シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ブレイクスルー感染ってなんだ?

「ブレイクスルー」 (breakthrough)感染という耳慣れない言葉を最近聞いた。「ブレイクスルー」という言葉は良い意味に使うことが多い単語だけれど、後ろに「感染」がつくと悪い意味だ。

ブレイクスルー感染とは、ワクチンの接種が完了し2週間以上たっているにもかかわらず感染した事を言う。つまりワクチンによる防御壁が「ブレイクスルー」つまり「突破」されて感染してしまったケースを、ブレイクスルー感染と呼ぶのだ。これは世の中のいかなるワクチンも100%ではないということから、予想されていたことなのだが、現実世界でどれくらいのCOVIDのブレイクスルー感染が発生しているかは知っていたほうがいい。

現在米国では、約7千5百万人が完全にワクチンの効果が期待される状態(つまりワクチンの接種が完了して2週間以上立っている)にあると数えられているが、これまでに5800人のブレイクスルー感染が報告されている。このうち29%は無症状であり、テストによって発見されたものだ。現実には無症状で発見されなかったケースもあるかもしれないのでブレイクスルー感染者はもう少し多いのかもしれないが、症状がでなかったということで数値としては浮かび上がってこない。

これによってわかるのは、ワクチンの接種が完了している場合でも、0.008%の確率で感染している人がいるということだ。そして、この5800人のうち、約400人は入院しており、そのうち74人が死亡している。これが非常に小さい数字だということは計算するとわかるだろう。7千5百分の74は0,.00000099なので確率にして、0.00001%となるので、感染して死亡する確率は限りなくゼロに近いが、ゼロではない。実際に74人の人が亡くなっているのだから。この数値からみても、亡くなった方たちは非常に運の悪かった人たちである。心からご冥福を祈りたい。

そしてこれが、ワクチン接種後もファウチ博士を含め専門家が、公衆の場ではマスクを着用したり、ソーシャルディスタンスを取るべきだと発言する1つの根拠だ。

ワクチンは非常によく働いている。ワクチンの効果は95%を超えていると期待されていたが、こと死亡を回避に関しては、その効果は99.99%という驚異的な結果がこの数値から導き出され、期待以上の働きをしている。

さて、非常に稀だがゼロではないブレイクスルー感染が報告されている5800人うち、40%は60才以上であった。現在ワクチンの接種が完了している人たちの中に高齢者が多いという事実も考慮する必要があるが、高齢の人にワクチンが若干効きにくいのも最初から期待されていたことなので驚くべきでない。免疫力の劣り、かつ健康状態に問題がある人に対して、ワクチンが十分に効力が発揮できないのは、素人でも納得できる現象で、だからこそ、高齢の人たちには特にワクチン完了後も注意が必要だとファウチ博士は何度も強調している。ちなみに、80才の彼はとうにワクチンを完了しているが、今でも公の場では二重マスクをしている姿が通常なので、一部の政治家から「パフォーマンス」だとか「舞台衣装」だとか揶揄されいるが、彼の年齢を考えればごく当然な防御であることが、この報告により説得力を増すと思う。

ワクチンは効いている。それもものすごく効いている。が、それがパンデミックの終焉ではないことを「ブレイクスルー」感染が教えてくれている。だからこそ、公衆の場では、ワクチン接種済みの人も、マスクを着用し、互いに距離を取り、混雑するところや空気の循環が悪いところは避け、手を洗うことが必要なのである。

では、パンデミックの終焉はいったいいつやってくるのか。それは社会が集団免疫を獲得し、ウィルスの循環をストップさせたときにやってくる。そのときこそがパンデミックの終焉であり、それに近づくためには、私達はなるべく多くの人になるべく早くワクチンを接種する必要がある。

このとき、ワクチンの接種を回避すると決めている人たちの役割が注目される。現時点で米国の約29%の人たちがワクチンを接種しないとアンケートに答えていると言われているが、この数字は集団免疫を獲得するにはちょっと多すぎる。ワクチンを接種しない理由が、ワクチンへの信頼感であるならば今後よりたくさんの接種が進むにつれて、不信感が薄れていき接種するという方向に傾いていく人もいるだろう。

残りの絶対に何が何でも接種しないという人々と健康上の理由で摂取できない人がいったい何割残るのか、それがパンデミック終焉の行方を握っている。

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