シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ジョンソン&ジョンソンとデルタ変異株

デルタ変異種が米国のCOVIDの主役に躍り出て以来、ワクチン未接種の人の不安はもちろんだが、ワクチン接種済みの人の不安も煽られている。

もちろん、ワクチン懐疑派の未接種の人々の70%はデルタ株の脅威は大げさに報道されていると主張しているそうなので、彼らの不安はあおられていないようだが、一年間で繰り返し聞いたことのあるようなこの話には、今日は触れない。今日はワクチン接種済みの人の間で広がる不安についての話だ。

先月の初めに「Delta (デルタ)ってなんだ? 」で書いたように、ファイザーはデルタ株に対しても88%に近い有効率を発表している。モデルナはまだ公式に発表されていないかもしれないが、ファイザーと同じmRNA技術を使用していることから、その有効性はファイザーとほぼ同じと考えることができる。さて、米国で上記の2つのワクチン以外に接種されているのはジョンソン&ジョンソンだ。

この日記でも紹介されたが、ジョンソン&ジョンソンはファイザーやモデルナに比べるとその有効率が若干落ちるが、接種が 1 回ですむことや、保管方法が容易なことから、ポータブルで非常に扱いやすいワクチンとして、その価値は多いに評価されている。しかしながら、この若干の有効率の低さ、低いといっても70%は超えているのだが、それを気にする人は結構多くて、もし選択できるのであれば、ファイザーやモデルナを接種したいと、5月に悩んだ人は結構いたと思う。今はワクチンの選択が可能はほど米国にワクチンは普及したが、大人たちにワクチン接種が解禁され、多くの人が一刻も争ってワクチンを接種しようとした5月の時点では、まだ、どのワクチンを接種するかはくじ引きのような感じだったのだ。

さて、このジョンソン&ジョンソン、当然ながらデルタ株に対してどのくらいの有効率なのかが注目されている。私の知る限りではまだ公式発表はされていないのだが、同じ技術によって作られているアストラゼネカが、案の定ファイザーやモデルナよりも低めの有効率をだしているため、ジョンソン&ジョンソンもそれ位の数値を出すのではないかと考えらえられている。アストラゼネカは、その開発国である英国がデルタ株に襲われワクチン接種者の中から相当数の感染者を出しているため、この情報がジョンソン&ジョンソンのワクチンの接種者の不安の根拠となっている。

これらの背景から生まれてきた考え方が、アストラゼネカまたはジョンソン&ジョンソンのワクチン接種者は、ファイザーやモデルナをブースターとして接種すれば、より安全なのではないかという考え方だ。この主張は医療関係者の中でもわりと強いようで、医者によっては、ジョンソン&ジョンソンを接種済みの患者に、今なら誰でもすぐにファイザーを打てる状況であるため、ファイザーを打ってこいと推奨する医者もいるということだ。

これに対してCDCを含め専門家たちは、現時点では、この考え方を肯定していない。むしろ、ジョンソン&ジョンソンのデルタ株に対する有効率は十分によいと考えらえるし、感染したとしても軽症ですむのであれば、現時点でブースターショットの必要性はないとしている。

では、必要性あるなしはおいておいて、このように2種類以上のワクチンを混ぜて接種することに、リスクはあるかどうかという疑問が湧き上がってくると思うのだが、これに関しては専門家はいまだ調査中で結果を待たねばならないそうだ。現時点では、「追いワクチン」としてファイザーを接種することが、重大な問題を引き起こす可能性や例は報告されていない。

ちなみに、米国では接種されていないアストラゼネカに関しては、米国の隣国のカナダでは 2 回の接種のうち、1回目がアストラセネカの人は、2 回目をファイザーまたはモデルナにするという混ぜこぜ接種がすでに推奨されている。しかし、カナダが推奨しているのはあくまでも、2回接種のうちの1回をファイザーかモデルナにするというもので、1回で接種が終了するジョンソン&ジョンソンの後に、さらにファイザーやモデルナを接種するというのは、また一味違う。

誤解しないようにしなくてはいけないのは、これを読んで、ジョンソン&ジョンソンがデルタ株に対して効かないのではと青くなる必要はないということだ。前の日記にも書いたけれど、ワクチンはそもそも感染しなくなる魔法の薬ではなく、ウィルスが体に取り込まれたとしても訓練された免疫が戦ってくれるために重症化しなくなるという戦略のために開発されているのであり、テストで陽性となり新規感染者として数えられたからといって、ワクチン未接種者と同じようにレベルで危険な状態にいるわけでない。

そう考えると、不安にかられ慌てて、いまだ研究結果の出ていないジョンソン&ジョンソン+ファイザー・モデルナという形のブースターショットを自己判断で接種するよりも、CDCや専門家たちが正式に必要であると判断するまでは、ジョンソン&ジョンソンの接種者はあまり心配しすぎず、待機していたほうがよいような気がする。

重要なのは、引き続き信頼できるソースからの情報を取得することだ。

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