シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

ウィルスの致死率

とうとうインドの一日あたりの死者が4000人を超えてしまった。

これは新規感染者数の動きをみれば時間の問題だった。そして、同様に新規感染者数の動きをみればみるほど、死者数のピークは今じゃないことがわかる。これまで米国の新規感染者数と死者数のピークのずれを前提にすると、死者数はこれからも増え続けることが予想できる。たぶん、1週間後ぐらいがピークになるんじゃないかなと思うし、その時の一日あたりの死者数はどのような数字になるのかと思うと気が重い。

一部の専門家の中で、インドの一日あたりの新規感染者数と死亡者数との比率をみて、感染者数の割に死亡者数が少ないために、インドの変異株は実は致死率が低いんじゃないかと論じる人がいるようだが、私はそれには懐疑的だ。

そもそも、先程もいったように、この感染波の死者数のピークはたぶん今じゃない。死者数のピークはいつだって、新規感染者数のピークに遅れてやってくる。遅れ具合はたぶん報告のタイミングにもよるだろうが、早いと1週間後、遅いと2、3週間後ぐらいにじりじりと毎日亡くなっていくのだ。

また、現在のインドの医療崩壊の状態からして、正確に感染者数と感染による死亡者数を数えられているとは思えない。テストで陽性だったにもかかわらず医療機関に受けれてもらえなかった感染者が自宅で亡くなった場合、感染で亡くなった数に数えられないこともある。そもそも、テストを受けることもなく亡くなっている人もいると思われるので、実際の感染者数も死者数も本当はわからない。

もう一つのポイントはインドが平均年齢が30才以下という若者の国だという点だ。若い人は感染しても助かる確率が年配者よりも相当高い。ということは、感染者数に対して死者数が少ないのは、ウィルスが弱いせいではなくて、母数となる感染者の年齢が若いからであるという可能性もある。このウィルスが、高齢社会、例えば日本に拡大したら、結果はそうとう違うものになる可能性がある。

そんなこんなで、インドの変異種の致死率が比較的低いという説には懐疑的だし、そんな気休めをメディアで発表する意味がよくわからない。致死率が低いからそんなに心配することないよ、という意図だろうか。

世界で300万人以上の死者をだしているパンデミックである。そのうえ、たぶんこの死者数は実情をあらわしていないとうのがもっぱらの説で、実際にはこの5倍、10倍の死者がいるのではないかといわれているくらいだ。ワクチンという武器を持ってして、ようやく感染をコントロールできそうになってきた状況を踏まえ、致死率がどうであろうとも、世界はどうしてもワクチンを使って早急にウィルスをねじ伏せなくてはならない。

そこで、この日記でもすでに何度か触れているように、ワクチンの特許を一時的に放棄するよう製薬会社に圧力がかかっているわけだが、製薬会社は、ワクチンの生産量を制限しているのは原材料と生産工程の複雑さであり、特許を放棄したところでワクチンの生産量が増えることはなく、かえって必要な原材料が十分に供給されなくなった場合、むしろ現在の生産量を脅かす結果となりかねないと反発している。本当のところはどうなんだろう。

これこそ、やってみないとわからないような気がするのだが、これまでも何度か書いたように知的財産権の放棄は、将来の科学技術の発展の障害になるだろうことは容易に想像できるので、製薬会社もその国の政府もそうそう簡単に開示できない事情もよくわかる。ちなみに、現時点で米国政府は知的財産権の一時的放棄に賛同しているが、ドイツ政府は反対している。

話は変わるがが、日本で一部、家に閉じこもっていられる年配者ではなく、若い人からワクチンを接種したほうが経済活動によい影響があるのではないかという意見があると聞いてびっくりした。

感染しやすく重症化しやすい年配者からワクチンを接種したほうが、ワクチンを先行接種しているイスラエル、英国、米国が示しているように、確実にウィルスを抑えることができる。どの国も年配者に接種を始めた時点で急激に感染者数と死亡者数も下がる。つまり、年配者に接種することでコミュニティでのウィルスの蔓延度が下がり、若い人の接種が完了していなくても、相当の規制を緩和できるのだ。人道的な視点にたっても、死亡する確率の高い人からワクチンを接種するのは当然のことなので、そのような謎の意見がマスコミに出ているというのはちょっとなあ、とため息をついた。

にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから!

PVアクセスランキング にほんブログ村