シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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カリフォルニアは6月15日までマスク着用(室内)

マスク着用ルール大混乱のカリフォルニア週末が明け、絶対なんらかの発表があるだろうとの予想通り、州の保健局みたいなところからのお知らせがあった。

その内容は、CDCの新方針(「ワクチン接種済みの人にパンデミック前の生活が戻る(かも)」を参照)にもかかわらず、カリフォルニア州では以前に定めたカリフォルニアのオープン日である6月15日までは、室内のマスクの着用ルールを継続するというものだった。この発表は一部では驚きをもって受け取られたが、一部では予想通りだと受け取られている。それほど、マスクに関してのカリフォルニアの人々の意見は様々だ。

私個人的には、どちらに転ぶ可能性もあると思っていた。カリフォルニアの厳しい規制に反発する形でリコールのプレッシャーを受けている知事としては、CDCの新方針にもかかわらず室内でのマスク着用を義務付けることは更に大きな批判を受ける可能性があるため、怯んでくるかもしれないと思っていた。が、同時に、全米で一番最初にロックダウンを施行し、これまでの慎重に慎重を重ねたカリフォルニアの独自路線を考えれば、CDCがなんといおうが、州の方針のまま突き進むという可能性も大いにあった。

結論は、現時点において、カリフォルニアは独自路線を貫き、残り一ヶ月室内でのマスク着用を続ける。これまでの年月に比べれば、たったの一ヶ月なので、大多数の人々はそれほどショックを受けていないと思われるが、息絶え絶えのレストランや小売店などのスモールビジネスの所有者の中には怒りを持って受けとった人も多かっただろう。

それにしても今回のCDCの発表のやりかたはうまくなかった。突然、なんの予告もなく、新方針を発表。それも、2週間前に出した方針をガラッと変えてきたのだから、この2週間でなにがあったと勘ぐられてもしょうがない。もう少し根回しや匂わせなどをしてから発表することもできただろうにと思う。こんなに突然、「ワクチン接種者はもうマスクはいりませんよ」と言われても、一年以上マスクをしてきた多くの人々はマスクを手に困惑している。その戸惑いを収拾すべくカリフォルニアが出した結論は、「もうちょっとマスクをしてましょうよ」というところなのだろう。

CDCと同様に、カリフォルニア州政府もパンデミックを通じて科学をもって対応すると言い続けてきた。今CDCが科学的根拠により、ワクチン接種者は、公共交通機関以外ではマスクを外していいといってきたのだから、それを受け入れないのは「科学を信頼していない」対応なのでは、という批判を受けることもあるかもしれない。

しかしながら忘れてはならないのは、CDCはあくまでも科学的根拠をもとにマスクを外してもよいいっているだけで、その前提には人は嘘をつかないという仮定がある。現時点で、米国のワクチンの接種率は大人の50%ほどである。皆が嘘をつかなければ、CDCのガイドラインに従った場合、街行く50%の人はマスクをしないが、50%の人はマスクをしたままとなるはずだ。

しかし、誰もが予想できるように、ワクチンをしているかしていないかは見た目ではわからないことを考えれば、マスクを毛嫌いしてきたマスク反対派の多くは(実はワクチン反対派とも重なる人が多い)ワクチンを接種していなくてもマスクを外してしまう可能性がある。つまり、言葉にならない嘘をつくのである。

となると、ウィルスが再びレストランや小売店の室内に発散される可能性があり、現在程度のワクチン接種率では、感染再拡大の可能性はありうる。特に何らかの理由でワクチンを接種したくてもできない人や未だに接種にたどりつけないでいる人達、接種しても効果が足りない人たち、つまり弱い立場にいる人達を危険な立場に追いやってしまう可能性がある。

もう少しワクチンの接種率が高ければ、たとえワクチンを接種していないにもかかわらずマスクを外す人たちがいても、感染する可能性のある人達が減る。ウィルスが感染する媒体が少なくなればなるほど、感染再拡大のリスクも低くなる。それが現在カリフォルニアが目指している6月15日なのだと思う。6月15日までにできるだけ多くの人にワクチンを接種させようとしているのだろう。

マスクをしている人、マスクをしていない人が入り混じったコミュニティでは、実際に誰がワクチンをしていて、誰がワクチンをしていないのかはわからない。ワクチンを接種済みの人は、どのような状況でも守られている立場であるのだけれど、ワクチンをまだ接種していない人のために、もうしばらく全員でマスクをしていましょうという方針だといえる。そもそもマスク着用の目的は、自分を感染から守るためではなく、周りの人を感染から守る、つまりコミュニティを感染から守るためであったことを考えれば、自分が感染しなくなったとしても、もう少しのあいだマスクをしているというのは実は理にかなっている。

現時点で、ワクチンを打っているにも関わらずマスクを着用し続けるのは、以前のように自分がウィルスを運んでいる可能性があるからではない。ワクチンを打っていないにもかかわらずマスクを外そうとする人からコミュニティを守るためなのだと思う。

それにしても、州政府はCDCの発表により勢いの増すマスク反対派のプレッシャーに、残りの一ヶ月耐えることができるだろうか。それは未だにわからないけれど、できることなら頑張って欲しいと思う。

サンフランシスコの街を歩いていた男性がインタビューに出ていた。

「僕はワクチンの接種終わってるけど、街なかではマスクをするよ。だって、ワクチンの接種をしていない人はマスクをしている。そういう人たちとすれ違うときにナーバスな気分にさせたくない。今は、それが僕にとってマスクをする理由だよ」

優しい言葉に心が軽くなった。

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