シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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今こそ魔法が必要なのに(ティア2)

とうとうディスニーがリストラを決行することになった。3月のディズニーランド閉鎖以来、カリフォルニアでその扉が再び開かれることなく6ヶ月が過ぎた。フロリダでは7月中旬に制限を設けて営業を再開したものの、パンデミックの影響で期待するほど客足は伸びなかった。先の見えないパンデミックの現状を考えれば、さすがのディスニーも危機感が迫ってきたのだろう。

ディスニーの主力であるテーマパークやディズニークルーズが閉鎖している状態で、ディズニーの最新四半期の売上は、昨年の同時期に比べてなんと85%減という厳しい数字がでている。この期だけでも20億ドルのロスが計上されている。この状態で6ヶ月やってきただけでも、やはりディスニー王国には体力があったんだなあと感心させられる。

ディスニーランド閉鎖に伴い、ディズニーはパートタイムスタッフと一時解雇の状態になっていたスタッフに対して給与の支払いはしてはいなかったが、健康保険などのサポートは続けてきた。暗いトンネルの先に、後少しで、きっともうすぐ、灯りが見つかるだろうと希望して、耐えてきた6ヶ月だった。多くの人は、6ヶ月たっても米国がこの状態であろうとは4月の時点では考えていなかったのだ。

しかし、現実は過酷だった。ディスニーは今やリストラに踏み切るしか道がない。米国のディスニーランドおよびディズニーワールドのスタッフ約11万人のうち、2万8千人という大規模リストラである。そのうち67%はパートタイムのスタッフであるが、正社員や管理職にもリストラの対象になっている。

ディスニーにこれだけの打撃を与えたパンデミックだが、現状に大きく影響をしているのは、カリフォルニアのロックダウン規制と厳しい規制緩和である。

カリフォルニアが6月に速すぎる規制緩和を勧めたときに、ディスニーランドも7月の中旬に再開すると発表していた。ところが、ディスニーランドのスタッフたちが、ディズニーは営業再開を急ぎすぎているのではないかと州政府に報告、これを期に州政府はテーマパークの再開の規制を強化し、これによりディスニーランドの再開は見送られることになった。この判断は、7月後半から8月の中旬までの大規模な感染拡大を考えれば正しい判断であったと思うし、誰も責められない。

現在カリフォルニアのテーマパークは一切営業が許可されていない。夏の感染拡大の波に飲み込まれて嫌というほどパンデミックの恐ろしさを学んだカリフォルニア州政府は、今や簡単には規制を緩和しないという非常に厳しい姿勢をとっている。この政策も、多くの人は正しいと感じていると思う。

しかし、正しいかどうかは問題ではない人達がいる。ディズニーランドの閉鎖は、テーマパークがビジネスの中心であった街への打撃はすさまじく、ディスニーも苦しい状態だが、ディスニーランドを訪れる世界中の観光客をもてなしていたホテルもレストランも虫の息だ。そのような街の市長たちは、この大災害を終わらせるために、州政府に対してなんとかディスニーランドを再開させてほしいと要望をあげ続けている。

彼らは現在進行系で死にそうな状況なので、再開したいという強い要求は誰もが理解できるところだ。でも、苦しんでいる人たちには本当に申し訳ないけれども、やっぱり緩和はするべきではない。6月にビジネスの圧力によって、なし崩し的に経済再開を推進した結果、ディスニーランドが閉鎖した状態でもロサンゼルス南部では大量の感染者と死者が計上された。そのことを考えれば、今の状態でテーマーパークを開けることはできないのだ。

そもそも、実際に開けたところで、フロリダのディズニーワールドのように期待するほど客足が伸びない可能性は高い。今は誰も好んで飛行機にはのりたくない。また、世界一の感染者と死者を出している米国に、海外から遊びに来る人間がいたら、それこそお目にかかりたい。その上、高いチケットを買ってディズニーランドを訪れても、花火もないし、レストランも一部は閉まっている、ミッキーにハグをしてもらえないし、営業時間は短い。これでは、客足が鈍いのは当然だ。ゼロよりはましだというレベルにとどまる可能性もある。

結局、テーマパークが以前のように大幅な利益を得る営業をできるようになるためにはワクチンが承認され、そのワクチンが大半の人に行き渡るのを待つしか無いといわれている。

幸いなことに、テーマパークやクルーズ以外のディスニーの営業状態は良好だ。スポーツ中継サービスも元に戻ったし、ディズニー+による配信サービスは非常に速いスピードで広まっている。出かけない代わりに、人々は自宅で楽しめるエンターテイメントを求めている。ネットの配信サービスは今、最もホットなビジネスとひとつだ。

しかし、主力のテーマパークとクルーズなしのディスニーは、テーマパークの従業員を雇い続けることはできない。多くの従業員はすでに一時解雇の状態で、給料が支払われていないため、食料品の買い物にすら困る状態だ。オーランドでは従業員組合が主催する寄付ベースの大規模な食料品の配給システムがあるのだが、先週の土曜日に食料品の配給を受け取るために集まった家族は800世帯、行列は2キロ近くにおよんだ。

この現状をさら上乗せするように、今回のリストラが発表されたのだから、なんとも厳しい。

誰も来ないひっそりとした夢の国で、ミッキーたちはなにを思って暮らしているだろう。おとぎ話のように妖精や魔法使いが現れて、あっという間に世界を救ってくれればよいのに。

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