シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ヨーロッパで何がおこってるんだろう

今日フランスで、パリやその他の都市に再びロックダウン開始の掛け声がかかった。すでにイタリアではロックダウンが始まっているし、ドイツはロックダウンを始めていないまでも、その可能性については、現在の拡大状況が続けばありうると発表されている。

ワクチンの接種により多くの国が感染者を減らしている今、いったいなぜ、ヨーロッパで再び感染拡大が止まらないのか?これまでヨーロッパの感染動向を2、3週間遅れては追ってきた米国としては、再び感染拡大の運命が待っているかどうかを探るためにも、現在のヨーロッパの状況は注目する価値がある。

さて、まず、大きな理由の一つとしてあげられているのは、EUとワクチンメーカーとの取引の遅れと取引内容である。すでに国民の半分以上がワクチンを接種し、劇的に新規感染者数が減ったイスラエルを筆頭に、米国、英国など、現在大幅に感染が減っている各国と比べてEUがワクチンメーカーとの取引を完了したのは遅かった。なぜ遅くなってしまったのかといえば、答えは単純で、EUのような連合国家の場合、ワクチンの購入のような高価な決定は各国との調整により合意を得るのに時間がかかってしまうからだ。1国が決定し購入するわけが違うため、合意にも取引にも相当な時間がかかってしまった。

遅れたも一つの理由は、EUはワクチンを大幅に値切ったのだ。ファイザーのワクチンはイスラエルが1接種25ドルで購入、米国が1接種20ドルで購入したのに対し、EUは15ドルから19ドルの間で購入した。このディスカウントにたどり着くまでには取引は遅れただろうし、ディスカウントしている分、より高価な値段を払う国ぐりよりも列の後ろに立たされてしまう可能性が有る。ワクチンの値段の1ドルの差は購入しなくてはいけない大量のワクチン数を考えれば、簡単に1億ドルぐらいの差に膨らんでしまう。なので、より安価な値段で買おうとする努力はわからなくもないが、もしそれが原因が現在のような再ロックダウンという結果につながるのならば、ロックダウンで失われる経済損失の前に、1億ドルの節約などはあっというまに吹き飛んでしまう、と専門家は分析している。その視点に立つと、イスラエルは良い選択をしたということになる。

もう一つ、ヨーロッパに巣食う問題は、ワクチンへの不信感である。今回のCOVIDのワクチンに限らず、伝統的なヨーロッパの国々はワクチンに対する不信感が高いことが知られている。今回のワクチンについても、某アンケートの結果によると、ワクチンは安全で効果的であるか?という問いに、「Yes」と答えた人の割合が、中国で89%、米国で75%に対して、ドイツでは68%、スウェーデンでは65%、フランスでは59%、ポーランドに至っては56%だったそうだ。

このようにもともと高い不信感があるため、今回英国産のアストロゼネカのワクチンが血液に塊を作るのではという疑いがかけられたときに、証拠がない状態にもかかわらずEUの国々はワクチンの接種を一時停止してしまった。ちなみに、アストロゼネカの生産国の英国は、当然ながらアストロゼネカを最もたくさん接種している国なのだが、英国では特に副作用として血液の塊が発生するという報告はされていないし、接種の停止も行われていない。そのことを考えると、EUの国々がいかに懐疑的であることがわかる。調査の結果、アストロゼネカと血液の塊ができる現象には明確な関係性はないということで再び接種が開始されたわけだが、このようにワクチンに対する不信感が原因で接種が迅速に進めらていない。

現在、英国では非常に早い勢いで新規感染者が減っているにもかかわらず、海峡を超えた大陸である、フランス、イタリア、ドイツ、ポーランドなどでは非常に速いペースで新規感染者が増えているが、これはワクチンの接種現状と深く関係があるのではないかと考えられている。

もし、今ここに書いたように、ワクチンの接種の遅れにより、EUが再び感染の波を迎えてしまっているのであるのならば、ワクチンの接種が非常に早く進んでいる米国は、今回はヨーロッパを追わずに波を回避できるかもしれない。

しかし残念ながら、未だその確証はないのだ。米国ではいくつかの変異種が発見されているし、一部の変異種は現在のワクチンでは効果がないといわれている。にもかかわらず、ワクチンを接種したらマスクを外して、パンデミック前の生活にもどってもよいという誤解がいくつかの保守的な州で広がっていて、それらの州ではすでに規制がほぼゼロの状態に緩和されている。

ファウチ博士やCDCがどんなに論理的に説明しても、変異種の存在を強調しても、これらの人々にはまったく無駄らしい。そして、とても残念なことなのだが、米国の一部の州ではすでに新規感染者数が上方傾向に舵をきっているのだ。

科学者や専門家は私達よりも知識もデータももっている。彼らのいうことを聞いて、ワクチンを接種した後は、ワクチンを接種した者同士では普通に過ごしても、公共の場ではマスクをし続ける。少なくとも、米国の一日の感染者が今の10分の1以下となり、コミュニティの中で浮遊するウィルスが明らかに少なくなって、集団免疫に近づく日まで、マスクと一緒に暮らしてほしい。

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