シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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デルタ変異株が米国を襲う

今月の初めにデルタ変異株について紹介したが(「Delta (デルタ)ってなんだ?」を参照)、それから2週間もたたないうちに、米国ではデルタ変異株のニュースがCOVIDのニュースの大半を占めるようになった。それもそのはず、デルタ変異株は、ものすごい勢いでその勢力を伸ばしているからだ。この2週間ですべての感染者に対するデルタ変異株の感染者の割合は10%から20%に伸びた。2週間で倍になるという、その勢いはまったく衰えておらず、今後数週間の間に、米国のCOVIDの過半数はデルタ変異株となり、米国にとってのパンデミックの新しい章が開かれることになる。

前回の日記でも紹介したように、デルタ変異株の特徴は従来のどの変異株をも超える感染力の高さと若年層にまでおよぶ重症化の傾向である。しかし、同時にわかっているように、現在のワクチンはデルタ変異株にも有効であり、特に2回接種する必要のあるワクチンは2回目以降にデルタ変異株に対する有効率が高くなることが知られている。このため、副反応が高くなる2回目の接種をスキップしようとしていた人たちに対して、必ず2回目を接種するようにという呼びかけが高くなってきている。

では、ワクチンが物理的に十分に行き渡っているはずの米国では、デルタ株が台頭してきても心配はいらないのではと思うかもしれないが、実はワクチンは十分にあるにも関わらず、ワクチンの接種が少なくとも一回は終了しているのは米国の大人の65%にすぎない。ワクチンが十分にあっても、頑なに接種を拒否する人々が相当数いるからだ。州によってその傾向は顕著で、カリフォルニア州は大人の73%を超える人々が少なくとも一回ワクチンを接種しているし、中でもここシリコンバレーを含むベイエリアと呼ばれる地域は、接種者が大人の80%を超えており、全米のトップに立ってワクチンの接種を牽引している。が、一方でミシシッピ州のようなワクチン敬遠派が多く暮らす州は、なんと36%しか接種をしていない。

この状態でデルタ株が米国の主流株として蔓延するようになったとき、これらのワクチンの接種率が極端に低い州の感染拡大とそれに伴う重傷者の拡大が、現在非常に心配されている。デルタ株による悲惨な被害は、すでにインドの状況が世界に教えてくれているので、連邦政府は必死にこれらのワクチン敬遠派に対して一日も早くワクチンを接種するように訴えており、ファーストレディーであるジル・バイデンが現地までスピーチに飛んでいるぐらいだ。しかし、これら地方の人々の頑なな意思を変えることができるかどうかは非常に微妙で、米国は数週間後には一部の地域的な感染拡大を迎えるのではないかと言われている。

ちなみに、接種者が大人の80%を超えるワクチン接種率を誇るベイエリアの病院からの報告によると、現在感染して病院に入院している人々の90%以上がワクチン未接種者であるというデータも紹介されており、ワクチンの接種が人々の感染状況を左右しているかが明白になっている。このまま、ワクチン未接種者までも守ることのできる集団免疫の状態を到達できる最初の地域は、全米の中でもここベイエリアであるとすでに囁かれている。

ところで、この80%を超える接種率というのはあくまでも大人の中でという話で、未だワクチンの接種が認められていない12歳以下を数えると、その接種率はベイエリアであっても70%ぐらいまで落ちる。ただ、よく知られているようにあ12歳以下は重症化しにくい傾向があるため心配ではあるが危機的な状況ではないと考えられているわけだが、じゃあ、若ければ重症化しないし感染してもいいのかといえば、最近はそのような考えに対して非常に怖いニュースが出てきている。最近話題になっている後遺症だ。そう、以前の日記でも何度も触れている感染の後遺症PASCまたはロングCOVIDと呼ばれる症状が最近再び注目されている(「PASC ってなんだ? 」を参照)。

PASKは若い人の間でも、、また、特に重症化していない人の間でも発生しており、人によっては数週間で回復するが、人によっては一年以上ろくに起き上がって行動することもできなほど重症化しているケースもあり、時がたつにつれて注目度があがってきている。つい先日、その病状を苦に自殺した患者まで発生している。この後遺症のことを知れば知るほど、若く健康だから感染しても大丈夫だし、むしろ感染により免疫を身につければいいと考えているワクチン敬遠派の人々のことが心配だ。デルタ株が席巻してきたときに、彼らは命を落とすことは少ないかもしれないが後遺症になることはあるかもしれない。

この後遺症、現在治療法は全くない状態た。そもそも、その原因も全くわかっていないのだが、これについて今日、非常位興味深い研究結果が発表になっているので、明日はこれについてレポートしようと思う。

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