シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

ホワイトハウスに広がる不安(ティア2)

今や米国の人たちは誰もが不安を抱えているような気がする。収束しない感染だったり、失業だったり、学校閉鎖だったり、山火事だったり、ハリケーンだったり、不安な原因が尽きない米国で、今、人々を一番不安にさせいるのはホワイトハウスの状態だ。

大統領が自らの感染を発表してから4日たつが、一時期容態が思わしくなかったらしい彼だが、容態が安定してからすぐに、無理やり病院からホワイトハウスに帰ってきてしまった。このことは、大統領の容態が思わしくなかった週末よりもさらに、米国の人たちを不安にさせることとなった

なぜ、大統領の容態が安定してホワイトハウスに帰ってきたことが、より大きな不安を生むのか。

まずは、感染の問題だ。彼が不在の間、ホワイトハウスのスタッフ内で次々と感染者が発表されていた。今日に至っては、ホワイトハウスの報道官の感染が発表された。ちなみに、この報道官はホワイトハウスでジャーナリストと会見し、ホワイトハウスの見解を報告するのが仕事なのだが、まだ感染が判明していないときにマスクをしないで、ジャーナリストたちと室内会見を行っている。そして、すでに3人のホワイトハウス付きジャーナリストの感染が判明している。

すでに大統領の側近たち中では大統領を含めて12人の感染者が出ているが、これはあくまで発表する必要のある人達が12人だというだけで、名もないオフィススタッフやハウジングスタッフの中にどれくらいの感染者がいるのか。ホワイトハウスはそれを発表する予定はないとした。感染者のプライバシーのためだと言っているが、たぶん、それだけじゃないだろう。

ウィルス感染の恐ろしいところは、結果的には感染拡大はホワイトハウスの中だけにとどまらないだろうと考えらられるところだ。ホワイトハウスで感染した議員が別の議員とあっていた可能性もある。議員の家族のことも考えたほうがいい。また、ホワイトハウスのスタッフは仕事が終われば家に帰る。そうすると、スタッフの家族、家族を通じて別の誰か、そんな風にホワイトハウスが把握していない感染がジワリジワリと拡大していく可能性がある。コンタクトトレースが漏れなく行われているようでもないという報道まで流れ、更に不安を掻き立てる。

そもそも、このアウトブレイクのきっかけになったと考えられている最高裁判所の判事のノミネートイベントは、なんと150人以上がほぼマスクをしないで集まり、野外だけではなくは室内でも歓談したというのだ。このイベントの出席者から7人の感染者がすでに判明しているが、150人の出席者たちから、出席していなかった人々に二次感染、三次感染が広がってるかどうかは、未だにまったくわかっていない。コンタクトトレースはどうした!と叫びたくなるレベルだ。

このように、すでにホワイトハウスはウィルスの館状態だったというのに、明らかに感染させる可能性のある大統領が、完治もしていないのに病院から帰ってきてしまったのである。それだけではない。なんとホワイトハウスに到着直後のフォトセッションで、なんの躊躇もなくマスクを外してポーズをとったのだ。大勢の人々の前でマスクを外したのである。自分が感染していてウィルスを飛ばしている可能性が限りなく高いのに。あの映像を見て不安になった人の数は、更に増えたにちがいない。この人はなにも学んでいないんだなと。

このように、ホワイトハウスとはまったく縁のない私でも不安になったのだから、ホワイトハウスに実際にいて、ホワイトハウスを機能させているスタッフの不安は計り知れない。そこには、誰でも知っているような有名な大統領の側近もいるし、ホワイトハウスの掃除や料理をしている一般の人たちもいる。そういうすべての人達の身の危険を感じさせる映像だった。

それに加え、大統領は実際にまだ完治しているとはいえない。この日記にも書いているように、今回のウィルスの特徴であるが、一時回復した症状がその後遅れて悪くなるケースも相当ある。今元気でも、いつでもぶり返す可能性はあるのである。病院でも執務ができる状態だったし、ホワイトハウスでも隔離状態なのだから、彼は病院で仕事を続けていればよかったのだ。オンラインで仕事をするならばどこにいても一緒なのは、この6ヶ月間、ほとんどの米国人は経験済みだ。なぜ帰ってきた。その理由を想像すると、それがまた不安の原因になる。

まだある。彼は、ホワイトハウスに帰る際に「COVIDを恐れるな」と言ったのだ。世界中で100万人の死者を出しているウィルスを恐れるなと宣言したのである。症状が出た途端に専用ヘリコプターで病院に直行、十人以上の医師がつきっきりで看病、未だ承認されていない最新治療を試し、何種類もの新薬、既薬を投与された人間の言うことではない。そもそも普通の人が感染したら、どれも手に入らない環境ばかりだ。

私は6ヶ月間COVIDの記事を追ってきたけれど、そこから得た知識ではCOVIDそのものは明らかに恐れたほうがいい。正しい知識で予防の努力をしていれば、感染の危険性はそれほど恐れなくていい。しかし、予防をしないで、うっかり感染して、一般人には手の届かないような手厚い看護をうけて回復した状態で、COVIDを恐れるなというのは、あまりにも無責任だ。

この不安な状態であとどれくらい過ごさなくてはいけないのだろう。あちらこちらが八方塞がりの米国にだれか透明感を与えてほしい。せめて、秘密や策略があるのではないかと思わせるような政治や報道ではなくて、透明感のある社会が実現されることは、今の米国では無理難題ということなのだろうか。

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ホワイトハウスのクラスタ(ティア2)

大統領の感染ニュースの続報だが、まず彼自身は現在、軍の病院にある大統領執務室に移動し隔離されている。「ついに大統領感染(ティア2)」を書いた時点、つまりカリフォルニア時間で木曜日の深夜の段階では、大統領は無症状だという報道だったのだが、実際には症状は出ていたらしく、金曜日の朝の時点では熱もあり血中酸素も一時的に落ちていて酸素補給をうけていたらしい。その後、大統領用の執務室がある病院にヘリコプターで移動した。これを入院というのかどうかが微妙なところなのだが、とにかく検査や看護を受けられる環境で執務を行うという発表がされた。

その後、土曜日の昼頃の専属の医師の発表によると、薬の投与の効果もあり、目に見えて回復していているそうだ。が、どこの国でもいえることなのだけれど、こういう非常時だと、政府関係者のいうことは、はっきりいって何も信用できない。人によっては、感染そのものまで、同情をひくための策略なんじゃないかとかいう人もいるくらい、政府というのは信用されていないのだ。

まあ、この時期に感染したふりをしても大統領の得になることはあまり考えられないので、感染したのはまちがいないだろうし、一時期よりも回復しているというのも嘘ではないと思う。ただし、この日記にも書いているように、今回のウィルスの特徴の1つは、最初のうちは軽い症状でも数日後に悪化することであるので、楽観的な発表をしていた医師たちも、心のなかではこの数日は予断を許さないと感じているのではないかと思う。

さて、この間、ホワイトハウスに出入りした人々の感染テストの結果が次々と発表され、すでに十数人の陽性者が発表されている。このクラスタがどこでどう始まったのかは未だにわかっていないのだが、1つ注目を浴びているのは、先週の土曜にホワイトハウスで行われた最高裁判所の陪審判事候補をノミネートするイベントだ。

このイベントはいろいろないわくつきだ。リベラル派で米国民に愛され続けたRBG(ルース・ベーダー・ギンズバーグ)が87歳で亡くなったのが9月18日だった。トランプ大統領を批判し続けた彼女の遺言の一つは、彼女の後任をトランプ大統領には選ばせたくないというものだったのだが、もちろん故人の遺言には強制力がないので、トランプ大統領は大急ぎで保守派の判事を選びノミネートすることにした。今、リベラル派に変わって保守派を最高裁に送り込むことができれば、共和党としてはとても有利になるからだ。

最高裁判所の陪審判事のノミネートというのは大きなイベントで、習慣的にホワイトハウスで式典とパーティを行ってきたのだが、今回に限っては、通常通り式典を開くかどうかは考える余地があったはずだ。パンデミックの真っ只中、政府が大きなイベントは開催するべきではないという見解を発表しているのにも関わらず、大勢のゲストを集めて式典を開くリスクについて、ホワイトハウスがどう考えたかは知らないが、結局は習慣通りに、相当数のゲストが招かれて150人以上の人々が集まる華やかなイベントが開かれた。

その映像をみればわかることだが、参列者の殆どはマスクをしておらず、各席はすぐ隣り合わせでソーシャルディスタンスはなかった。その上、いくつかの報道写真をみると、かれらは握手をしたりハグをしたりして挨拶を交わしているのだ。政府が推奨している感染予防の努力は、そこにはほぼまったく見られなかった。その光景は、まるでパンデミック前の普通の生活が突如その空間にだけ戻ってきたような、不思議な光景だった。

そして、その式典の出席者から、現時点で大統領を含め8人の感染者が発表されている。必ずしもその式典で感染したとは断定できないのだが、あの光景をみれば、あの場で感染したとしてもまったく驚きはない。式典は野外であったのだが、式典の後は室内に移動したとの報道まであった。

この話は、メイン州で60人のゲストを集めて野外結婚式を開催し、大規模クラスタを発生させていたカップルの話とそっくりだ(「コンタクトトレースが教えてくれる」を参照)。唯一の違いは、式典の出席者はホワイトハウスに到着後、5分で結果が出る簡易検査を受けたことぐらいだ。しかし、この簡易検査は不正確な結果をだすことも多いと知られているし、たとえこの検査で陰性と出た場合でも、体内に潜在しているウィルスは他の人間に感染する可能性があると考えられている。つまり、ウィルス検査をしたとしても、マスクをして、ソーシャルディスタンスをとる必要はあった。

はずだが、そういうNew Normalな視点は全く無視された。政府のアドバイザーとして、ファウチ博士が口を酸っぱくして伝えていることは何一つ、大統領を始めホワイトハウスの関係者には伝わっていなかったらしい。

その週末は、式典だけではなく、大統領は火曜日に迎える大統領候補のディベートの用意で忙しかった。また、その後も選挙の遊説で大統領は大勢の人達に会っていた。もちろんマスクをしないで、ソーシャルディスタンスをとらないでである。その間、彼は自分が他の人を感染させる可能性があるとは夢にも思わなかっただろう。

現在、、彼のディベートの戦略を一緒に練った共和党議員や選挙キャンペーンの責任者などが、次々に陽性のテスト結果を発表している。ホワイトハウスの報道関係者にも数人感染者が出ている。今後もこのクラスタは広がっていく可能性がある。

陪審判事ノミネートの式典は、今や、スーパスプレッダーイベントのお手本のようだと言われている。あの式典に参加していたすべての人は、今頃は正式なPCR検査をうけたことだろう。しかし、一度陰性が出ても、その後いつ陽性が出るかわからないのも、このウィルスの特徴だ。とにかく潜伏期間が長い。彼らには不安な日々が待っている。

今、ホワイトハウスも議会も混乱のさなかにいる。ノミネートを受けたエイミー・コニー・バレット判事が正式に最高裁判所の陪審判事に任命されるためには、議会での投票が必要だ。しかし、投票に参加するべき議員の数人は、感染のために隔離または入院中である。その人数が増える可能性まである。はたして、彼女は本当に選挙前に正式に任命されることができるのだろうか。共和党としてはどうしても任命して最高裁での保守派の力を強めたいので、無理をしてでも推し進める可能性は高いが、このクラスタの広がりや大統領の容態によっては、思ったようにプロセスを進めることができない可能性がある

「私の後任をトランプ氏に選ばせたくない」というRBGの信念が、どこかで空気を震わせているような気がした。

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インドの調査でわかったこと(ティア2)

最大規模の調査を可能にした国はインド!」で書いた、66万人を対象にしたコンタクトトレース調査のデータにより、今後の感染対策に役に立ついくつかの調査結果が出ていたので記載する。

まず、スーパースプレッダーについてだ。今回のウィルスで特徴的なのは、スーパースプレッダーの存在である。スーパースプレッダーとは、人であるときもああれば、イベントであるときもあるが、一人の人間、または、一つのイベントが大量の新規感染のトリガーになることで、一方、スーパスプレッダー以外の人々やイベントがほとんどウィルスを感染させないのが興味深い。このスーパースプレッダーについて、今回のデータからいくつかわかったことが報告されている。

感染者と同じ電車やバスにのった人々に対するコンタクトトレースによりわかったことは、感染者から三列以内に6時間以上座っていた場合の感染率は80%近くにのぼるということだ。まさにスーパスプレッドである。一方で、同じような閉じられた空間でも1メートル以上離れた状態で過ごした場合は、たったの1.6%しか感染しなかった。

すでに「三密を避ける」という形でわかっていたことではあるが、三密の危険性がより明確になり、安全な環境というのがどのような環境であるかもより明確になってきた。スーパースプレッドは例外的に発生するのではなく、このウィルス感染の規則のようなもので、その規則に従って対策をたてれば、信頼性の高い安全な環境を用意することができると考えられている。

また、人間のスーパースプレッダーについては、人間の生物学的な要因でスーパースプレッダーが生まれるわけではなく、感染者の行動パターンがスーパースプレッドを生み出しているらしいことがわかってきた。感染を広げてしまう行動パターン(人との距離、人と過ごす時間の長さ、人と会う環境など)が、その人がスーパースプレッダーになるかどうかを決めているらしい。こちらも、研究データから問題となる行動パターンを割り出すことにより、感染防止対策に一役買うことになりそうだ。

もう一つ非常に重要なことが判明した。これまで17歳以下の子供は、比較的感染しにくい、させにくいという報告がされていたが、今回の調査によると、17歳以下の子供も、大人とまったく同じように互いに感染させていることが判明した。

感染拡大に子供は寄与していないと考えられていたことは、学校の早期再開をすすめる人たちの間で大きな根拠となっていたのだが、今回のデータにより、子どもたちは実際は大人と同じレベルで感染を引き起こすことがわかってしまった。

この情報をスーパースプレッダーの情報と組み合わせると、さらに子どもたちを集める危険性が理解できる。なぜなら、子供は大人に比べて、スーパースプレッダー的な行動パターンをとりやすい傾向があるからだ。感染確率は大人並み、そしてスーパースプレッダーを起こしやすい。そんな子どもたちを厳しい規則なしで学校に集めたらどうなるだろうか。

彼らが感染拡大媒体の主役の地位を、若者たちからたちまち奪ってしまっても驚きはない。教師には基本疾患を抱えている人や年配者も多い。そして、学校が終われば、子どもたちは親のもとにかえってくるのだ。

学校の再開を考えている一連の政府や教育関係者は、このデータをしっかりと理解し、パンデミック時のクラスルームのあり方をもう一度時間をかけて検討してほしい。どのような環境なら安全なのかは、インドの調査を含め様々な研究結果が示しているのだから。

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ついに大統領感染(ティア2)

今日は、インドで行われた大規模調査の結果から判明した新しい事実について書くつもりだった。ほんの4時間前までは。

でも、今日はやっぱりこれを書かなくては行けないような気がするので、インドの大規模調査の興味深いデータは明日に繰りこすことにする。

カリフォルニアの夜10時を過ぎた頃だろうか、急にネットが騒がしくなった。トランプ大統領が感染したという。

私は第一報をSNSで受け取ったので、ソースの確認をするためにニュースサイトにとんだのだが、数十分前に速報がでたばかりだった。大統領とファーストレディーの感染テスト結果が陽性であり、今後二週間自宅隔離(といっても自宅はホワイトハウスなのだが)になるというニュースだ。すでに彼らが居住しているワシントンは夜中の12時を回っている時間の速報だ。

米国の誰もが思ったのは、このタイミングか!だと思う。実は、彼が感染したことについてはあまり驚きはない。彼のウィルスに対する態度をみていれば、彼がいつ感染してもおかしくはなかった。ただ、大統領選を一ヶ月後に控え、火曜日に最初の大統領候補のディベートを行ったばかりの、このタイミングで!という驚きは誰もが抱いたに違いない。

しかし、よく考えてみれば、このタイミングも驚きには値しなかった。なぜなら、大統領選を控えて、彼は非常にアクティブに各州を飛び回って大規模な集会を行っていたからだ。彼の集会の参加者の多くはマスクをせず、ソーシャルディスタンスを保っていない。彼自身も、支持者の前に登場するときは、ほぼ必ずマスクを身に着けていなかった。距離はそれほど近くなかっただろうが、側近や地元の支持者に合い、挨拶を交わし、大統領専用機に乗って移動し続けていた。

大統領はは毎日のように感染テストをうけていると報道されていたし、ホワイトハウスのスタッフも定期的にテストをうけていたはずだ。周りの人間は感染しているはずがないという予測のもと、彼は職務中も、マスクをせず、ソーシャルディスタンスもとらなかっただろう。飛行機にしても大統領専用機に乗る人間は限られている。その中に感染者がいなければ「普通」にしていてもよいと思っていただろう。彼の頭の中では少なくともそうだった。

ところが、このウィルスの感染力は巧妙だ。たくさんの人間に触れる機会があればあるほど、症状のない人間から人間にひっそりと器用に感染していき、いつのまにかホワイトハウスのスタッフにもその手を伸ばしていく。今回は、選挙活動に同席していた大統領顧問の女性が、選挙活動のどこかのタイミングで支持者から感染したのではないかと疑われている。そして、彼女は感染に気づかないまま、引き続き選挙活動のために大統領やその側近たちと大統領専用機にのってキャンペーンに参加していた。

彼女に症状が見られたのは水曜日だ。体の痛みを訴えたため、テストを受けたところ陽性だった。ホワイトハウスに警笛がなり、大統領を始め側近たちはすぐにテストを受けたはずだ、そしてその結果、少なくとも大統領とファーストレディーが陽性であることが公表された。

彼らは現段階では症状はでていない。このまま出ないで2週間をすごすかもしれないし、今後症状が現れるかもしれない。米国だけではなく、世界の多くの国で、今後の動向が大きく注目されるだろう。

これはいったい、米国にどのような影響をおよぼすだろうか。

大統領は隔離状態で執務を続けると発表したのだが、隔離状態なのでしばらくはホワイトハウスからでてくることはない。また、大統領と行動をともにすることが多い、副大統領、報道官、大統領顧問などの、ホワイトハウスの重要な役職につく人々は、やはり同様に隔離される可能性が高い。たとえ陽性ではなくても、ウィルスの潜伏期間のことを考えれば、通常は隔離に近い生活を送る必要がある。となると、誰が外に出てこれるのだろうか。それともインターネットを通じてしか誰もでてこないのだろうか。この状態でホワイトハウスは機能するのだろうか。さまざまな憶測が飛んでいる。

また、大統領選にも確実に影響するだろう。大統領選まで残り一ヶ月、いちばん大切な追い上げのときだ。本来なら両候補とも激戦区を周り、票をかせぐための活動をしなくてはならない。ただ、今年はウィルスの影響で、対抗候補のバイデン元副大統領は、通常の形の大規模は集会は開かず、野外で中継のタウンホールミーティングを開いて支持者とコミュニケーションをとってきていた。一方、トランプ大統領は先程も記載したように、この一ヶ月、米国を縦横無尽に移動して大きな集会を開いて盛り上げていく予定だったのだが、これらは2週間キャンセルにならざるえない。

また、大統領候補同士のディベートも予定されているが、今の状態では大統領がそれに参加できるかどうかは不透明だ。米国は前代未聞の選挙戦に突入したことになる。

心配なのはつい先日の大統領候補のディベートだ。ディベートの内容はここではおいておいて、興奮した様子のトランプ大統領は、バイデン元副大統領のほうを向いて、非常に大きな声で話を何度も遮っていた。飛沫感染は大きな声で騒げば騒ぐほど遠くにとぶ。彼らの間には確かに相当な距離があったが、いかにもつばの飛びそうな話し方をしていた大統領の様子を思い出すと、バイデン元副大統領への感染が非常に心配だ。もしこれでバイデン氏が感染したとしたら、米国人のほとんどはトランプ大統領からの感染だと疑うだろうし、感染現場をテレビ中継でみていたと思うだろう。

ところで、トランプ大統領がマスクをしない大きな理由は、自分が感染していないという確信があったからだ。少なくとも2日に1回のペースでテストをうけていて陰性なのだから、感染しているわけがないと考えていたのだ。それだけ頻繁にテストを受けている人間ですら、いつのまにか感染してしまうのである。今回のことで、ウィルスの巧妙さがさらに明らかになった形となった。

この見えない敵はとうとう米国の懐に深く入り込んだわけだが、だからといって、誰もが簡単に感染してしまうのだと、過度に騒いだり恐れる必要はないことを書いておきたい。実際のところ、マスクをしてソーシャルディスタンスを保ち、たくさんの人間のいるところにいかなければ、感染する確率は非常に低いウィルスなのだ。

大統領は、マスクをせずに、ソーシャルディスタンスを保たずに、マスクをしない沢山の人達と接した。リスクの高い生活を自ら選んでいた。ただ、それだけのことなのだ。

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最大規模の調査を可能にした国はインド!!(ティア2)

パンデミック史上最大規模の66万人を対象にした調査結果が発表され、これまでよりもさらに詳細なウィルスの性格が判明してきた。この貴重な調査を実現するには、66万人に対する広範囲のコンタクトトレースと感染テストの迅速な結果が必要だが、これを実現した国はインドだった。

数々の先進国に比べ、経済的に貧しいインドであるが、彼らは非常に広範囲なコンタクトトレースを成功させている。これは、米国についで二番目という多数の感染者を出しているにも関わらず、感染者に対する死者の割合は米国の半分以下という現状と無関係とは思えない。

この調査は、84995人の感染者とコンタクトがあった、なんと575071人をトレースしたデータから成り立っている。ものすごい調査人数だ。この調査はインドの南部の2つの州で行われたが、この2つの州はインドの中でも、最もヘルスケアワーカーの数が多く、公衆衛生に対して多額の予算を使っていることで知られている。どちらの州も AIDS の流行の際に構築された伝染病を追跡するネットワークを利用していて、各家庭をめぐるトレースの可能レベルは世界に類を見ないといわれている

AIDS との戦いで培ったコンタクトトレーサーとして訓練を受けたヘルスワーカーとノウハウのある伝染病の追跡作業員を多く抱えていることが、その強みだ。コンタクトトレースは今回のパンデミックを戦うために非常に有用な武器であると言われているのにもかかわらず、米国の多くの州では未だ実現できていない。ちなみに、カリフォルニアのロサンゼルス郡が雇っているコンタクトトレーサーの数は人口1千万人に対して2600人だが、この調査が行われたインドの南部のTami Nadu州の郊外の1区域では、その三分の一の人口のために同じ数のコンタクトトレーサーが雇われている。これはすごい。つまり、インドの南部のこれらの地域では、コンタクトトレースのためのに米国の3倍のワークフォースを持っているのだ。

このコンタクトトレースで判明した数々の興味深い事実は、明日、報告することにして、今はこのコンタクトトレースの意味について考えてみたい。

現在Tami Nadu州では感染者は多い。しかし、死者の割合だけ考えてみると、この州では累計で人口10万人に対して13人の死亡者を記録している。これに対し、米国は人口10万人に対してなんと62人もの死者を記録している。ほかにも様々なファクタが考えられるとはいえ、コンタクトトレースが実はたくさんの命を救っている可能性があると考えてもよいだろう。コンタクトトレースにより早期に発見される感染者の治療がネックになっている可能性がある。

より貧しい国がより豊かな国よりも、たくさんのヘルスワーカーを抱え、より高いスキルを持って、公衆衛生を保持しているというのはちょっとした驚きだ。米国のコンタクトトレースが一向に成功しない理由は、ヘルスワーカー不足、予算不足、テスト不足の3不足のせいだが、人員的にも金銭的にも設備的にも優位なはずの米国ができていないことを、インドの南部の州はこんなにもしっかりと実現できている事実を、米国の政府関係者はしっかりと脳に刻んだほうがいいし、これからでも見習ってほしい。

「大切なのはどのようなリソースをどう使用するかをクリアに計画できる、強固な政府の仕組みです」と、この調査にデータを提供した州の政府関係者がコメントをしていた。米国は耳が痛い。

明日は、この調査から判明した様々な新事実を報告したいと思う。

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今こそ魔法が必要なのに(ティア2)

とうとうディスニーがリストラを決行することになった。3月のディズニーランド閉鎖以来、カリフォルニアでその扉が再び開かれることなく6ヶ月が過ぎた。フロリダでは7月中旬に制限を設けて営業を再開したものの、パンデミックの影響で期待するほど客足は伸びなかった。先の見えないパンデミックの現状を考えれば、さすがのディスニーも危機感が迫ってきたのだろう。

ディスニーの主力であるテーマパークやディズニークルーズが閉鎖している状態で、ディズニーの最新四半期の売上は、昨年の同時期に比べてなんと85%減という厳しい数字がでている。この期だけでも20億ドルのロスが計上されている。この状態で6ヶ月やってきただけでも、やはりディスニー王国には体力があったんだなあと感心させられる。

ディスニーランド閉鎖に伴い、ディズニーはパートタイムスタッフと一時解雇の状態になっていたスタッフに対して給与の支払いはしてはいなかったが、健康保険などのサポートは続けてきた。暗いトンネルの先に、後少しで、きっともうすぐ、灯りが見つかるだろうと希望して、耐えてきた6ヶ月だった。多くの人は、6ヶ月たっても米国がこの状態であろうとは4月の時点では考えていなかったのだ。

しかし、現実は過酷だった。ディスニーは今やリストラに踏み切るしか道がない。米国のディスニーランドおよびディズニーワールドのスタッフ約11万人のうち、2万8千人という大規模リストラである。そのうち67%はパートタイムのスタッフであるが、正社員や管理職にもリストラの対象になっている。

ディスニーにこれだけの打撃を与えたパンデミックだが、現状に大きく影響をしているのは、カリフォルニアのロックダウン規制と厳しい規制緩和である。

カリフォルニアが6月に速すぎる規制緩和を勧めたときに、ディスニーランドも7月の中旬に再開すると発表していた。ところが、ディスニーランドのスタッフたちが、ディズニーは営業再開を急ぎすぎているのではないかと州政府に報告、これを期に州政府はテーマパークの再開の規制を強化し、これによりディスニーランドの再開は見送られることになった。この判断は、7月後半から8月の中旬までの大規模な感染拡大を考えれば正しい判断であったと思うし、誰も責められない。

現在カリフォルニアのテーマパークは一切営業が許可されていない。夏の感染拡大の波に飲み込まれて嫌というほどパンデミックの恐ろしさを学んだカリフォルニア州政府は、今や簡単には規制を緩和しないという非常に厳しい姿勢をとっている。この政策も、多くの人は正しいと感じていると思う。

しかし、正しいかどうかは問題ではない人達がいる。ディズニーランドの閉鎖は、テーマパークがビジネスの中心であった街への打撃はすさまじく、ディスニーも苦しい状態だが、ディスニーランドを訪れる世界中の観光客をもてなしていたホテルもレストランも虫の息だ。そのような街の市長たちは、この大災害を終わらせるために、州政府に対してなんとかディスニーランドを再開させてほしいと要望をあげ続けている。

彼らは現在進行系で死にそうな状況なので、再開したいという強い要求は誰もが理解できるところだ。でも、苦しんでいる人たちには本当に申し訳ないけれども、やっぱり緩和はするべきではない。6月にビジネスの圧力によって、なし崩し的に経済再開を推進した結果、ディスニーランドが閉鎖した状態でもロサンゼルス南部では大量の感染者と死者が計上された。そのことを考えれば、今の状態でテーマーパークを開けることはできないのだ。

そもそも、実際に開けたところで、フロリダのディズニーワールドのように期待するほど客足が伸びない可能性は高い。今は誰も好んで飛行機にはのりたくない。また、世界一の感染者と死者を出している米国に、海外から遊びに来る人間がいたら、それこそお目にかかりたい。その上、高いチケットを買ってディズニーランドを訪れても、花火もないし、レストランも一部は閉まっている、ミッキーにハグをしてもらえないし、営業時間は短い。これでは、客足が鈍いのは当然だ。ゼロよりはましだというレベルにとどまる可能性もある。

結局、テーマパークが以前のように大幅な利益を得る営業をできるようになるためにはワクチンが承認され、そのワクチンが大半の人に行き渡るのを待つしか無いといわれている。

幸いなことに、テーマパークやクルーズ以外のディスニーの営業状態は良好だ。スポーツ中継サービスも元に戻ったし、ディズニー+による配信サービスは非常に速いスピードで広まっている。出かけない代わりに、人々は自宅で楽しめるエンターテイメントを求めている。ネットの配信サービスは今、最もホットなビジネスとひとつだ。

しかし、主力のテーマパークとクルーズなしのディスニーは、テーマパークの従業員を雇い続けることはできない。多くの従業員はすでに一時解雇の状態で、給料が支払われていないため、食料品の買い物にすら困る状態だ。オーランドでは従業員組合が主催する寄付ベースの大規模な食料品の配給システムがあるのだが、先週の土曜日に食料品の配給を受け取るために集まった家族は800世帯、行列は2キロ近くにおよんだ。

この現状をさら上乗せするように、今回のリストラが発表されたのだから、なんとも厳しい。

誰も来ないひっそりとした夢の国で、ミッキーたちはなにを思って暮らしているだろう。おとぎ話のように妖精や魔法使いが現れて、あっという間に世界を救ってくれればよいのに。

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何度同じ間違いをするのだろう(ティア2)

何十年前に新人として部署に配属されたときに、上司の一人が言ったものだ。「わからないことは何でも聞きなさい。何をきいても馬鹿にはされない。でも、同じ質問を2回するのはだめだ。ミスもそう。最初のミスでそんなに落ち込むことはない。でも、同じミスを二度繰り返すのは社会人として認められない。」

まあ、アタリマエのことなんだけど、「そうか、大人っていうのはそういうもんなんだな」と納得したものだ。人は間違いを犯せば、そこから学ぶ。間違いによって引き起こされた結果が悪ければ悪いほど、同じ間違いは繰り返さないようにする。

のだが、これが意外と簡単ではないことが、現在の米国が語っている。

パンデミックの真っ只中、4月のニューヨークの悲劇を目の当たりにし、ロックダウンの効果で5月には感染者の増加を一旦止めた米国が、5月末のメモリアルデーの三連休に始まり、次々の規制緩和をして慌てて元の生活に戻ろうとして迎えたのが、7月の独立記念日の三連休。この一連の流れにより、米国の感染拡大は4月や5月とは比べ物にならない規模で燃え上がり、7月末には各州は再び規制を強化せざるを得なかった。

規制強化の効果で、一日4万人を超えていた新規感染者が、9月12日には3万5千人にまでじりじりと下がってきて、ほっとしたのもつかの間、その2週間後の9月26日には4万5千人とあっという間に元に戻った。なにがあったのかというと、もちろん9月5日から7日までの三連休である。

このように明らかに再感染拡大傾向がみられているというのに、8月にものすごい感染者と死者を連発していたフロリダ州は、少し感染拡大が落ち着いてきたとたんに、あっさりと規制の大幅な緩和を決め、レストランの室内営業や最もリスクが高いと言われているバーの営業の許可を出した。フロリダ州が前回バーの営業を許可した6月よりも、現在の感染状況はよくない。ということは、単純に考えると、フロリダはこれから1ヶ月後には、この7月8月の恐ろしい感染状況をさらに超える最悪の状況に突入することが予想される。

本当に米国は学ばない。が、学んでいる人たちもいる。

カリフォルニア州の新規制緩和政策は明らかに、6月の規制緩和の失敗を元に計画されている。非常に厳しい規制緩和条件になっているだけではなく、緩和段階を移動した場合、必ず同じ緩和レベルに2週間はとどまらなくてはいけないルールになっている。一段階緩和した結果を確認してから、次の緩和ができるかどうかを検討するシステムになっている。実は6月も、カリフォルニアはこの方法で緩和をしようとしていたのだと思う。が、実際は次々と規制を緩和していく他州の影響を受けた抗議活動に応える形で、予定よりもかなり急速に規制緩和を勧め、その結果非常に大きな感染拡大の波にのまれることになった。

今度こそを同じ間違いを繰り返したくない州政府は、連邦政府の政策や助言、他州の動向などをすべて馬耳東風、明確に独自路線を勧め、厳しい規制緩和システムを数字と文字で明示的に文書化し、州政府が旗振りをしながら徐々に勧めている。他の州に比べるとカタツムリのような歩みだ。たぶん、それが功を奏して、9月の末の今の段階になっても、減り続けてきた感染者数の横ばいを維持している。もちろん、これから少しづつ学校の再開を視野に入れているので、いつ何時再び感染の波にのまれるかは予断を許さない状況ではあるが。

そう、秋からの学校の再開は、間違いを繰り返し続ける米国を襲う新たな懸念だ。春から夏にかけては、ロックダウンで殆どの学校は閉まっていた。その後は夏休みで閉まっていた。小学校から大学まで学校という学校が閉まっていたのだが、それでも、あの規模な感染拡大を招いた米国が、その過ちから学ばない態度のまま、今度は学校を再開させている。想像できるように、早速、小学校で、中学校で、高校で、大学で、学校クラスタを発生させている状態だ。

この状況でもまだ、バーの営業再開などに踏み切る州があることは、もう呆れて口が塞がらないわけだけど、こんな調子で、ハロウィーン、感謝祭、クリスマスを迎えたら、これまで三連休の過ごし方ですら学ばなかった米国人が招きかねない結果は、夏の感染状況を遥かに超えていくのではないかといわている。

せめて、カリフォルニアは大人の成長をみせて、同じ間違いを繰り返さないようにしてほしい。カリフォルニアの人だって、羽目を外して集まってしまいそうな人も機会もたくさんある。学校も心配だ。でも、そんな可能性があるからこそ、あの厳しくて頑固で保守的な規制緩和システムを作ったのだ。今度こそ、骨抜き法案にならないように、州政府は罰金を課すでもなんでもして、厳しく対応してほしい。

確かにカリフォルニアの経済はボロボロだ。仕事を失って食料品の配給に集まる人達、オンライン教育で取り残された子どもたち、次々と閉まっていく店の数々。確かに厳しい。厳しいけれど、これは永久に続くわけではない。

健康で生きていればやり直せる。今はただ、医療関係者や医療器具が足りなくなったあのニューヨークの悲劇、あの間違いを繰り返すことがないように、ぐっとしゃがみこんだ防御スタイルで、この秋と冬を乗り越えていければいいなと思う。

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