シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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変異種とワクチンとファウチ博士

New York Times のデータによると、現在ワクチンを完全に接種済みの人は米国の20%、つまり5人に1人はすでにワクチンを接種済みとなっている。これに、2回接種する必要のあるワクチンの1回だけを接種済みの人を加えると、この割合は34%にまであがる。つまり、1ヶ月後の5月の中旬には完全に接種済みの人の割合は35%を上回るだろうし、1回のみ接種している人は50%に近づいていくことが予想できる。現在の米国のワクチンの接種数は毎月倍増しているので、それを考慮するとたぶん更に高い割合を達成できるだろう。

現時点の New York Times の予測では。6月の末には、ワクチンを完全に接種済みの人の割合は78%となり、米国における18才以上の大人の割合をカバーする。ちなみに、現時点でも16才以下の子供に接種できるワクチンの認可は下りていないので、子どもたちへの接種はどちらにせよ先送りだ。つまり、ワクチンを拒否する人が少なく、今後特別な事故でも怒らない限りは、あと3ヶ月もすれば自分の周りの大人はだいたいみんなワクチンを接種しているということになるのだ。

このスピードはとても重要である。というのも、世界のどこでも問題になっているように、米国でも感染力の高い変異種が猛威をふるい初め、すでに新規感染者のうち27%は英国の変異種であることが報告されている。今後、変異種の割合は確実に高くなるだろうし、その割合が高くなれば高くなるほど、感染拡大のスピードは更に上がっていく。

今米国で起こっている激烈なレースとは、この変異種による感染拡大による大波が来る前に、迅速なワクチンの接種により、波を抑え込むことができるかどうかということなのだ。

変異種の感染力の高さを考えれば、今、感染予防への防御をさげて、マスクをしなくなったり、ソーシャルディスタンスをとらなくなるのは大間違いなのだが、今日、弊社のオフィスが入っているビルに郵便物をとりにいったら、ビルですれ違った人は、ほぼ全員マスクをしていなかった。受付嬢もマスクをしていなかったし、それどころか互いに1メートルぐらいの距離で3人たむろっておしゃべりをしていた。みんな若かったので、ワクチンの接種が終わっているとは思い難いのだが、「まあ、気が緩んでいるんだろうな」というのがわかりやすく視覚化されていた。ワクチンの1回目を接種してから1週間しか経過していない老年の私は、マスクを二重にしてビルに入り、ささっと郵便をとって逃げ出した。クレームをビルの管理会社に出すかどうか考えているところだ。

ちなみに、我らが尊敬するファウチ博士は、1月にはすでにワクチンの接種を終えているのだが、彼のプライベートの生活がワクチンの接種によってどう変わったか、というニュースが出ていた。これは興味がある。というわけで、そのニュースからの情報は以下の通り。

多忙なファウチ博士は、もともとあまり頻繁にパーティに参加する時間などないのだが、近所の人達とはときどき一緒にご飯を食べたりしているらしい。ワクチン接種前は、秋でも冬でも、庭のデッキで凍えながら、食べたり飲んだりしていた彼らだが、全員がワクチンを接種してからは、屋内で普通にディナーを食べるようになったそうだ。ワクチンを接種した者同士が数人集まって、屋内でマスク無しで食事をすることには、特に抵抗ないとファウチ博士は語っている。

しかし、不特定多数の人が集まる屋内営業のレストランや映画館を訪れる予定は当分ないそうだ。レストランや映画館というのは飲んだり食べたりする場所なので、必然的にマスクをとることになってしまう。そこにはワクチンを接種していない人も当然いることを考えると、ファウチ博士はいまだにそのような行動は快く感じられないと語った。

また、旅行に関しても、パンデミックが収まるまでは休暇で飛行機に乗って旅行することはないだろう語っている。これはもちろん、感染拡大を杞憂することもあるだろうが、そもそも彼にはそんなことを考える時間もないというのも、大きな理由だ。彼はすでに1年と3ヶ月におよび、丸一日休んだ日はないそうで、自ら「私は普通の生活をしていないから」と言っていた。確かに!

というわけで、ファウチ博士を見習うと、ワクチンを接種してもしばらくはこのままの生活が続きそうだが、個人的には別にかまわない。私はいろんな面で(仕事面でも家族面でも)幸運だったので、今の生活にあまり不便を感じていないからだ。安心感が増え、友人にもっと気楽に会えるようになるのだから、それで十分なような気がする。我が家には、未だ接種するワクチンが認可されていないティーンエイジャーがいるので、ファウチ博士のような友人との屋内ディナーはまだまだ先の話だが、そもそもカリフォルニアのこれからの季節は、外で集まったほうが気持ちがいいし。

ティーンエイジャーのワクチンといえば、今日、ファイザーが12歳から16歳までの臨床試験が終わったらしく FDA に認可のための申請を行ったようだ。秋の新学期までには、中高生もワクチンの接種が完了している可能性が出てきた。

米国がこのように刻一刻とパンデミックの出口に進んでいる中、世界が今の米国と同じくらいの割合(つまり全人口の20%)にまでワクチンが浸透するのは、2022年初頭だと言われている。今の米国のワクチン接種拡大スピードは、絶対的にも相対的にも驚異的に速い。そのため、米国以外でワクチンが不足している国々には申し訳ない気持ちもある。しかし、以前も日記に書いたように、今、米国民のワクチンの接種を全力で進めなければ、少し落ち着いてきた米国の政情が再び不安定になる可能性は高い。世界に供給されるワクチンの多くが米国産であることを考えれば、米国の政情不安はワクチンの安定供給の妨げになるだろう。私見を言えば、自分のワクチンの接種が遅れるのは許容できるが、米国の政情が不安定になるのは勘弁してほしい。本当に怖い。

とにかく米国は大急ぎで自国民にワクチンを行き渡らせ、次にワクチンを世界に安定供給するための万全の体制を整える必要がある。

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