シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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繰り返される感染波

偶然の一致にしては一致しすぎていると注目されているのが、現在の米国の感染拡大状況だ。

米国の感染状況は冬の大惨事の後、急激に改善したのだが、その後再び悪化した地域がいくつかあり、それらの地域が現在の米国の現在の新規感染者の半分以上を排出している。その地域とはミシガン、ニューヨーク、ニュージャージー、ニューハンプシャーなどの米国北東部である。

米国の感染状況を追ってきた人ならピンくるかもしれないが、これらの地域はちょうど去年の今頃、Covidの米国での最初の大波を迎えた地域である。特にニューヨークとニュージャージーのオーバーシュートは凄まじく、まだパンデミックの初期であった頃から知識も設備も整っていなかったために、犠牲者の数は悲惨だった。医療関係者たちが足りない防護服の代わりにビニール袋を身につけるという状況の中、病院ではベッドが足りずに患者が廊下で寝かされ、ニューヨークだけでも毎日何百人も死者がでるという、思い出しただけも辛い記憶だ。

これらの地域は。去年の春のオーバーシュート以来、感染拡大から学んだ知識をもとに防御策をとるようになったところが多く、ニューヨークやニュージャージなどはそれ以来、今冬まで大きな感染拡大はなかった。ミシガンは夏に一度拡大したものの、その後は同様に今冬までは安定していた。にもかかわらず、これらの地域が、去年と時を同じくして、再び大幅な感染拡大に見舞われているのである。

この原因はいろいろと言われているが、特に大きいのは英国の変異株の台頭だ。ちょうど去年の初春、オリジナルのCOVIDがニューヨークで報告されたというニュースが入ってきたときに、まだ何も知らなかった私達がただのインフルエンザのようなものだろうと油断しているうちに、あっという間に北東部が感染に飲み込まれたのと同様に、英国変異株が米国北東部で見つかったときに、これまで大丈夫だったのだから大丈夫だろうと油断をしていた人々は、オリジナルよりも感染能力が60%強い変異株に一気につけこまれた感がある。

特にミシガン州は、早期から変異株が見つかっており、医療関係者は何度も警笛を鳴らしていたのだが、もともとパンデミックを軽く捉えていた人々が多い州であったことに加え、ワクチンの接種が始まっていたこともあり、彼らは警戒を強めるどころか緩めてしまった。その結果、ミシガン州はパンデミック始まって以来の最悪のペースで感染が拡大している。にも関わらず、未だに再ロックダウンを拒否しているので感染が収まるところを知らない。

去年と時を同じくして、変異種に北東部が襲われているのは、ウィルスの米国の入り口となる位置と無関係ではないだろう。オリジナルのウィルスは元来中国から来たものだが、米国北東部にはヨーロッパから伝播したのではないかと言われている。そして、今回の英国変異種はもちろんヨーロッパから伝播したものだ。米国北東部は米国のヨーロッパへの出入り口である。伝播されたウィルスが最初に影響を与える場所としては物理的に理にかなっている。

よって、オリジナルウィルスも英国変異株も、ヨーロッパから米国北東部から入り込み、猛威を奮っていると考えられる。オリジナルウィルスは、COVIDの驚異を知らなかったから容易に拡大したし、英国変異株は、ロックダウンに疲れていたこと、ワクチンの接種がはじまったことで気を抜いていたこと、オリジナルより遥かに高い感染力を甘く見ていたことなどの複合要因が、その拡大を許してしまった。

去年は、この感染波はその後、米国の南部、西部、中部と伝播していき、米国に蔓延、世界最大の感染国へと導いたわけだが、願わくば、今年はその動きを踏襲しないでほしい。今の状況が、まるで規模が縮小したデジャブのようであるために、もしや同じように、今度は変異株が米国に順番に蔓延していくのではないだろうかという心配をしている人もいるんじゃないかと思う。

そんなことにならないためにも、ワクチンを接種できる人はなるべく早く接種したほうがいい。今後変異種は去年と同様な形で間違いなく米国内に広がっていくだろうが、ワクチン接種済みの人が多ければ多いほど、去年のような形での拡大はできないはずなのだ。現在のワクチンは変異種にも効果があることがすでに報告されている。

問題はワクチンを接種しないと宣言している30%の人々である。もしかしたら、変異種はこの30%の人々を媒体にして去年と同じ経路を使って米国を拡大していくかもしれない。そのときに、ワクチン接種済みの人が感染する確率は低いが、接種していない人の間で小規模な感染拡大が発生すれば、経済再生に影響を及ぼすのは必須だと思われる。

なんとかして、少しでも多くの人々にワクチンの安全性と価値を理解してもらって、繰り返される感染波を食い止めたい。

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