シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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デルタ株の台頭でマスク復活か?

6月15日、カリフォルニア再オープンの日、カリフォルニア州政府はワクチン接種済みの人に対するマスク規制を撤廃した。しかし、実はその数日前にWHOはワクチン接種済みの人もマスクを着用し続けるようにという指針を出していた。これはもちろん感染力が半端ないデルタ株の世界での台頭を受けての指針である。

というわけで、カリフォルニアではマスク規制は撤廃されたものの、実際にはワクチン接種済みでもマスクを着用し続けている人は多い。特にシリコンバレーのあるベイエリアでは、大人のワクチン接種率は80%を超えているというのに、公共施設にいる70%ぐらいの人は未だにマスクを着用しているような気がする。

さて、デルタ株の米国での台頭がいよいよ目に見える形になってきた。このデルタ株、前回の日記にも書いたように、ワクチン接種済みの人にも感染するほど感染力が強いと言われている。だからといってパニックになる必要はない。

このワクチンが生まれたときの基本に戻って考えてみれば、最初からこれらのワクチンのゴールは、感染したときに症状を出さない、または重症化させないことであったからだ。ファイザーもモデルナもジョンソンアンドジョンソンも、ワクチンによって感染しなくなるとは一度も言っていない。ワクチンにより免疫がつくので、感染しても十分に戦えると言っていたのだ。むしろ、本人が気づかないうちに感染してウィルスを運ぶ可能性があるというのは、ワクチンが認可されたときから、専門家によって何度も言われてきたことだ。それが、現実世界で接種が進むにつれ、どうやら感染も回避できているらしいという後付のデータにより、感染しない効果もあるらしいとなったのである。

ということは、感染力の強い変異株が台頭することにより、ワクチン接種済みの人でも感染はするというのは、十分に考えられたシナリオであって驚く必要はない。感染しても入院するほど重症化しなければ、ワクチンの目的は十分に果たされているのである。

ただ、ここには一つの問題がある。CDCがワクチン接種者はマスクを外していいと発表したのは、デルタ株が米国に入ってくる前だった。つまり、「ワクチンにより感染もしなくなるらしい」という現実データが主流だったときだ。

ワクチンを接種していてもデルタ株には感染する可能性があるとわかってきた今、「ワクチン接種者=感染拡大に寄与しない」という式は成り立たなくなってしまった。ワクチン接種者は重症化しないが、ウィルスを運ぶ可能性、つまり他の人にウィルスを感染させる可能性があるということになったのである。

となると、感染拡大をコントロールできるのは、やっぱりマスクの着用やソーシャルディスタンスだということになる。では、米国やカリフォルニアが今すぐマスクの再着用規制を出す直すかというと、それはまだわからない。WHOはあくまでも世界的な視点から指針を出している。世界的にデルタ株が広がり、かつ、ワクチン未接種者のほうが断然多い世界コミュニティを考えれば、WHOにとってマスクの着用は当然の指針である。

しかし、例えばベイエリアのような、大人の80%がワクチン接種済みの場所ならどうだろう。お互いにデルタ株を感染しあうような機会があったとしても、ワクチン接種済みの人は、「あ、風邪ひいたな」で終わる可能性が高い。ここで、問題になるのは接種していない残りの20%の人たちだ。彼らはデルタ株が台頭してきた今、非常にリスクが高いところに立つことになった。つまり、 もしデルタ株が主流の感染株となり、それにともない軽傷であれ新規感染者が増えてきたときに、コミュニティはこの20%の人々を守るためにマスクを再着用するかどうかというのが分岐点となる。

実際のところ、現時点で子供はワクチンの接種ができないので、実はこの20%は大人だけの話であり、もし子供もカウントするならば、たぶんカリフォルニアの人口の40%ぐらいはまだワクチンを接種していない。40%はそうとうな規模だ。となると、もしカリフォルニアにデルタ株が蔓延したら、たぶんワクチン接種済みの人にも再びマスク着用規制がでることは十分に考えられる。

すべては今後のデルタ株の動きに依存するのは間違いない。私達は1年半近くマスクをして生活してきたし、今でもまだマスクをしている人たちが半数近くいるカリフォルニアの現状を考えれば、不満はでるだろうけれど、マスク生活に戻るのはそれほど難しくないかもしれない。ただ、ようやくビジネスがオープンして開放感が進んでいるところなので、後退感を感じてショックを受ける人はいるだろう。ショックを受けないように心の準備はしておいたほうがいい。

実はカリフォルニアは恵まれているほうなのだ。州によってはワクチンの接種率が40%にすら満たない州もある。その上、これらの州ではカリフォルニアよりもずっと早くマスクの着用が撤廃されていた。このような地域にデルタ株が蔓延したらと思うと非常に怖い。再び、医療機関が切迫し死者が増加する可能性は十分ある。

結局はマスク規制の進退も、より早い大規模なビジネスの復活も、その鍵はワクチンが握っている。握っているにもかかわらず、米国ではワクチンの接種がとんと進まなくなった。これ以上は、どんなに叫んでもワクチン敬遠派の間に接種者を増やすことはできない感じなので、こうなったら世界中でワクチンを切望している人たちにどんどんワクチンを配って接種してもらって、これ以上の驚異の変異種が生まれないように、世界的にパンデミックを収束するしかないのだろう。

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