シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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最大規模の調査を可能にした国はインド!!(ティア2)

パンデミック史上最大規模の66万人を対象にした調査結果が発表され、これまでよりもさらに詳細なウィルスの性格が判明してきた。この貴重な調査を実現するには、66万人に対する広範囲のコンタクトトレースと感染テストの迅速な結果が必要だが、これを実現した国はインドだった。

数々の先進国に比べ、経済的に貧しいインドであるが、彼らは非常に広範囲なコンタクトトレースを成功させている。これは、米国についで二番目という多数の感染者を出しているにも関わらず、感染者に対する死者の割合は米国の半分以下という現状と無関係とは思えない。

この調査は、84995人の感染者とコンタクトがあった、なんと575071人をトレースしたデータから成り立っている。ものすごい調査人数だ。この調査はインドの南部の2つの州で行われたが、この2つの州はインドの中でも、最もヘルスケアワーカーの数が多く、公衆衛生に対して多額の予算を使っていることで知られている。どちらの州も AIDS の流行の際に構築された伝染病を追跡するネットワークを利用していて、各家庭をめぐるトレースの可能レベルは世界に類を見ないといわれている

AIDS との戦いで培ったコンタクトトレーサーとして訓練を受けたヘルスワーカーとノウハウのある伝染病の追跡作業員を多く抱えていることが、その強みだ。コンタクトトレースは今回のパンデミックを戦うために非常に有用な武器であると言われているのにもかかわらず、米国の多くの州では未だ実現できていない。ちなみに、カリフォルニアのロサンゼルス郡が雇っているコンタクトトレーサーの数は人口1千万人に対して2600人だが、この調査が行われたインドの南部のTami Nadu州の郊外の1区域では、その三分の一の人口のために同じ数のコンタクトトレーサーが雇われている。これはすごい。つまり、インドの南部のこれらの地域では、コンタクトトレースのためのに米国の3倍のワークフォースを持っているのだ。

このコンタクトトレースで判明した数々の興味深い事実は、明日、報告することにして、今はこのコンタクトトレースの意味について考えてみたい。

現在Tami Nadu州では感染者は多い。しかし、死者の割合だけ考えてみると、この州では累計で人口10万人に対して13人の死亡者を記録している。これに対し、米国は人口10万人に対してなんと62人もの死者を記録している。ほかにも様々なファクタが考えられるとはいえ、コンタクトトレースが実はたくさんの命を救っている可能性があると考えてもよいだろう。コンタクトトレースにより早期に発見される感染者の治療がネックになっている可能性がある。

より貧しい国がより豊かな国よりも、たくさんのヘルスワーカーを抱え、より高いスキルを持って、公衆衛生を保持しているというのはちょっとした驚きだ。米国のコンタクトトレースが一向に成功しない理由は、ヘルスワーカー不足、予算不足、テスト不足の3不足のせいだが、人員的にも金銭的にも設備的にも優位なはずの米国ができていないことを、インドの南部の州はこんなにもしっかりと実現できている事実を、米国の政府関係者はしっかりと脳に刻んだほうがいいし、これからでも見習ってほしい。

「大切なのはどのようなリソースをどう使用するかをクリアに計画できる、強固な政府の仕組みです」と、この調査にデータを提供した州の政府関係者がコメントをしていた。米国は耳が痛い。

明日は、この調査から判明した様々な新事実を報告したいと思う。

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