シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

ビジネス所有者って?

昨日、のんきにも、サンタクララ郡のビジネスの所有者は従業員のワクチン接種状況を報告しなくてはいけないなどと書いて、翌日、はっ!と気がついた。

サンタクララ郡のビジネスの所有者?私じゃん!?私もやらなきゃだめじゃん!

えっ?いつまで?えっ?どこに報告するの?

と、朝からパニックになったところで、ニュースを確認し直したら、ワクチンの接種状況を把握追跡して、それに伴いビジネスを運営しなくてはならないだけで、報告義務はなかった。あー、よかった。

というわけで、特になにもしなくてよいらしいが、同じように混乱したビジネス所有者は相当いたらしく、郡の保健局には問い合わせが殺到しているらしい。

なにしろ、普通のオフィス業務はもちろんだが、レストランや小売店でも同じルールが適用されるらしい。たとえば、予定通り6月15日にカリフォルニアが現在の規制を解除してCDCの規制に合わせるとしても、ワクチンを接種していない店員が店に一人でもいると、ほかの従業員全員がワクチンを接種していても、店内では全員マスクを着用しなくてはいけないだろうか、とか、まあとにかくいろんなパターンが考えられて、ビジネスの所有者たちを悩ませているようだ。

弊社の場合は、一緒に働く人たちは、皆ネットワーク通信なので、その点はまったく混乱はない。これまで通り全員がそれぞれの場所で、それぞれの仕事をするだけですむ。

さて、昨日はサンタクララ郡の話だけを書いたが、実は隣接しているサンマテオ郡とサンフランシスコ郡もすでに最大限に規制が緩和されるイエローティアに所属していて、ワクチンの接種率もサンタクララ郡と同じように非常に高い。つまり、シリコンバレーが所属しているほぼすべての地域は、今や全米でも有数の感染率が低い地域であり、ワクチン接種率が高い地域である。これは本当にもしかしたら、もしかして、シリコンバレーは集団免疫に近い状態が確立できるかもしれない。

解放後にシリコンバレーを訪れる観光客やビジネス客が、どれくらいウィルスを運んでくるかは未知の確率だが、住民のワクチンの接種率の高さからいっても、それほど脅威にはならない可能性がある。こういうときは、さすが科学と技術の街、シリコンバレーだなと少し自慢に思ってしまったりする。

が、世の中はそんなに甘くなくて、早速今日はシリコンバレーのあるサンノゼのホットドック屋にマスク無しでやってきた客が、マスクをするように店員に促されて怒り、店員と客を仕切っているプラスチックの板にツバを吐きかけて立ち去ったという、なんとも情けないニュースがツバを吐きかけている映像付きででていた。店員が気の毒だ。

CDCのマスク解除ガイドラインにより、シリコンバレーでは再びマスク着用を巡る争いの火種がくすぶり始めた。多くの人はコミュニティのためにとマスク着用ルールに従っているが、どうしてもこれに従えない人も結構いるもんだ。そして、そういう人の中には、喧嘩をふっかけたり、悪態をついたり、それこそツバを吐いたりする人が結構いたりする。残念だ。

とにもかくにも、シリコンバレーは今日も予約なしで訪れる人にワクチンをばんばんと打っており、高校生にはワクチン接種時にタピオカティーのギフトが出るというイベントもやっていた。我が家のティーンにもタピオカティー貰いに行くか聞いてみたが、期末試験の課題に忙しいので月末の予約でよいのと返事だった。

まあ、そんなもんだ。

  にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから!

イエローティアとオフィス勤務

シリコンバレーの所属するサンタクララ郡が、カリフォルニアのティアシステム始まって以来はじめて、最も規制が緩和されたイエローティアに今日から昇格した。といっても、ワクチンの接種が始まってからというもの、巷の緊張感がすっかり溶けているので、以前のようなティア昇格に伴う喜びや緊張がない。カリフォルニアのティアシステムも、ワクチン接種が進むにつれて名ばかりシステムになっていくのかもしれない。

それでも、レストランやジムなどを営業しているビジネスにとっては、朗報だ。室内にいれることのできる顧客数が増えるし、バーに至ってははじめて室内営業が可能になる。そして同時に発表されたのは、サンタクララ郡のビジネスに対するオフィス勤務規制の撤廃だ。とうとう、シリコンバレーのオフィスに人々が戻れるようになった。

もちろん、このパンデミックで浸透した自宅勤務体制により、多くのコンピュータ系の企業は以前のように毎日出勤する形には戻さないといわれているが、それでも週に何日かはオフィス出勤を始める人が増えてくると思う。

さて、この規制撤廃に伴いサンタクララ郡は新たなルールを設けたのだが、これが話題をよんでいる。

そのルールというのは、雇用主は、従業員のワクチン接種状態を調べて追跡しなくてはていけないというものだ。このルールに従うと、出勤する従業員のすべてがワクチン接種済みの場合、みんなマスクをしないでも従業できるが、一人でもワクチン未接種の従業員がいる場合、全員がマスクをしなくてはいけないし、未接種の従業員はソーシャルディスタンスも保たなくてはいけない。プライバシーの問題もあるので、従業員は必ずしもワクチンを接種済みかどうかを雇用主に報告する義務はないが、報告しない場合は未接種者と同じ扱いになる。

これはなかなか強硬なルールだと思う。サンタクララ郡は決してワクチンの接種を強制するものではないと言っているが、実際のところ、ワクチン未接種の従業員がいると、雇用主は非常に都合が悪い。未接種の従業員だけ、違う扱いにして自宅勤務を続けるなどのオプションを用意しなくてはならない。このような状況では、従業員にワクチンを受けてくれないかとお願いする雇用主もいるだそうし、それをお願いする分には違法とはならない。

これは従業員にワクチンを接種する重要な理由を与えることになる。法律家によると、もしワクチンを接種していないという理由で従業員がクビになっても違法にならない可能性が高いらしい。これはなかなかにプレッシャーが高い。サンタクララ郡は強制ではないと言いながら、結果的にはワクチン未接種の人々に最大限のプレッシャーを与えている。

ちなみに、現在サンタクララ郡では毎日のように予約なしのワクチンの接種イベントがあちらこちらで多発していて、いつでも誰でも仕事の後でも、仕事の前でも、ちょろっとよってワクチンの接種ができるようになっている。このため、受けに行けない理由を探すのは難しい。また、高校を会場にしてティーン対象のワクチン接種イベントも行われている。

今や、サンタクララ郡の16才以上の大人の75%がワクチンの1回目は接種済みだそうだ。全国的にはいまだに50%に満たない数字なのに、75%を達成しているというのは、サンタクララ郡のワクチン接種への信念というか執念が明確に数値化されている。ひょっとして、このまま頑張ればサンタクララ郡だけなら集団免疫を達成できるかもしれないなと思ったりする。隣近所の郡や旅行者がいるから本当の意味での集団免疫ではないのかもしれないけれど。

とにかく、このような感じにシリコンバレーの暮らしは、日々ストレスが軽減されていくのがわかる。散歩中にマスクをしている人は激減したし、マスクをしつつだが近所の友人を尋ねる機会も増えた。食料品の買い物に行くときもダブルマスクの必要性はもう感じないので、シングルマスクででかけるようになった。それほど、ワクチンの接種者が多く、感染者が少ない、つまりウィルスの蔓延度が低くなっているのだ。

どうやら、シリコンバレーは変異種の拡大よりもワクチンの拡大のほうが早かった。COVIDが拡散してはじめて、ウィルスとのレースで勝ったような気がする。確かにワクチン接種スピードは想像を絶する速さだった。あまり奇跡を信じるほうではないけれど、このワクチンの接種プロセスはまるで「奇跡」のように速かった。これを現実化した人々の努力に敬意を評したい。

そして今後は、ティーンエイジャーへの接種が進んでいくのだろうけれど、それだけではない。これからは、米国以外の国々へのワクチンの配布が注目されるべきだ。先日もバイデン大統領は6月末までに2000万ショットを世界に提供すると発表した。すでに発表済みのアストラゼネカと合わせると合計8000万ショットをCOVAXを通じて世界に提供する。これはもちろん人道的にも重要だが、それだけではない。米国にはこの行動をしなくてはならない理由がある。

米国と常に微妙な関係にある大国である中国とロシアはどちらもそれぞれ自国で開発したワクチンを持っている。世界にどれだけたくさんのワクチンを供給して世界の救済にどれだけ貢献するかは、今後の国際社会の影響力にも当然ながら関係してくる。国内状態が落ち着いてきた今、米国は世界に対するワクチン外交を本格化する必要があるのだ。

インドの一日あたりの死者が4千5百人を超えた。公式に数えられていない死者はこれを遥かに超えるだろうと言われている。この状況下、米国はその富と技術が生み出した驚くほど優秀なワクチンたちを、世界に拡散していかなくてはならい。

  にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから!

 

カリフォルニアは6月15日までマスク着用(室内)

マスク着用ルール大混乱のカリフォルニア週末が明け、絶対なんらかの発表があるだろうとの予想通り、州の保健局みたいなところからのお知らせがあった。

その内容は、CDCの新方針(「ワクチン接種済みの人にパンデミック前の生活が戻る(かも)」を参照)にもかかわらず、カリフォルニア州では以前に定めたカリフォルニアのオープン日である6月15日までは、室内のマスクの着用ルールを継続するというものだった。この発表は一部では驚きをもって受け取られたが、一部では予想通りだと受け取られている。それほど、マスクに関してのカリフォルニアの人々の意見は様々だ。

私個人的には、どちらに転ぶ可能性もあると思っていた。カリフォルニアの厳しい規制に反発する形でリコールのプレッシャーを受けている知事としては、CDCの新方針にもかかわらず室内でのマスク着用を義務付けることは更に大きな批判を受ける可能性があるため、怯んでくるかもしれないと思っていた。が、同時に、全米で一番最初にロックダウンを施行し、これまでの慎重に慎重を重ねたカリフォルニアの独自路線を考えれば、CDCがなんといおうが、州の方針のまま突き進むという可能性も大いにあった。

結論は、現時点において、カリフォルニアは独自路線を貫き、残り一ヶ月室内でのマスク着用を続ける。これまでの年月に比べれば、たったの一ヶ月なので、大多数の人々はそれほどショックを受けていないと思われるが、息絶え絶えのレストランや小売店などのスモールビジネスの所有者の中には怒りを持って受けとった人も多かっただろう。

それにしても今回のCDCの発表のやりかたはうまくなかった。突然、なんの予告もなく、新方針を発表。それも、2週間前に出した方針をガラッと変えてきたのだから、この2週間でなにがあったと勘ぐられてもしょうがない。もう少し根回しや匂わせなどをしてから発表することもできただろうにと思う。こんなに突然、「ワクチン接種者はもうマスクはいりませんよ」と言われても、一年以上マスクをしてきた多くの人々はマスクを手に困惑している。その戸惑いを収拾すべくカリフォルニアが出した結論は、「もうちょっとマスクをしてましょうよ」というところなのだろう。

CDCと同様に、カリフォルニア州政府もパンデミックを通じて科学をもって対応すると言い続けてきた。今CDCが科学的根拠により、ワクチン接種者は、公共交通機関以外ではマスクを外していいといってきたのだから、それを受け入れないのは「科学を信頼していない」対応なのでは、という批判を受けることもあるかもしれない。

しかしながら忘れてはならないのは、CDCはあくまでも科学的根拠をもとにマスクを外してもよいいっているだけで、その前提には人は嘘をつかないという仮定がある。現時点で、米国のワクチンの接種率は大人の50%ほどである。皆が嘘をつかなければ、CDCのガイドラインに従った場合、街行く50%の人はマスクをしないが、50%の人はマスクをしたままとなるはずだ。

しかし、誰もが予想できるように、ワクチンをしているかしていないかは見た目ではわからないことを考えれば、マスクを毛嫌いしてきたマスク反対派の多くは(実はワクチン反対派とも重なる人が多い)ワクチンを接種していなくてもマスクを外してしまう可能性がある。つまり、言葉にならない嘘をつくのである。

となると、ウィルスが再びレストランや小売店の室内に発散される可能性があり、現在程度のワクチン接種率では、感染再拡大の可能性はありうる。特に何らかの理由でワクチンを接種したくてもできない人や未だに接種にたどりつけないでいる人達、接種しても効果が足りない人たち、つまり弱い立場にいる人達を危険な立場に追いやってしまう可能性がある。

もう少しワクチンの接種率が高ければ、たとえワクチンを接種していないにもかかわらずマスクを外す人たちがいても、感染する可能性のある人達が減る。ウィルスが感染する媒体が少なくなればなるほど、感染再拡大のリスクも低くなる。それが現在カリフォルニアが目指している6月15日なのだと思う。6月15日までにできるだけ多くの人にワクチンを接種させようとしているのだろう。

マスクをしている人、マスクをしていない人が入り混じったコミュニティでは、実際に誰がワクチンをしていて、誰がワクチンをしていないのかはわからない。ワクチンを接種済みの人は、どのような状況でも守られている立場であるのだけれど、ワクチンをまだ接種していない人のために、もうしばらく全員でマスクをしていましょうという方針だといえる。そもそもマスク着用の目的は、自分を感染から守るためではなく、周りの人を感染から守る、つまりコミュニティを感染から守るためであったことを考えれば、自分が感染しなくなったとしても、もう少しのあいだマスクをしているというのは実は理にかなっている。

現時点で、ワクチンを打っているにも関わらずマスクを着用し続けるのは、以前のように自分がウィルスを運んでいる可能性があるからではない。ワクチンを打っていないにもかかわらずマスクを外そうとする人からコミュニティを守るためなのだと思う。

それにしても、州政府はCDCの発表により勢いの増すマスク反対派のプレッシャーに、残りの一ヶ月耐えることができるだろうか。それは未だにわからないけれど、できることなら頑張って欲しいと思う。

サンフランシスコの街を歩いていた男性がインタビューに出ていた。

「僕はワクチンの接種終わってるけど、街なかではマスクをするよ。だって、ワクチンの接種をしていない人はマスクをしている。そういう人たちとすれ違うときにナーバスな気分にさせたくない。今は、それが僕にとってマスクをする理由だよ」

優しい言葉に心が軽くなった。

  にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから! 

マスクルールは大混乱

木曜日のCDCによるワクチン接種済みの人は室外だけではなく室内でもマスクをしなくてもよいという突然の新方針(「ワクチン接種済みの人にパンデミック前の生活が戻る(かも)」を参照)により、ここベイエリアの人たちは混乱、混迷の週末を送っている。

シリコンバレーが所属するベイエリアと呼ばれる地域は、早くからマスク着用ルールを守る人が比較的に多かった。それほど大きな問題もなく、多くの人々がマスク着用ルールに従い、小さな誤解や小競り合いはあったかもしれないけれど、全体的にはうまく制御されてきた地域だ。

そして、感染規模が米国で一番低くなった今、州政府が6月15日にマスク着用規制を解除する予定だと発表していたので、それまではワクチンを接種していようが、していまいが、マスクを着用して過ごす気満々の州民だったのだが、突然にして連邦からワクチン接種者はマスクする必要ありませんというガイドラインがでたのだ。

いったいどうすればいい?

正解は、CDCのガイドラインが提示したように、所属する州および郡のガイドラインが優先するので、州政府が今だにマスク着用規制を解除していないカリフォルニアでは、依然として室内におけるマスク着用は義務だ。

しかし、小売店や食料品店の全国チェーンが次々と従業員と顧客に対するマスク規制を解除するというニュースが流れているので、多くの人々はこれらの店ではマスクを着用しなくてもよくなったと誤解しても無理はない。ちなみに、カリフォルニアではこれらのチェーン店でも、州政府の方針が変更しない限り、まだマスク着用は義務だ。

まったくもってややこしい。そもそも、全国でもっとも感染規模が小さくなっているカリフォルニアだけに、CDCのガイドラインをうけて多くの州が次々のマスク着用規制を解除している中、なぜカリフォルニアはいまだにマスク着用が義務なのかと、抗議する人がいても無理はない。

しかし、そもそもCDCのガイドラインが先走りすぎているので、たとえ州政府がマスク着用規制を解除しても、しばらくはマスクをしているつもりだという州民も多い。特に子どもたちはまだワクチンの接種をしていないことを考えれば、子供を持つ家族にとって、CDCのガイドラインは総合的に子供への感染リスクが高める可能性があるので、いっそう行動しにくくなったと考える人々もいる。

今、カリフォルニアではマスクルールは大混乱だ。

今日、近所の公園に散歩に行ったが、マスクをしている人、していない人、実に様々だ。実際には州政府は室外においてマスクをしなくてもいいとしているので、全員マスクをしていなくても規制違反ではないが、公園のような微妙に人が集まるスペースというのは判断が難しく、マスクをしている人としていない人は半分ずつぐらいという感じになっている。

そして、たぶん多くの人々は「これでいいのかな?」と首を捻っているに違いない。私自身、ワクチン接種済みなので散歩中にマスクをしていなくてもいいはずだ。息があがるので基本マスクをせず手に持って歩き、マスクをしている人とすれ違うときはマスクをしたりした。なんだかよくわからない、あいまいな感じだ。

この混乱ぶりからして、たぶん来週あたりには州政府からなんらかの発表があるのではないかと考えられる。個人的にはまだまだ室内でマスクをしていてもいいと思っている。現時点でワクチンをしていない人々や子供の割合を考えれば、室内では全員マスクをするのは妥当な判断だと思う。ほかの多くの州民のように、CDCのガイドラインは早すぎると感じている。が、前にも書いたように、CDCはこのガイドラインによって、より多くの人にワクチンの接種を促そうとしていると思われる。集団免疫を目指すCDCのその気持もわからぬではない。しかし、本当にこの作戦でワクチンの接種者が激増してくれるだろうか。

今日のニュースのインタビューで、一人の若い女性が「もちろんマスクは外すべきだし、外していいなら今すぐとるわ。ワクチン?もちろんしてないわ。する気もないわ。私は健康だし大丈夫。自分で自分の世話ぐらいできるわ。ビタミンも飲んでるし」と答えていた。なぜか、ワクチンを受けないと言う人の多くは、似たようなことを言う。大抵は「自己責任だから」、「健康だしビタミンを飲んでる」とかいう人が多い。そして私はいつも、なんでそこでビタミンなんだろ、関係ないよなあと思う。

彼らの視点は常に自分だ。自分は大丈夫から、自分はちゃんとしてるから、と常に自分の立場から語る。自分を媒体にして感染が社会に広まっていく可能性や、集団免疫を獲得しようという、広い視界からのビジョンがあまり語られない。

どちらのビジョンからも考えた上で、いきついた結論であるならば仕方がないと思うのだけれど、そうではなさそうなところが残念だなと思う。

  にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから! 

将来の不安へのストレスと感染するストレス

とうとうティーンエイジャーたちのファイザーの接種が始まった。これまで16才以上が接種対象だったのに対し、12才から15才までの接種が始まったのだ。

これを待ち望んでいた人々は多いが、同時に、子供に接種させるかどうかを決めかねて悩む親はたぶんもっと多い。12才以上にワクチン接種許可 」にも書いたように、接種可能になったらすぐに接種させると答えた親は30%にとどまっている。

実際、ここシリコンバレーで解禁になった日、私の知り合いで接種した子供は1人に留まった。これは、全員が躊躇しているというわけではなくて、単純にハイスクールの期末試験期間と重なったため、試験後に接種する、または、夏休みに入ってから接種すると考えている生徒も多いからだと思う。が、実際に躊躇している親は本当に多い。私の知り合いにもたくさんいる。

子供にワクチンを接種させることを躊躇する最大の理由は、ファイザーがまったく新しい新技術であり、誰もが10年後20年後の影響を予想することができないからだ。接種直後の副反応はすでに相当のデータが集まっているので、ある程度の予想が可能だが、10年後20年後のデータはもちろんない。私達がそのデータであり、未来の人々の科学の発展に寄与することになる。

そんな、SFチックなビジョンの新技術なので、自分自身が接種するときは、大丈夫だと言われているとか、科学を信じているとか、残りの寿命を考えるとあまり心配しないとか、様々な理由を持って、自ら判断して接種しているので迷わない親たちも、子どもたちのこととなると判断しかねる。

そもそも、子どもたちにはこの先長い未来が待っているのが普通だ。20年後に副反応が発見されて人生が狂うかもしれないとか、どうして安易にワクチンを接種させたんだろうと将来後悔するかもしれないとか、心配に値する理由はたくさんある。そして、子供が若ければ若いほど、子供の判断ではなく親の判断が接種するかしないかを決めることになる。15才の子供ならば接種の利点やリスクを説明し本人の意向を聞くことも可能だが、12才の子供にはその判断は相当に難しい。子供が若ければ若いほど、それを決断しなくてはならない親のストレスは計り知れない。

ただ、ワクチンを接種しなければ、接種した人に比べてできないことが増え続ける社会では、必然的に接種するほうに傾いていく可能性は高い。たとえば、親がワクチンを接種していても、子供がワクチンを接種していない場合、レストランの室内の飲食、ホームーパーティ、様々な施設、レジャー、イベントへの参加など、様々なシーンで家族全体が不自由なままになる。また、学校によっては、登校するにはワクチンの接種を強制する学校もでてくる。

むしろ、そのように強制されてしまえば楽な気分になる親もいるかもしれない。決断の責任の一部を行政や教育機関に預けることができるからだ。しかし、この問題は本来はそういうものではない。親と、可能であれば子供も、十分に納得して接種する、または、接種しないを選択したほうがいい。

ちなみに、我が家のティーンは期末試験明けにワクチンの接種予約が入っている。迷いがまったくないかといわれれば、答えは否である。私は科学を信じるほうなので、100%安全などといわれたら、むしろ胡散臭く感じる。通常、科学には100%予測できるということはない。むしろ予測が外れるリスクを計算するほうがずっと科学らしいと思っている。

だから、10年20年後に我が家のティーンにワクチンの影響が絶対ないと信じているわけではない。もしかしたら、あるかもしれない。ない可能性のほうが高いとは思っているが確信はない。では、なにが接種の決め手なのかといえば、もちろん生活が自由になり活動範囲が増えることもあるが、そもそも我が家のティーンはインドアオンライン派なので、今の生活を続けようと思えば容易に続けられることを考えれば、それが決め手ではない。

本当の決め手は、ワクチンを受ければ非常に高い確率で感染から守られるので、本人の日々の生活のストレスが大幅に減るからだ。いつ感染するかわからないという不安を抱えて日々を生きていくのは、大きなストレスだ。それも、集団免疫が達成されない限り、そのストレスは何年にも渡り彼らの生活を支配する。10年後20年後の発生するかどうかわからない未来の不安のために、現在の生活と精神衛生を犠牲にするのは理に適わないと考えているからだ。

さっきもちょっと書いたけれど、人々は若い人にはこの先長い未来が「普通はある」思っている。しかし、そんなものは誰も保証してくれない。非常に身近に若者の死を体験したことのある私にとって、誰にとっても未来は絶対だとは思っていない。若かろうが、年をとっていようが、必ずしも10年後20年後があるとは限らないと思っている。それならば、来るか来ないかわからない未来に怯えて、感染というストレスを取り除けるのに取り除かないで、今を生きるのはもったいないと考える。

ということを我が家のティーンにも説明する予定だが、たぶんそんな事を説明しても、お気楽な本人は「そんな難しく考えないで、別に接種すればいいじゃん」ぐらいに受け止めそうだと思うけれど。

最後に、11才以下のワクチンの接種について触れておく。11才以下のワクチンは現在臨床試験中で、接種はまだ先だと言われているが、実はこれについて興味深い記事を読んだ。

ある専門家が、11才以下はワクチンの接種を控えてほしいと訴えているものだ。彼がそれを主張する理由は、ワクチンの安全性に不安を感じているからではない。彼はワクチンの安全性もその強力な効果も信用している。では、なぜそのような主張をするのだろうか。

彼は、これまでのデータから11才以下の子供が感染し発症する確率は非常に小さく、また発症しても重症化する確率は更に小さいことを考慮した場合、貴重なワクチンを世界のリスクの高い人々に回すべきだと主張しているのだ。

私達はときどき身近な周りのことしか見えなくなる。米国では日々収束が近づいていると実感できるパンデミックだが、今でも世界ではたくさんの医療関係者、高齢者、基本疾患のある人々が日々感染し、重症化し、死亡している。世界的にはパンデミックは収束には程遠く、彼らの頼みの綱はイスラエルや米国や英国を一気に安定させたワクチンなのだ。発症する可能性が非常に小さい子供にワクチンを接種させるくらいなら、世界中で感染の大波にさらされている、一刻も早くワクチンを接種されるべきリスクの高い人々に譲ってほしいと彼は訴えているのだ。

考えさせられた記事だった。

にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから!

ワクチン接種済みの人にパンデミック前の生活が戻る(かも)

2日日記を休んだら、話題がてんこ盛りになった。

もちろん外せない話題はCDCのガイドラインの変更だ。最近頻繁にガイドラインを変更しているCDCだが、今日のニュースは驚きを持って迎えられたのは間違いない。

つい2週間前に、ワクチン接種済みの人はアウトドアではマスクを外していいが、公共のアウトドアやインドアでは引き続きマスクをするようにというガイドラインを発表したばかりなのに、今日は、ワクチン接種済みの人は、ほぼすべての状況でマスクをとってもいいし、ソーシャルディスタンスも必要ないとなった。アウトドアもインドアも、人混みの中でも、どこでも。つまり、ワクチン接種済みの人は、パンデミック前の生活にほぼ戻ってよいという発表なのだ。

いくつか例外がある。公共の乗り物、つまり、飛行機、電車、バスなどでは引き続きマスクを着用すること。また、最終的には各州や郡の判断に任せるので地元の支持がでるまでは勝手に規制を破らないようにという注意もあった。

それにしても、ついこの間まで、ワクチン接種済みの人でも、人混みやインドアではマスクを着用するようにと言っていたCDCに、いったいなにがあった?

そもそもCDCが、ワクチン接種済みの人にマスクの着用を推奨していた大きな理由は次の2つだ。

1つ目はワクチン接種後にも感染することはあるという事実だ。これをブレイクスルー感染と呼ぶ(「ブレイクスルー感染ってなんだ?」を参照)。しかし、現実世界でワクチンの接種が進むにつれ、データが積み重なり、ブレイクスルー感染のリスクが明確になり始めた。その結果、ブレイクスルー感染した場合は、その症状は非常に軽く押さえられている。また、より多くの人が接種することにより、ブレイクスルー感染の発症率がはっきりしてきた。レアもレアの0.01%以下と言われている。

2つ目はワクチンを接種した人でも、発症をしないだけで、ウィルスを運ぶ可能性があるかもしれず、つまり感染拡大に寄与する可能性があるという説だ。これは臨床試験が短く制限された条件で行われた結果、ワクチンの効果として発症を抑えることは証明されていたが、ウィルスを運んで他人に感染させるかどうかまではデータを集められなかったために、安全サイドをとって生まれた説だ。しかし、こちらのほうも、現実世界でのワクチンが進むにつれて、どんどん感染拡大そのものが収まっていくことから、どうやら感染拡大を止めることができるようだという強い仮設がたてられるようになった。

この2つのリスクが、予想していたよりもはるかに低いことを表す現実データを根拠に、CDCは保守的すぎるという周囲からのプレッシャーが強まっていた。つまりは、ワクチンはCDCの専門家が予想していたよりも遥かに優秀だったのだ。

それに加え、今のCDCには大きな目標がある。よりたくさんの人にワクチンを接種させ集団免疫を達成することだ。現在米国では、ワクチンを喜んで接種する人は、少なくとも1回目の接種をほぼ完了している。今は、ワクチンの接種を躊躇する人や、接種しないと決めている人の心を動かすことが必要だ。そのため、オハイオ州のように5月26日から毎週5週間にわたり、ワクチン接種者から1人に100万ドルをプレゼントという、とんでもない企画まで打ち立てる州がでてきた。カリフォルニアの Youth Night (「Youth Night でワクチン」を参照)のギフトカードなんて甘いもんだ。米国らしくてちょっと笑った。

ちょっと話が横道にそれた。そう、なるべく多くの人にワクチンを接種させたいCDCは、「ワクチンを接種すれば普通の生活が手に入れられますよ」作戦に出たのである。これまでは、ワクチンを接種していない人を守りつつ接種をすすめるという体制だったCDCだが、ワクチン接種者が50%を超えつつある今、作戦変更、ワクチンを接種している人を優遇し、接種していない人は自己責任で自分を守ってください、それができないなら接種してくださいという作戦にでたのだ。米国はダイナミックなので、作戦も状況に応じてコロコロ変わる。

さて、仮にAさんがワクチンを接種していないとして、Aさんがワクチンを接種しているかしていないかは見た目ではわからない。それでは、ガイドラインが未接種者はこれまで通り規制された生活ですと言ったとしても、Aさんは接種しているふりをして普通の生活をできるじゃないか、と考える人もいるかもしれない。そうなのだが、Aさんがそれをしたとして、実は困る人はあまりいない。なぜなら、ワクチンを接種した人にとっては、Aさんがマスクをしていようが、いまいが関係ないのである。それほどにワクチンの防御効果は強力だ。

一方でBさんもワクチンの接種をしてないが、同時に感染を恐れているとする。マスクをしてソーシャルディスタンスを守って行動していれば、Bさんの生活は不便なままだが感染する可能性はあまり高くない。唯一ありうるリスクパターンは、Aさんが運悪くどこかで感染し、感染に気づかないままマスクなしで外出し、Bさんと室内で長い時間接触した場合だけだ。

この作戦だと、Aさんは危険なままで、Bさんのリスクは少しだけ高まり、接種済みの人のリスクはほぼ変わらない。Bさんは周りの人が普通の生活にもどって、自分だけが不便な生活とリスクを背負うことになるならば、ワクチンを接種しようと気が変わる可能性は高い。そこで、最終的にはAさんだけ危険なままだが、もうこれは自己責任ということにする、そいうことなんだと思う。

ただ、世の中には何らかの事情でワクチンを接種できない人、または、接種しても十分に効果が出ない人がいる。これらの人は、集団免疫が達成されるまでBさんの生活をつづけなくてはいけない。先程も述べたように、周りの人がマスクをとってしまうので、以前よりもリスクが高い状態になってしまう。これがこの作戦の最大の短所だろう。

しかし、どんな作戦でも長所もあれば短所もある。現在CDCは、とにかくなるべく沢山の人にワクチンを接種させたいので、この作戦に出たんだろうなというのは予想がつくところだ。少なくとも1人100万ドル宝くじよりは、理知的かなと思う。

これによって、どこまで接種者が伸びるかはまだ未知数だ。そもそも、このガイドラインを各州がどこまで適用するかも現時点ではわからない。たとえばカリフォルニアのニューサム知事が掲げている、マスク規制をやめるカリフォルニアの完全オープン日は6月15日で、まだ一ヶ月先だ。今回のCDCの発表を受けて、州政府が日程を変えるのかどうかは今の段階ではわからない。

ちなみに、今日のCDCの発表を受けて、サンフランシスコの人々のインタビューがニュースに出ていたが、多くの人がしばらくはマスクをしたままでいると答えていた。そうなのだ。私達は一年間に及ぶマスクをして感染を回避する行動にすっかり慣れてしまったので、急にマスクをとるのは不安なのだ。

多くの人が待ち望んでいたCDCの発表だったはずなのに、それを聞いた人々はとても冷静に、「しばらくマスクをしているよ」と答えたのである。世の中、どうなるかわからないもんだ。

 

明日は、もう一つの外せない話題、12才から15才のワクチン接種開始について。

   にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから! 

PVアクセスランキング にほんブログ村