シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ホワイトハウスに広がる不安(ティア2)

今や米国の人たちは誰もが不安を抱えているような気がする。収束しない感染だったり、失業だったり、学校閉鎖だったり、山火事だったり、ハリケーンだったり、不安な原因が尽きない米国で、今、人々を一番不安にさせいるのはホワイトハウスの状態だ。

大統領が自らの感染を発表してから4日たつが、一時期容態が思わしくなかったらしい彼だが、容態が安定してからすぐに、無理やり病院からホワイトハウスに帰ってきてしまった。このことは、大統領の容態が思わしくなかった週末よりもさらに、米国の人たちを不安にさせることとなった

なぜ、大統領の容態が安定してホワイトハウスに帰ってきたことが、より大きな不安を生むのか。

まずは、感染の問題だ。彼が不在の間、ホワイトハウスのスタッフ内で次々と感染者が発表されていた。今日に至っては、ホワイトハウスの報道官の感染が発表された。ちなみに、この報道官はホワイトハウスでジャーナリストと会見し、ホワイトハウスの見解を報告するのが仕事なのだが、まだ感染が判明していないときにマスクをしないで、ジャーナリストたちと室内会見を行っている。そして、すでに3人のホワイトハウス付きジャーナリストの感染が判明している。

すでに大統領の側近たち中では大統領を含めて12人の感染者が出ているが、これはあくまで発表する必要のある人達が12人だというだけで、名もないオフィススタッフやハウジングスタッフの中にどれくらいの感染者がいるのか。ホワイトハウスはそれを発表する予定はないとした。感染者のプライバシーのためだと言っているが、たぶん、それだけじゃないだろう。

ウィルス感染の恐ろしいところは、結果的には感染拡大はホワイトハウスの中だけにとどまらないだろうと考えらられるところだ。ホワイトハウスで感染した議員が別の議員とあっていた可能性もある。議員の家族のことも考えたほうがいい。また、ホワイトハウスのスタッフは仕事が終われば家に帰る。そうすると、スタッフの家族、家族を通じて別の誰か、そんな風にホワイトハウスが把握していない感染がジワリジワリと拡大していく可能性がある。コンタクトトレースが漏れなく行われているようでもないという報道まで流れ、更に不安を掻き立てる。

そもそも、このアウトブレイクのきっかけになったと考えられている最高裁判所の判事のノミネートイベントは、なんと150人以上がほぼマスクをしないで集まり、野外だけではなくは室内でも歓談したというのだ。このイベントの出席者から7人の感染者がすでに判明しているが、150人の出席者たちから、出席していなかった人々に二次感染、三次感染が広がってるかどうかは、未だにまったくわかっていない。コンタクトトレースはどうした!と叫びたくなるレベルだ。

このように、すでにホワイトハウスはウィルスの館状態だったというのに、明らかに感染させる可能性のある大統領が、完治もしていないのに病院から帰ってきてしまったのである。それだけではない。なんとホワイトハウスに到着直後のフォトセッションで、なんの躊躇もなくマスクを外してポーズをとったのだ。大勢の人々の前でマスクを外したのである。自分が感染していてウィルスを飛ばしている可能性が限りなく高いのに。あの映像を見て不安になった人の数は、更に増えたにちがいない。この人はなにも学んでいないんだなと。

このように、ホワイトハウスとはまったく縁のない私でも不安になったのだから、ホワイトハウスに実際にいて、ホワイトハウスを機能させているスタッフの不安は計り知れない。そこには、誰でも知っているような有名な大統領の側近もいるし、ホワイトハウスの掃除や料理をしている一般の人たちもいる。そういうすべての人達の身の危険を感じさせる映像だった。

それに加え、大統領は実際にまだ完治しているとはいえない。この日記にも書いているように、今回のウィルスの特徴であるが、一時回復した症状がその後遅れて悪くなるケースも相当ある。今元気でも、いつでもぶり返す可能性はあるのである。病院でも執務ができる状態だったし、ホワイトハウスでも隔離状態なのだから、彼は病院で仕事を続けていればよかったのだ。オンラインで仕事をするならばどこにいても一緒なのは、この6ヶ月間、ほとんどの米国人は経験済みだ。なぜ帰ってきた。その理由を想像すると、それがまた不安の原因になる。

まだある。彼は、ホワイトハウスに帰る際に「COVIDを恐れるな」と言ったのだ。世界中で100万人の死者を出しているウィルスを恐れるなと宣言したのである。症状が出た途端に専用ヘリコプターで病院に直行、十人以上の医師がつきっきりで看病、未だ承認されていない最新治療を試し、何種類もの新薬、既薬を投与された人間の言うことではない。そもそも普通の人が感染したら、どれも手に入らない環境ばかりだ。

私は6ヶ月間COVIDの記事を追ってきたけれど、そこから得た知識ではCOVIDそのものは明らかに恐れたほうがいい。正しい知識で予防の努力をしていれば、感染の危険性はそれほど恐れなくていい。しかし、予防をしないで、うっかり感染して、一般人には手の届かないような手厚い看護をうけて回復した状態で、COVIDを恐れるなというのは、あまりにも無責任だ。

この不安な状態であとどれくらい過ごさなくてはいけないのだろう。あちらこちらが八方塞がりの米国にだれか透明感を与えてほしい。せめて、秘密や策略があるのではないかと思わせるような政治や報道ではなくて、透明感のある社会が実現されることは、今の米国では無理難題ということなのだろうか。

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