シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ジョージア州は米国の縮図(パープルティア)

今更、マスクの効果について懐疑的な人は少ないと思うのだが(米国の地域によっては今でもマスクを着用するかしないかは個人の選択だとしているが)、興味深い記事を読んだので覚書をしておこう。

パンデミックが始まって以来、ジョージア州は全米から注目される機会が多い。これまでは地図でジョージア州の位置がおぼろげだった私も、今ならジョージア州がどこだかはっきり言える。

最初にジョージア州が注目されたのは、5月、トランプ大統領の早急な経済再開の呼びかけにいち早く応える形で、ほかの州の先頭を切る形で一気にロックダウンを解除したときだ。無茶ぶりの激しい州知事のもとで州民はさぞや不安だろうなと心底同情した。ちなみに、その後、ジョージア州随一の大都市アトランタがマスク着用強制の条例を採択したところ、なんとこの州知事はアトランタ市を法的に訴えた。ちなみに、現在のこの訴えは取り下げられ、州ではマスク着用が奨励されている。未だ強制ではない。

次にジョージア州が注目されたのは、夏のサマースクールでの大規模クラスタの発生(「警告」)と夏の終りの学校再開だ。マスクの着用は個人の選択のまま、ジョージア州では通常通り学校へ登校する形で新学期が始まった。さて、ジョージア州のある高校生が、新学期初日に恐る恐る登校してみると、学校の廊下はパンデミック前と変わらず大混雑であり、その混雑中生徒の大半がマスクをしていなかった。その光景を生徒がビデオに収めてSNSに投稿したところ、学校から停学処分になったというニュースが全国を駆け巡った(「 ソーシャルメディアとニュースソース」および「ドクターペッパーが買えない」)。

そして、最近ジョージアに米国中の注目が集まったのは選挙である。長い間共和党のテリトリーであったジョージア州は今回の大統領選挙でも、トランプ氏が勝つだろうというのが大方の予想だったのだが、実際には、最後の最後まで息を呑む接戦を繰り広げ、最終的には1万票前後という僅差でバイデン氏が勝利した。あまりの僅差であったため開票結果報告直後に、州自ら再集計を開始した。そして、再集計の間に現政権から圧力がかかっているかのような報道も出たが、約一週間の再集計の結果でも結果は変わらず、先週の金曜日ジョージア州は正式にバイデン氏の勝利を発表した。非常にドラマティックな展開であったため、ジョージア州は今回の選挙を象徴する州として注目の的である。この選挙結果と5月から8月までにかけてのジョージア州の感染をめぐる混乱は、関係があるのではないかと私は密かに考えている。

前置きが長くなったが、そんなジョージア州からもう一つ興味深いニュースだ。先程も書いたようにジョージア州ではマスクの着用は推奨に過ぎない。そこで、学校におけるマスクの着用についての判断は学区に委ねられている。ジョージア州のエマニュエル郡では、学校でのマスクの着用は個人の選択として学校を再開した。その結果、学区のある中学校では、生徒の半分はマスクを着用せず、受付の職員もマスクを着用したりしなかったりの状況だった。学校が始まって2日後、受付の職員2人が体調不良を訴え、感染テストで陽性になった。引き続いて校内でウィルスがアウトブレイク、その結果9人の教師が感染し、そのうち1人は重症となり人工呼吸器を使用して4週間闘病することになった。また、ウィルス感染者との接触の疑いがある100人以上の生徒が隔離されることになった。

一方、エマニュエル郡から300キロほど離れたジョージア州マリエッタ市の学区では、市の条例によりマスクの着用は幼稚園の生徒に至るまで必須とされ、完全マスク体制で学校が再開された。その結果、学校再開後1ヶ月間、学校を媒体にしたウィルス感染はゼロと報告されている。

エマニュエルとマリエッタの状況の差には、政府が感染防止の公衆衛生対策にどこまで踏み込んでいるか差が直接反映されている。これだけ明確な差が判明していているにも関わらず、現在の大規模な感染拡大の中、各州の政治家たちは、自由侵害と経済への打撃の反発に怯んで、厳しい公衆衛生対策に踏み切れないでいる。現在でも米国50州のうち、11州ではマスクの着用は奨励であり強制されていない。

マスクの着用ほどシンプルかつ効果のある感染予防対策はないと言われているし、すでにたくさんの研究結果や事例がそれを証明している。そんな折なので、たとえマスク着用が強制でなくても、個人が着用することを選択するのが道理というものだ。しかし、残念ながら、この期に及んでもパンデミックがデタラメだと発言する人がいる土地では、マスクの着用を選択する人はいない。

そして、今日、毎年恒例のホワイトハウスのターキーパードン(感謝祭の直前に大統領が七面鳥に御社を与えるイベント)に登場したトランプ大統領は当然のようにマスクをしていなかった。彼は既に感染しており、免疫を持っている可能性が高いのだからマスクをしなくてもいいと考えることもできる。しかし、彼は大統領だ。国民の模範としてマスクをすることを選択できる立場にいる。といっても、免疫がないときでもマスクをしなかった彼がその選択をすることはない。そもそも、パンデミックの最中に、この必然性のない慣習イベントをゲストを招いて開く必要があったのだろうか。救いは、イベント参列者は皆マスクを身に着けていたことだ。9月に全く同じ場所で行われたホワイトハウスのスーパースプレッダーイベント(「ホワイトハウスのクラスタ」を参照)とはまったく別の光景がそこにはあった。

ロックダウン以外のブログ始めました。ゆっくり更新予定です。

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