ワクチン接種記録カード
米国でCOVIDのワクチンを接種すると CDC 発行のワクチン接種記録カードをもらえる。2回接種しなくては行けないワクチンの場合は、第一回目の接種の記録としてもちろんとても重要となるが、たとえ一回だけの接種のワクチンであっても、ワクチンを接種した記録が今後どのように使われるのは未知数だ。もしかしたら、外国に入国するときに提示をもとめらえるなんてことも出てくるかもしれない。
さて、このワクチン接種記録カードだが、待ちに待ってワクチンを接種した人々がカードとともに記念撮影してSNSに載せるというトレンドがある。これは辞めたほうがいい。
第一に個人情報を盗まれる可能性が高い。このカードには氏名と生年月日がはっきり記載れている。接種した医療機関を調べれば住んでいる場所もだいたいわかってしまう。また、これらの写真を基に偽のカードを作る詐欺を誘発する可能性もある。ネットワークの世界には、とんでもないことをするずる賢い犯罪者がたくさんいるのだ。
第二の理由はもう少し複雑だ。現在、ワクチンの分配は満足行くほど順調ではない。たくさんのワクチンの接種の優先順位の高い人々が接種の予約をしようとしても、予約サイトが埋まっていたり、サイトそのものがダウンしたり、電話も通じなっかたりと、予約すらできない状況があちこちで発生している。その上、予約をしても何時間も待たされたり、手違いで接種がキャンセルされたりすることもある混乱ぶりだ。
このような状況で、接種した人々の写真が拡散されると世間に不公平感が蔓延してしまう。ただでさえ、ワクチンにたどり着けずに燻っているフラストレーションに油を注いでしまうことになりかねない。特に、本来なら優先順位が高くないにもかかわらず、残り物のワクチンを運良く接種できた人が、その喜びを SNS で拡散するのは、世間の不満感を高める。だれも祝福してくれない。
たしかにワクチンの接種そのものを不安に思う人に、沢山の人々がワクチンを接種しても大丈夫だったという情報を拡散するのは、ワクチンの信頼性を高めるためには意味がある。ただ、今のようにワクチンの量が足りなくて、沢山の人々が首を長くして待っている状況下では避けた方がよいだろう。
むしろ、もし若く健康でリスクの高い職種についていない人が、運良くワクチンを接種する機会があったとしたら、それは家族以外は知る必要のない情報だ。心のなかにそっといまっておいたほうがいい。
また、今後ワクチンが予約できる立場になったら、健康リスクが高くない人は、先を争って予約をとるのではなく、あえて2週間後の予約をとることで、よりリスクの高い人に接種を譲ってあげてほしいと関係者は語っている。
数ヶ月もすれば、米国の誰もがワクチンを接種できる時がやってくる。そのときには、気楽にワクチンを接種すればよいし、接種ステッカーを貼った写真などを SNS 投稿して、まだワクチン接種に不安を抱いている人を勇気づけるのもいいかもしれない。
でも、その時までは、健康でリスクの低い人は、落ち着いて静かに状況を見守って家にいようと思う。
