シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ロールバック(規制緩和フェーズ2)

とうとう規制緩和が本格的にロールバックされ始めた。フロリダ、アリゾナ、テキサスなどの南部のさっさと規制緩和を実行した州における急激な感染拡大を食い止めるためのロールバックかと第三者的な気分でいたら、非常に慎重に規制緩和を進めていたここカリフォルニアでもロールバックがかかった。

カリフォルニア州のニューサム知事は、今日、感染者が急増している南部のカウンティを中心に、ここシリコンバレーも含めた19の郡において、室内の飲食、バーの営業、映画館など室内のエンターテイメント施設などのシャットダウンを発表した。ようやくビジネスが動き出したところのロールバックに、対象になったビジネスはさぞや肩を落としたに違いない。気の毒である。

カリフォルニアは医療施設に余裕があることや、人口比で見れば南部ほどの感染拡大は起こっていないことを考えると、今、このタイミングでロールバックを宣言するのは勇気がいる。カリフォルニアは3月中旬からのロックダウンで経済的に大打撃を受け、失業率も非常に高い。このシャットダウンで経済は再び打撃を受けるし、せっかく雇われ直されたサービス業の労働者たちも再び一時的に解雇される可能性が高い。反発は必須だ。

しかし、カリフォルニアは、このロールバックを受け入れねばならないほど感染者、入院患者、死者が急増している。今、思い切ってロールバックすれば、医療崩壊や死者の激増が懸念されている南部の州のようにならないですむ可能性が高い。全米で最も人口を抱える州として、これは州政府の英断だと思う。

また、このシャットダウンは人々の外出を減らすことで感染拡大を防ぐだけが目的ではないと思われる。規制緩和に浮かれて、ルールを守らずに、マスクをつけず、ソーシャルディスタンスを保たないで、バーやレストランで社交を楽しんでいた人々に、感染者が増えれば州政府は躊躇なくロールバックする用意があることを教える重要な過程なのだ。残念なことに、世の中には体験しなければ学ばない人がたくさんいる。こうやって実際にロールバックを体験すれば、次に緩和された時は、人々はもう少し慎重になって行動するだろう。彼らには学習が必要なのだ。

今回の感染の主な舞台は、バーとホームパーティだと言われている。バーはシャットダウンすればすむが、ホームパーティはどうだろう。むしろバーが空いていないから、誰かの家や公園に集まって飲んで騒ごうなどと考える懲りない若者が出てきたら、せっかくのロールバックも意味をなさないし、彼らは何も学ばない。もしそんなことになったら、ホームパーティに罰金を課すぐらいの厳しい規制が新たに必要になるかもしれない。

ところで、このロールバック、ここシリコンバレーには実は全く影響を及ぼさなかった。それほどまでに、シリコンバレーの規制緩和は進んでいなかったからだ。室内での飲食もバーの営業も、映画館などの娯楽施設の営業も、3月中旬以来、シリコンバレーではシャットダウンしたままだ。なので、むしろ今回の発令により、カリフォルニアのほかの地域はそんなに緩和されていたのかと少し驚いた。

ロックダウンの開始から3ヶ月半、季節はいつのまにか夏になり、カリフォルニアの夏はいつものように美しく快適だ。通常なら旅行に出かけたり、庭でホームパーティを楽しむ季節だが、マスクをして出かけるのも面倒だし、パーティは開けない。

そこで、我が家では今年はバックヤードを例年より整備し花を咲かせ、毎週末、そこでバーベキューをしている。週末ごとに違う材料と味付けで、これまでなかったほど頻繁にバーベキューを楽しむ夏だ。美味しい食べ物とお酒があれば、家族だけでも十分に楽しめる。友人とはネットワークを通して連絡を取り合って、たまにはバックヤードでソーシャルディスタンスを保って会うこともある。これだけで十分に豊かに暮らしていけると思っている。

そんな夏が、秋が、冬が、一生に一度ぐらいあってもいいと、米国の全ての人が考えて家にいてほしいと願う日々である。

 

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