協力を声高に呼びかけてきた。それでも、ロサンゼルス郡の約1千万人の人口のうちワクチンを接種したのは460万人ほどだという。つまり、残りの約400万人はワクチン未接種なのである。この規模の人数から考えれば、ワクチン未接種者の間でアウトブレイクが発生しても何ら不思議はないのだ。

今やワクチンをしないという選択は、感染力の強いデルタに感染するリスクを受け止める選択でもある。そして、12才以下の子どもたちは、現時点ではその選択権すらない。より多くの大人たちがワクチンを接種すれば、これ以上の拡大は抑えられ、新たな変異種の誕生を回避し、ワクチンが接種できない子どもたちを守ることもできるのだと、接種しているのを躊躇している大人たちに分かってもらいたい。

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ワクチン接種者は感染拡大に寄与するのか?

昨日のCDCの発表によると、とうとう米国の感染者のうち、デルタ変異株感染者が50%を超えた。今や米国の主流ウィルスはデルタになってしまったとうことだ。現在、英国では感染者の90%がデルタだということだが、米国もその粋に近づいていくのは間違いない。

そんななか、悲観と楽観が混線するのニュースが次々と入ってきている。8月からの新学期に関して、CDCはワクチンを接種している生徒やスタッフは、クラスでマスクを着用する必要はないという指針を出した。が、これに受けて、カリフォルニア州では、CDCの指針に反し、新学期はワクチンを接種していても、生徒とスタッフはマスクの着用を続けるようにという方針を発表した。

デルタ株が、(ワクチン接種者が感染する)ブレイクスルー感染の発生確率を高くしたのはすでに周知の事実だが、接種済みであれば感染しても重症化を防ぐことができることもわかっている。ここでのポイントは、ワクチンを接種している感染者は、はたして感染拡大に寄与するのだろうかという点だ。もしそうならば、接種していない周囲の人のことを考えれば、室内では全員マスクもやむを得ない。実際のところどうなんだろうと、ニュースサーフィンしていたら、またもや新情報を見つけた。

この日記で非常によくでてくる、我らがファウチ博士によると、ワクチン接種者はブレイクスルー感染はする。が、これらの感染者の鼻咽頭から採取されるウィルスの量は、ワクチン未接種者に比べて非常に少ないことがわかっているそうだ。その量の少なさから、ワクチン接種者を介してウィルスがうつる可能性は低いだろうと、ファウチ博士は語ったそうだ。これはちょっと意外だったが、ワクチンを接種していれば、知らない間に自分が感染し、それを他人に感染させる可能性はあまり心配しないでよいらしい。もちろん可能性はゼロではないけれど。

これは、CDCのワクチン接種者はマスクを外しても良いという説に大きな説得力をあたえる。現実的に深刻な問題はワクチンを接種していない人が、接種者と一緒になってマスクを外してしまい、彼らの中でどんどん感染を広めてしまうことだ。米国のワクチン接種率は、子供も含めた全体に対しては50%に満たないことを考えると、まだまだアウトブレイクの可能性は高い。実際、現在の米国の感染のホットスポットと呼ばれている場所は、そのほとんどがワクチンの接種確率が極端に低いところで、その傾向は非常に明白にデータに出ている。

明白に出ているのだが、同時にこのホットスポットデータには納得のいかないところもある。例えば、シリコンバレーの2つ隣の郡であるコントラコスタはワクチン接種率もそこそこ高く65%近いのに、現在感染拡大が進んでいるホットスポットとしてあげられている。コントラコスタ郡の感染者がワクチン接種済みかどうかはまだ情報に出てきていないが、これは非常に興味深いと思っているし、ぜひ知りたい。ちなみに、その隣の郡であるサクラメント郡もホットスポットだ。そのサクラメント郡では、つい2日ほど前に、州議会の警備内で小規模クラスタが発生し9人が陽性となったが、そのうち4人はワクチン接種者だった。今後も、この辺りのニュースは注目だ。

実際のところ、カリフォルニア再オープンが6月15日、その2週間後の7月1日あたりから、カリフォルニアの新規感染者の数はじわりじわりと増えてきている。この時期の微増は最初から予想されていたもので、大げさに心配する必要はないけれど、やはり今後のデータには常に目を光らせていたいと思う。

さて、このデルタ株の台頭により、いろいろ予定されていた今後の計画が狂う可能性は高い。思ったよりもワクチンの接種を敬遠する人は多く、感染力が非常に高いデルタ株が米国に蔓延するに従って、確実に新規感染者数が再び増えていくことが予想されるようになった。夏が終わると、学校やオフィスがフルオープンとなり、ウィルスが活発になりやすい季節がやってくれば、米国で再び小規模なアウトブレイクが頻発するようになるのは想定内であり、それにともなって、マスク着用規制が再発動される可能性も大いにある。

ファイザーは現在デルタ株に対応するワクチンの臨床試験を開始するところだ。COVIDの変異とワクチン開発の猛烈な追いかけっこの中で、世界はどう変わっていくのだろう。出口は見えているが、その出口から完全に脱出できるのはいつかは、まだまだわからない。

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イスラエルのデータと日本入国規制

イスラエルから新しい情報がアップデートされた。現在、ワクチンの接種状況において、多くの国をリードしているイスラエルからのデータはいつでも注目に値する。

今回の情報は、これまでも何度も話題になっているワクチンとデルタ株の関係について。イスラエルで接種されているのは主にファイザーだが、デルタ株に対する効果がなんと64%に落ちたというのだ。こりゃ大変だと慌てる前に、ちょっと待て。

この64%まで落ちた効果は、感染と発症に対する効果だ。これまで95%以上の確率で発症を抑えることができるといわれてきたファイザーだが、デルタ株の到来を受けてワクチン接種済みの人でも感染および発症する可能性が以前と比べてかなり高くなったことがうかがえる。といっても、それほど悲観する必要はない。なぜなら、入院が必要になるほど症状が悪化するのを防ぐ効果は、いまだ93%だというのだ。

つまり、イスラエルの現実の社会のデータによると、ファイザーワクチン接種済みの人は、デルタ株には感染することもあるし、症状も出ることがあるが、入院するほど重症になることはないという結果となった。

それならば、ワクチンをしている人は、自分の感染は恐れるに足らずである。しかし、残念ながら自分が人に感染させる確率はぐっとあがってしまったので、ワクチン未接種の人の前では、誰もがマスクをしてソーシャルディスタンスをとったほうがよいことがわかる。

ただ、シリコンバレーのような、現在感染者が少なく、ワクチン接種者が多い土地では、ただちに全員がマスクとソーシャルディスタンスの生活に戻る必要があるのかというと、実はそうでもない。いかに感染力が高いウィルスであろうとも、ワクチン接種者が多ければ多いほど、感染力は弱まるし、拡大は妨げられる。となると、これまでのように急激な感染の波が来ることは、現時点では考えられないだろう。ワクチン接種者が極端に少ない土地に住んでいる人は要注意だ。どちらにせよ、毎日の新規感染者のデータからはしばらく目を離さないほうがよさそうだ。

と、ここまで書いて、はたと気が付いた。

前の日記にも書いたように、私は事情があって、2週間後には日本行きの飛行機に乗るのだが、飛行機に乗る前、3日以内にに感染テストを受けて陰性結果をだし、それを専門施設に依頼して日本政府が依頼する書式にしてもらい日本入国に備えなくてはいけない。デルタ株が浸透してくるまでは、ワクチンも接種しているし、このテストの結果をまったく心配していなかったのだが、今はどうだ?デルタ株に対して私が接種したファイザーの感染に対する効果は、イスラエルの現実データによると今や64%だ。油断しているといつのまにかデルタ株に感染している可能性が、以前よりも高まっているのは間違いない。そして、たとえ重症にならなかったとしても、感染してテストで陽性がでれば飛行機に乗れなくなるじゃないか!

これは、油断禁物だ。カリフォルニア再オープン以来、カリフォルニアの人々の生活は徐々に徐々にパンデミック前に戻りつつある。スーパーマーケットのマスク着用率もどんどん落ちてきている。ここにきて気づかずにデルタ株感染者とどこかで接触して感染したら、症状がでなくても非常にまずい。

これから米国出国までの2週間は気をつけて生活しないといけない。人に会うのは外でのみにして、しっかり距離をとろう。買い物などで屋内に入るときはしっかりしたマスク着用し、長い間は滞在しないようにしよう。

無事に陰性結果をだして飛行機に乗れるのか、最初のチャレンジはそこからだ。

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世界的集団免疫の達成は遠い未来

現在、世界のあちらこちらの国でワクチン接種拡大とデルタ株の感染拡大が猛レースを繰り広げているわけだが、レースにすらならないでデルタ株の恐怖と戦っている国は多い。

世界的に集団免疫を達成するためには、世界の人口の70%がワクチン接種済みになる必要があるといわれるが、現時点でワクチンを接種したのは10%に過ぎないといわれている。そして、そのうちの0.9%が貧しい国の人々だそうだ。貧困国では99%の人々が医療関係者も含めワクチン接種にありついていない。

これは、ワクチンの供給が足りないせいだと思うかもしれないが、実際のところはワクチンの供給よりも分配のほうに大いに問題があるそうだ。

多くの豊かな国はとにかくワクチンを買いまくった。例えば米国では1人につき3.7回接種できるだけのワクチンが確保されているそうだ。必要なのは2回もしくは1回であるのにも関わらずだ。人口の少ないカナダに至っては、1人につき5回以上接種できるだけのワクチンが確保されているという。カナダはジョンソン&ジョンソンは使っていないようなので、必要なのは2回である。

このように豊かな国が必要以上の数のワクチンを確保することは、ほかの国へのワクチンの供給量の少なさの原因の一つであることは容易に想像できる。現在世界の7分の1の国では、人口の50%以上の人々がワクチン接種済みであるが、残りの7分の6の国では、医療関係者や高齢者の分だけの確保も難しい状態だ。

WHOが主催するCOVAXはこれらの貧困国に公平にワクチンへのアクセスを促すための世界的な組織だが、そのCOVAXですら、掲げている目的は貧困国の人口の20%にワクチンを接種させることであり、これらの国では集団免疫などという贅沢は、目標にすら挙げられていない。

もし各国が自国のことを二の次にして、世界的な視点に立ちリスクや必要度に応じてワクチンを分配することができれば、このパンデミックのよる世界的な死者は約半分になるだろうといわれている。しかし、ワクチンを購入し分配している各国の政府は、それぞれの国の投票者に支えられた存在であり、投票とは関係のない自国外の人々へワクチンを分配する前に、自分の支持基盤の人々にワクチンを優先して分配しようとするのは、現在の政治や経済の仕組みではやむを得ないといっていいのではないかと思う。

自国の国民に徐々にワクチンがいきわたるにつれ、これらの富裕国は貧しい国へのサポートを発表し始めた。現時点で支援の中心になるのは、彼らが仕入れたものの使っていない、購入しすぎたワクチンの寄付である。今後は、ワクチン購入資金の援助などを含め、富裕国は貧困国のワクチン接種を積極的にサポートすることが望まれる。なにしろ、世界のどこかでCOVIDが特異な感染力で猛威を振ればふるほど、さらに驚異の新変異種を生む可能性は避けられないからだ。パンデミックが収まらない限りは、デルタどころでは収まらないのである。

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