シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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何度同じ間違いをするのだろう(ティア2)

何十年前に新人として部署に配属されたときに、上司の一人が言ったものだ。「わからないことは何でも聞きなさい。何をきいても馬鹿にはされない。でも、同じ質問を2回するのはだめだ。ミスもそう。最初のミスでそんなに落ち込むことはない。でも、同じミスを二度繰り返すのは社会人として認められない。」

まあ、アタリマエのことなんだけど、「そうか、大人っていうのはそういうもんなんだな」と納得したものだ。人は間違いを犯せば、そこから学ぶ。間違いによって引き起こされた結果が悪ければ悪いほど、同じ間違いは繰り返さないようにする。

のだが、これが意外と簡単ではないことが、現在の米国が語っている。

パンデミックの真っ只中、4月のニューヨークの悲劇を目の当たりにし、ロックダウンの効果で5月には感染者の増加を一旦止めた米国が、5月末のメモリアルデーの三連休に始まり、次々の規制緩和をして慌てて元の生活に戻ろうとして迎えたのが、7月の独立記念日の三連休。この一連の流れにより、米国の感染拡大は4月や5月とは比べ物にならない規模で燃え上がり、7月末には各州は再び規制を強化せざるを得なかった。

規制強化の効果で、一日4万人を超えていた新規感染者が、9月12日には3万5千人にまでじりじりと下がってきて、ほっとしたのもつかの間、その2週間後の9月26日には4万5千人とあっという間に元に戻った。なにがあったのかというと、もちろん9月5日から7日までの三連休である。

このように明らかに再感染拡大傾向がみられているというのに、8月にものすごい感染者と死者を連発していたフロリダ州は、少し感染拡大が落ち着いてきたとたんに、あっさりと規制の大幅な緩和を決め、レストランの室内営業や最もリスクが高いと言われているバーの営業の許可を出した。フロリダ州が前回バーの営業を許可した6月よりも、現在の感染状況はよくない。ということは、単純に考えると、フロリダはこれから1ヶ月後には、この7月8月の恐ろしい感染状況をさらに超える最悪の状況に突入することが予想される。

本当に米国は学ばない。が、学んでいる人たちもいる。

カリフォルニア州の新規制緩和政策は明らかに、6月の規制緩和の失敗を元に計画されている。非常に厳しい規制緩和条件になっているだけではなく、緩和段階を移動した場合、必ず同じ緩和レベルに2週間はとどまらなくてはいけないルールになっている。一段階緩和した結果を確認してから、次の緩和ができるかどうかを検討するシステムになっている。実は6月も、カリフォルニアはこの方法で緩和をしようとしていたのだと思う。が、実際は次々と規制を緩和していく他州の影響を受けた抗議活動に応える形で、予定よりもかなり急速に規制緩和を勧め、その結果非常に大きな感染拡大の波にのまれることになった。

今度こそを同じ間違いを繰り返したくない州政府は、連邦政府の政策や助言、他州の動向などをすべて馬耳東風、明確に独自路線を勧め、厳しい規制緩和システムを数字と文字で明示的に文書化し、州政府が旗振りをしながら徐々に勧めている。他の州に比べるとカタツムリのような歩みだ。たぶん、それが功を奏して、9月の末の今の段階になっても、減り続けてきた感染者数の横ばいを維持している。もちろん、これから少しづつ学校の再開を視野に入れているので、いつ何時再び感染の波にのまれるかは予断を許さない状況ではあるが。

そう、秋からの学校の再開は、間違いを繰り返し続ける米国を襲う新たな懸念だ。春から夏にかけては、ロックダウンで殆どの学校は閉まっていた。その後は夏休みで閉まっていた。小学校から大学まで学校という学校が閉まっていたのだが、それでも、あの規模な感染拡大を招いた米国が、その過ちから学ばない態度のまま、今度は学校を再開させている。想像できるように、早速、小学校で、中学校で、高校で、大学で、学校クラスタを発生させている状態だ。

この状況でもまだ、バーの営業再開などに踏み切る州があることは、もう呆れて口が塞がらないわけだけど、こんな調子で、ハロウィーン、感謝祭、クリスマスを迎えたら、これまで三連休の過ごし方ですら学ばなかった米国人が招きかねない結果は、夏の感染状況を遥かに超えていくのではないかといわている。

せめて、カリフォルニアは大人の成長をみせて、同じ間違いを繰り返さないようにしてほしい。カリフォルニアの人だって、羽目を外して集まってしまいそうな人も機会もたくさんある。学校も心配だ。でも、そんな可能性があるからこそ、あの厳しくて頑固で保守的な規制緩和システムを作ったのだ。今度こそ、骨抜き法案にならないように、州政府は罰金を課すでもなんでもして、厳しく対応してほしい。

確かにカリフォルニアの経済はボロボロだ。仕事を失って食料品の配給に集まる人達、オンライン教育で取り残された子どもたち、次々と閉まっていく店の数々。確かに厳しい。厳しいけれど、これは永久に続くわけではない。

健康で生きていればやり直せる。今はただ、医療関係者や医療器具が足りなくなったあのニューヨークの悲劇、あの間違いを繰り返すことがないように、ぐっとしゃがみこんだ防御スタイルで、この秋と冬を乗り越えていければいいなと思う。

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