シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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やはりCDCガイドライン変更へ・いよいよワクチンパスポート現実化か

個人的にビッグニュース 」に書いたように、ビッグニュースな研究結果(詳しくはリンク先の日記を参照)を受けて、CDCがガイドラインを大幅に変更してきた。予想にたがわず旅行に関係するガイドラインだ。

ワクチンの接種者はウィルスのキャリアーになる可能性が非常に少ないという研究結果を受けて、CDCは次のようなガイドラインの変更を行った。

ワクチン接種ずみの人は、米国国内を旅行する時に、感染テストを受けなくても良いし、自主隔離もしなくてよくなる。しかし、旅行者は、マスクの着用、ソーシャルディスタンス、人混みの回避は引き続き行うべきである。

国外旅行においても、ワクチン接種ずみの人は感染テストを受けなくても良いが、受け入れ側の国によっては感染テストで陰性であることが求められるので注意が必要。

ワクチン接種ずみの人は、米国に再入国する時は、感染テストでネガディブであることが求められる。また、再入国後3日から5日以内に感染テストを再度受ける必要がある。これは、国によって接種しているワクチンが違うため、変異種などの感染の可能性を考慮しているためである。

とまあ、こんな感じの勧告がでた。これを元に米国以外の国も、ワクチン接種ずみの人に対する自己隔離などの旅行制限を大幅に緩和していく可能性があると思う。

また、この日記でも何度か触れたワクチンパスポートという考え方がいよいよ現実味を帯びてきた。すでに中国やイスラエルでは、ワクチン接種ずみであることを証明するカードまたはアプリが存在しており、接種者には様々な行動の自由が与えられている。また、アイスランドのように、接種者には入国後の自己隔離が免除されるという、国際旅行者のための処置がすでに取られている国も出てきている。

現在、米国をはじめ、欧州でも、アフリカでも、世界のあちこちでワクチンパスポートという名前ではないものの、ワクチンの接種を証明できる仕組みと接種者に対して規制緩和処置が取られるという動きが加速している。WHO でもそのような動きがあって、ワクチンパスポートは現実の形を取り始めている。カードのような物理的なものになるのか、アプリのような電子的なものになるのかは、いまだに見えてきていないのだが、様々なオプションが国をまたがる形で検討されている状態だ。

ワクチンパスポートの考え方は、パンデミックで痛めつけられた世界経済を救うために、多くのビジネスオーナーや政治家たちにとって重要かつ歓迎される流れだ。ワクチンを接種した人から、以前のように活発な経済活動(外食、ショッピング、レジャー、旅行、イベントなど)を始めることができれば、すっかり動きが緩慢に、または時が止まってしまったようになっている経済に燃料を注ぎ再起動を促す原動力となる。

しかし同時に、ワクチンパスポートに対する懸念も多いため、実用までに浮上する可能性のある問題の洗い出しが始まっている。想像しやすい問題は、コミュニティーの二極化だ。ワクチンパスポートは、社会のはっきりとした分断と不平等をわかりやすい形で表面化する。特に国際的な分断は人道的にも問題になるだろう。富裕国が非常に速いスピードでワクチンの接種を進めている一方で、貧困国には数えるほどしかワクチンが納品されていなかったり、いまだに納品されていない国もある。ワクチンパスポートの考え方は、ワクチンの接種者が優遇されるようにできているので、これにより富裕国はさらに有意な立場にたち、経済的な回復においても優遇されることになってしまう。

また、ワクチンは必ずしも全員が接種するものではないということがある。世界にはいろいろな理由でワクチンを接種しない選択をする人も少なからずいるわけだが、これらの人々はワクチンパスポートを持つことができないため、圧倒的に不平等な格差が生まれてしまう。これが、個人意思であるのならばまだしも、健康問題を抱えているために接種できない人などもいることを考えれば、そういう人々を差別する社会構造の土台を作ってしまう可能性がある。

そして、もちろん個人情報のリスクについても慎重な見当が必要だ。特にアプリでネットワークを通して情報を管理するのであれば、どのような情報をどこで誰が管理するのかは非常に重要となる。同時にアプリで管理すると決まった場合、スマートフォンを持っていない人はどうするのかという基本的な問題にもぶちあたる。

とにかく、様々な検討しなくてはいけないことがあるのがワクチンパスポートという考え方なのであるが、今現在、世界の賢い人たちが集まって検討してるんじゃないかと思う。

今後のニュースが見逃せない。

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