ドクターペッパーが買えない？（規制緩和フェーズ2） - シリコンバレーロックダウン後日記

ドクターペッパー、あの謎の薬のような味わい。

米国では非常に人気が高い炭酸飲料だが、私はどうもあの薬のような匂いとベタベタの甘さが気になって好きになれない。だが、米国生まれで米国育ちの我が家のティーンは大好きである。やはりあれは米国の味なのだ。その米国人が大好きなドクターペッパーの品薄騒ぎがニュースになっている。

3月のロックダウンからなかなか手に入らなかったものがいろいろとあった。マスク、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、卵、パン、ハンドサニタイザー、消毒付きワイプ、小麦粉、イースト、実に多彩なものが手に入りにくくなった。しかし、一流メーカのハンドサニタイザーとワイプを抜かして、ほとんどのものは普通に手に入ようになった今になって、なぜかドクターペッパーがリストに仲間入りだ。

しかし、なぜ？なぜドクターペッパーが品薄になったのか？

いろいろな説があるが、まず、ロックダウンの初期にトイレットペーパーの買い占めが問題になった頃、一部の人々の間では腐らないものはなんでも買い占めようとする不思議な行動が流行った。そのときに缶詰や缶入りのジュースもそうとうに買いだめされたため、そもそも通常よりも在庫が減っていたのだ。

そこにきて、規制緩和後もレストランがテイクアウトか室外ダイニングしか提供できない今、ディスペンサーからつがれる飲み物は敬遠されるようになり、一人分づつ入っていてその場で開けて飲める缶やボトルのような飲みのもの需要が高まった。同時に、家での飲食の機会が増えたため、外出時にカップで買って飲んでいたものの代わりに、家で缶やボトルを買い置きするようになったのもその要因だといわれている。

我が家のティーンの勝手な予想によると、主な飲料を会社や学校ではなくて自宅で飲むようになったのも原因の一つだという。なぜ？会社や学校で飲むのと、家で飲むののなにが違うのかと聞いてみると、彼曰く、人前ではソーダ類のような不健康で安っぽいロゴが目立つ飲み物より、スマートで健康的な飲み物を選ぶ人も、自宅で人目を気にせず飲むとなれば、罪の意識も余計なプライドもなくドクターペッパーを堂々と飲めるからだという。

笑えるが一理あるかもしれない。

じゃあ、ドクターペッパーじゃなくたってコーラだってファンタだっていいじゃないかと思うのだが、実は、ロックダウンの前からドクターペッパーの売上が徐々にのびていたらしく、どうやらドクターペッパーのファンは供給元が思っていたよりも多かったらしいのだ。

ロックダウンで買えなくなったもののリストにドクターペッパーが入ったのは、あまりにも米国的で面白い。

さて、話は変わって、先週の日記で追っていたニュースの続報を短く２つ。

1つ目は、カリフォルニアの感染者数がシステムトラブルにより実際より少なく報告されていたニュースだが、ようやくデータがほぼ復旧されてわかったことは、抜けていたデータを足しても、やはり感染者数は減少傾向を示していたことだった。ニューサム州知事は今度こそ自信をもって、カリフォルニアは曲がり角を曲がりつつある(危機的な状況を抜けつつある)と宣言した。このまま、下降傾向を維持し続けて「カリフォルニアの軌跡」と呼ばれた5月ぐらいの水準まで落としていってほしい。

2つ目は、マスクをしない生徒がすし詰めの廊下がソーシャルメディアで披露されて多いに批判されていたジョージア州の高校のニュース。この高校、学校開始とほぼ同時に9人の感染者が報告されたことをうけ、今週の月曜日から2日間、学校の消毒のために臨時オンラインスクールにすると発表していたのだが、結局そのまま金曜日までオンラインスクールとなった。そして、来週からは生徒が半分づつ隔日で登校し、残りはオンラインクラスをうける、いわゆるハイブリッド方式に切り替わることが発表された。安全とは程遠い学校環境に登校を余儀なくされ、怯えていた生徒やその親達には朗報である。どうせならマスクも必須にするべきだと思う。

すし詰め廊下の写真をソーシャルメディアにアップロードした生徒たちの勇気を讃えたい。が、残念なのは、この勇気ある行動により結果的にはコミュニティの何人かの命が救われたかもしれないというのに、そうは考えない一部の保守層により、彼女たちは学校でも家の周辺でも嫌がらせを受けているという報道があった。以前よりも安全な環境を手に入れた代償が、嫌がらせの標的になることという、あまりに理不尽な話であった。

最後にシリコンバレーに重要な情報をひとつ。シリコンバレーがあるサンタクララ郡では、昨日、規制違反に25ドル以上500ドル以下の罰金を課すことが許可された。今後はパブリックスペースでマスクをしていないと、罰金を課されることがあるので、うっかりマスク着用を忘れたりしないようにシリコンバレーの住人は気をつける必要がある。また、規制違反で営業しているビジネスには、個人より高額な罰金が課されるというニュースも発表されている。