シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン接種は進んでいます

たまには明るいニュースについて書きたい。

昨日、向かいの家に住んでいるポルトガル移民の老夫婦の奥さんが庭で取れたオレンジとみかんを山程持ってきてくれた。彼らは庭で果物や野菜をたくさん収穫しては、おすそ分けを持ってきてくれる。正確な年齢は知らないが、70歳は超えているのではないかと思う。旦那さんのほうが糖尿病を持っているのでいつも食べ物に気をつけているため、こちらから差し入れをすることはあまりないのだが、奥さんは寿司が好きなので、我が家で巻きずしをするときは、彼女がつまめる分だけお裾分けをする。

そんなふうにすごく親しいわけではないが、それなりに仲良くしているご近所さんなのだが、去年は、一年間で彼らと話した機会は数回だけだった。彼らの年齢や持病を考えると、可能限り会わないほうがいいし、道端でちょっと立ち話をするときも、マスクをした上、相当な距離をおいて会話することにしていた。それでも、年に数回収穫したものを持ってきてくれたし、私もクリスマスにとっておきのスパークリングロゼをプレゼントしたりした。

さて、昨日は袋いっぱいの柑橘類をドアの外において、すでに10メートル以上離れたとところに移動していた彼女を呼び止め、少しだけ立ち話しをしたのだが、良いニュースを聞いた。彼女も旦那さんのすでにモデルナの一回目の接種を完了したとうことだ。それを聞いた途端、思わず拍手をしてしまった。それほど嬉しいニュースだった。どうやら思っていたよりも、私は彼らのことを心配していたらしい。第二回目の接種は3月の初めだそうで、それから2週間もすれば、彼らは理論的にはウィルスの免疫を持つことになる。だからといって、前のように気軽に長い立ち話をできるわけではないけれど、やはり身近な人のリスクが減るのはうれしい。

今日はニュースでも、我らがファウチ博士が良いニュースを語っていた。この調子で行けば、4月には一般の人たちのワクチンの接種が始められる可能性が高いそうだ。もちろん始められるだけで、完了するのにはその後数ヶ月かかることが予想されているのだが、混乱を極めているとはいえ、物事は進んでいるし、思ったよりも早く接種の機会がやってくるかもしれない。米国の人口を考えれば評価できる見通しだ。

現在、カリフォルニアでワクチンの摂取ができるのは、65歳以上の市民と医療関係者(歯医者なども含む)だ。このあとの優先順位は、エッセンシャルワーカー、つまり物流、サービス、教育、農業、加工業など生活に不可欠な仕事の従事者となっている。その後、一般の人の中からリスクの高い人を優先しつつ、一般の人たちの接種も始まると言われている。

始まっても、なにしろ人数が多いので、予約をとるのも大変だし、取れた予約は数ヶ月後という可能性は高い。しかし、数日前にも書いたように、家にこもっていても生活が成り立つ人は、予約を率先して遅くとり、よりリスクが高く接種を必要としている人に早期の接種機会を譲るべきなのではないかと考えられるので、予約が数カ月後になるのはすでに覚悟のうえだ。

さて、ワクチンの接種が進む中、変異種についての心配が毎日のようにニュースに上がってくるが、今日のファウチ博士からの情報によると、少なくともイギリスの変異種には現在のワクチンは十分有効であることがわかっている。ただし、南アフリカの変異種はワクチンによっては効果が薄く、それを根拠に南アフリカはアストロゼネカのワクチンの接種予定を中止してしまった。ジョンソン&ジョンソンのワクチンは南アフリカの変異種にもある程度効果があることがすでにわかっているので、そちらのワクチンに切り替える可能性がある。

どちらにせよ、富裕国では大幅にワクチンの接種が進んでいるのだが、貧困国ではまったく進んでいないというのが現状で、WHOはこの状況に懸念を示している。世界的流行を終わらせるためには、世界的に患者が減っていく必要がある。なぜなら一部の国で患者が減っても、別の国で感染が拡大し続ける場合、その地域で従来の免疫では防げない新たは変異種が発生し、それが再び世界的に流行してしまう可能性があるからである。生命体というのは本当に優秀で、ウィルスも可能な限り生き残るためにより感染しやすいも、より免疫を攻撃しやすいものへと刻一刻と変化をし続けていく。このウィルス変異とワクチンの拡散のレースは、本来報道されているよりも緊迫しているのかもしれない。

米国でワクチンの分配が進み、集団免疫に近づいていくのは本当に助かるのだが、同時に世界の感染拡大が著しい地域にもより早くワクチンの分配が進むことが大切だ。そのためにも米国がWHOに復帰したのは大きな意味がある。

まだまだ楽観視できる状況ではないのかもしれないけれど、こうやって毎日毎週毎月、人間社会がパンデミックと戦うためにより進化し、発展していくのを知るのは心強い。人はまだまだ賢くなれそうだと、そんなことを考えてみたりもする。人間の素晴らしいところは、常に学びつづけることだ。間違いから学び、再び同じ間違いをおかさないように努力をする能力を持っている。これは簡単そうでいて、実はそうとうに難しいことだといつも思っている。

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