IHME予想の更新とマスクの配布
「感染者の急減とはずれてほしい予想」で触れた1月の感染拡大のピークを超えると考えられている2月3月の感染拡大予想していたIHMEの COVID-19 Projections の米国の予想データが今日更新された。これにより、なぜ2月中旬から3月にかけて新たな感染拡大が予測されているのかがはっきりした。ウィルスの変異種の影響だ。
米国のあちらこちらで報告されているウィルスの変異種だが、その多くは感染力が強くなっているといわれている。今日も、シリコンバレーの北東のカリフォルニア大学バークレー校でも2人変異種に感染している学生が報告されいる。その感染力の高さから考えればじわりじわりと変異種が広がっていることがわかる。
幸いなことに現在接種が進められているワクチンは変異種にも有効だとされているし、有効性が低い変異種に対してもすぐにブースターが開発できる環境があるといわれている。そのため、カリフォルニアにおける2月中旬以後の感染者の波は大きいと考えられているが、それによる入院者数や死者の数は先日の1月の波よりもずっと抑えられた予測が出ている。すこしほっとする。
といっても、感染者が増えるということは、どこにでかけるのも難しくなる生活が厳しくなるわけで、この状況を睨んで現在マスクの着用が再注目されている。現在米国の75％ほどの人々は出かけるときにマスクをするといわれているが、マスコミのニュースでみかける着用されたマスクが、どうもゆるゆるのものが多い。ちょっと口を動かしているとマスクがずれて鼻が出てしまうというものも多い。あれだけゆるゆるのマスクだと、果たして効果があるかどうか疑問だ。
感染しやすい変異種の報告を根拠にして、専門家はより質の高いマスクや二重マスクを推奨するようになってきた。といっても、質の高いマスクも二重マスクも従来のマスクに比べるとコストが高い。そういう背景もあるのだろう。現在、バイデン大統領のもとでマスクを国民に配布する計画が進んでいるらしい。
パンデミック初期に、アベノマスクが各家庭に郵送されたときに、それが支援かい？とびっくりしたものだが、どうやら米国でも同じことがおこなわれそうだ。ただ、相当な額の支援金が生活の苦しい国民に配布される政策も別に進んでいるので、マスクかい？というクエスチョンマークはたぶんつかない。ただ、どのようなマスクが配布されるかによっては、クエスチョンマークがつくかもしれない。アベノマスクに似た小さなマスクが配布されたら、批判は免れないだろう。そもそも、米国には鼻が高く口が大きい人が多いので、あの小さなマスクだとたぶんなにも隠れない。
さて、どんなマスクがどういうふうに配布されるのかは今だに検討中なので、どうなるかはわからないのだが、マスクの無料配布は米国の中産階級以上にはさほどインパクトはないのかもしれないが、生活に困窮している世帯には歓迎されると思われる。自分で買うのは嫌だけれど、もらえるならば良いマスクをしたいと思っている人々は結構いると思う。
ひとつ残念なことは、ワクチンの接種が進むにつれ、マスクを着用する人が減るだろうとういう予測がされていることだ。この日記にも書いたのだけれど、ワクチンを接種しても集団免疫の獲得まではマスクを着用する必要があるわけだが、人間は単純にできているので、自分や家族が感染しないとなるとマスクを着用するのが面倒くさくなって機会が減っていく可能性は大いにありうる。
しかし、より感染力の強い変異種が広がりを見せている今、ワクチンを接種しようが接種しまいが、人々はより感染防止のための防御を弱めてはならない。そういう背景もあって、マスクを強く推奨するメッセージとしてマスクが配布されるという背景も有るのだろう。
IHMEの予測では今後米国民全員がマスクをする（ユニバーサルマスク）が実現すれば、6月の終わりまでに1万人以上の死者数をへらすことができると報告していることを考えれば、ワクチンを接種したからといってマスクを捨てている場合ではないのだ。
まあ、こんなに科学的なデータに裏打ちされていても、フロリダのほうでは、今でも店員も客も誰もマスクをしていないスーパーマーケットの映像がSNSで流れたりしているので、どうしても話が通じない人たちはいるし、ユニバーサルマスクというのは米国では無理だともう誰もがわかっている。が、それでもせめて、今ぶかぶかゆるゆるのマスクをしている人たち、つまりマスクをする気があるけどよいマスクをしていない人達には、今後より良いマスクを着用し続けられるように、配布するなら顔にピッタリフィットするスタイルで、耳のところの長さが調節できて、マスク部分が3枚重ねになっているような、高級マスクを配布してほしい。
