シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン接種の研究結果と追悼式

イスラエルのワクチン接種後の感染データが公表されて以来、話題になっているのはファイザーのワクチンは一回接種しただけでも非常に効果が高いらしいという議論だが、今日、英国から正式な研究結果がでて、その議論を裏付けた形になった。

その研究結果によれば、65歳以下の医療関係者の間では、ワクチンを一回接種することにより感染のリスクが72%も減っているということだ。二回接種することでこの数字は85%にまであがるそうだ。

また、80歳以上の市民のうち一回接種した人の発症リスクをを57%下げている。二回接種することでこの数値は85%以上となるという。

これに加え、現在のデータからわかることとして、ワクチンを接種した人は、たとえ感染したとしても、入院したり死亡したりするリスクは著しく低いそうである。

総合的にデータをみると、ファイザーのワクチンを一回接種しただけでも、入院や死亡するリスクは75%以上下がっているといってよいそうだ。

この研究結果は非常に明るい。通常のインフルエンザワクチンの効果が50%ほどだということを考えると、今回のワクチンの優秀さがわかりやすいだろう。

そんなワクチンの接種がどんどん進んでいることを背景に、イスラエルでは規制の緩和が計画されているし、一時期非常に厳しい状況にたたされた英国でさえ、6月にはロックダウンは解除できるだろうと見通しを発表している。

心配なのは変異種の台頭だが、米国で現在猛威を奮っている英国からの変異種は、幸運ながら現在認可されているワクチンで対応できるそうだ。問題なのは南アフリカからの変異種であるが、mRNAワクチンの特徴は、ウィルスの変異種の構造だけわかれば、変異種と戦うためのブースターワクチンを迅速に開発できることである。mRNA ワクチンについては「mRNA ワクチンってなんだ?」を参照していただきたい。すでにブースターワクチンの認可プロセスが進んでいるというのだから、本当に速い。

このような明るいニュースの背景で、米国の感染による死者数が50万人を超えた。バイデン大統領は追悼のスピーチを行い、ホワイトハウスでは500本のろうそくを灯した追悼式が行われた。バイデン大統領のスピーチでも説明されていたが、50万人の犠牲者というのは米国が第一次大戦、第二次大戦、ベトナム戦争で失った犠牲者の合計数よりも多いそうだ。数字だけだと実感のわかない50万人という数字が、過去の歴史イベントの死者数と比較されたときに、いかに大きな損失なのかがわかる。それも、これらの死者数はたった1年以内に発生したのである。

世界の犠牲者の5人に1人は米国人だという統計が出ているが、米国の人口は世界人口の20分の1に満たないことを考えれば、いかに米国で特に犠牲者が多いかがわかると思う。ちなみにファウチ博士は、米国は先進国の中でどの国よりも悪い結果をだしていると言いきっていた。確かに素人目に見てもデータがそれを物語っている。

では、これから米国人はどうすればいいのか。データはでたらめだ、ウィルスはでっちあげだという、過激かつ無茶な発言を政府がしなくなり、非常に効果の高いワクチンを手に入れた今、不必要な犠牲者をこれ以上増やすことのないように、米国は次の2つの戦略を同時に実行する必要がある、と専門家は言っている。

1つ目の戦略はワクチンの接種である。ワクチンを可能な限り大量に生産し、大量に分配し、大量に接種を行うことだ。2つ目の戦略は、ワクチンの分配と接種を進めている間、ソーシャルディスタンスの保持やマスクの着用を守り続けることだ。ワクチンの分配が集団免疫を確立させるまでの間は、ワクチンを摂取した人も接種していない人も、コミュニティを守るためにソーシャルディスタンスとマスクのルールを守り続ける。

この2つの戦略を同時に発動することにより、今後再び感染拡大にのまれることなく、不必要な犠牲者を増やし続けることなく、パンデミックを終結に向かって促すことができると言われている。今、米国が一番回避しなくてはならないのは、感染者数が急減していることと、ワクチンの接種が進んでいることを楽観視しすぎて、マスクの着用をやめたり、人々が集まってパーティを催したりするような、浅はかな行動にもどることだ。パンデミックの初期5月のメモリアルデーウィークエンドでは、これらの愚かな行動により感染拡大の波を招いたのは記憶に鮮明だ。そして、現在の感染者数は、減ったとはいえ、あのメモリアルデーウィークエンドの頃よりも未だにはるかに高い数値なのである。

おかしな錯覚を起こしてはいけない。

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