シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ついに大統領感染(ティア2)

今日は、インドで行われた大規模調査の結果から判明した新しい事実について書くつもりだった。ほんの4時間前までは。

でも、今日はやっぱりこれを書かなくては行けないような気がするので、インドの大規模調査の興味深いデータは明日に繰りこすことにする。

カリフォルニアの夜10時を過ぎた頃だろうか、急にネットが騒がしくなった。トランプ大統領が感染したという。

私は第一報をSNSで受け取ったので、ソースの確認をするためにニュースサイトにとんだのだが、数十分前に速報がでたばかりだった。大統領とファーストレディーの感染テスト結果が陽性であり、今後二週間自宅隔離(といっても自宅はホワイトハウスなのだが)になるというニュースだ。すでに彼らが居住しているワシントンは夜中の12時を回っている時間の速報だ。

米国の誰もが思ったのは、このタイミングか!だと思う。実は、彼が感染したことについてはあまり驚きはない。彼のウィルスに対する態度をみていれば、彼がいつ感染してもおかしくはなかった。ただ、大統領選を一ヶ月後に控え、火曜日に最初の大統領候補のディベートを行ったばかりの、このタイミングで!という驚きは誰もが抱いたに違いない。

しかし、よく考えてみれば、このタイミングも驚きには値しなかった。なぜなら、大統領選を控えて、彼は非常にアクティブに各州を飛び回って大規模な集会を行っていたからだ。彼の集会の参加者の多くはマスクをせず、ソーシャルディスタンスを保っていない。彼自身も、支持者の前に登場するときは、ほぼ必ずマスクを身に着けていなかった。距離はそれほど近くなかっただろうが、側近や地元の支持者に合い、挨拶を交わし、大統領専用機に乗って移動し続けていた。

大統領はは毎日のように感染テストをうけていると報道されていたし、ホワイトハウスのスタッフも定期的にテストをうけていたはずだ。周りの人間は感染しているはずがないという予測のもと、彼は職務中も、マスクをせず、ソーシャルディスタンスもとらなかっただろう。飛行機にしても大統領専用機に乗る人間は限られている。その中に感染者がいなければ「普通」にしていてもよいと思っていただろう。彼の頭の中では少なくともそうだった。

ところが、このウィルスの感染力は巧妙だ。たくさんの人間に触れる機会があればあるほど、症状のない人間から人間にひっそりと器用に感染していき、いつのまにかホワイトハウスのスタッフにもその手を伸ばしていく。今回は、選挙活動に同席していた大統領顧問の女性が、選挙活動のどこかのタイミングで支持者から感染したのではないかと疑われている。そして、彼女は感染に気づかないまま、引き続き選挙活動のために大統領やその側近たちと大統領専用機にのってキャンペーンに参加していた。

彼女に症状が見られたのは水曜日だ。体の痛みを訴えたため、テストを受けたところ陽性だった。ホワイトハウスに警笛がなり、大統領を始め側近たちはすぐにテストを受けたはずだ、そしてその結果、少なくとも大統領とファーストレディーが陽性であることが公表された。

彼らは現段階では症状はでていない。このまま出ないで2週間をすごすかもしれないし、今後症状が現れるかもしれない。米国だけではなく、世界の多くの国で、今後の動向が大きく注目されるだろう。

これはいったい、米国にどのような影響をおよぼすだろうか。

大統領は隔離状態で執務を続けると発表したのだが、隔離状態なのでしばらくはホワイトハウスからでてくることはない。また、大統領と行動をともにすることが多い、副大統領、報道官、大統領顧問などの、ホワイトハウスの重要な役職につく人々は、やはり同様に隔離される可能性が高い。たとえ陽性ではなくても、ウィルスの潜伏期間のことを考えれば、通常は隔離に近い生活を送る必要がある。となると、誰が外に出てこれるのだろうか。それともインターネットを通じてしか誰もでてこないのだろうか。この状態でホワイトハウスは機能するのだろうか。さまざまな憶測が飛んでいる。

また、大統領選にも確実に影響するだろう。大統領選まで残り一ヶ月、いちばん大切な追い上げのときだ。本来なら両候補とも激戦区を周り、票をかせぐための活動をしなくてはならない。ただ、今年はウィルスの影響で、対抗候補のバイデン元副大統領は、通常の形の大規模は集会は開かず、野外で中継のタウンホールミーティングを開いて支持者とコミュニケーションをとってきていた。一方、トランプ大統領は先程も記載したように、この一ヶ月、米国を縦横無尽に移動して大きな集会を開いて盛り上げていく予定だったのだが、これらは2週間キャンセルにならざるえない。

また、大統領候補同士のディベートも予定されているが、今の状態では大統領がそれに参加できるかどうかは不透明だ。米国は前代未聞の選挙戦に突入したことになる。

心配なのはつい先日の大統領候補のディベートだ。ディベートの内容はここではおいておいて、興奮した様子のトランプ大統領は、バイデン元副大統領のほうを向いて、非常に大きな声で話を何度も遮っていた。飛沫感染は大きな声で騒げば騒ぐほど遠くにとぶ。彼らの間には確かに相当な距離があったが、いかにもつばの飛びそうな話し方をしていた大統領の様子を思い出すと、バイデン元副大統領への感染が非常に心配だ。もしこれでバイデン氏が感染したとしたら、米国人のほとんどはトランプ大統領からの感染だと疑うだろうし、感染現場をテレビ中継でみていたと思うだろう。

ところで、トランプ大統領がマスクをしない大きな理由は、自分が感染していないという確信があったからだ。少なくとも2日に1回のペースでテストをうけていて陰性なのだから、感染しているわけがないと考えていたのだ。それだけ頻繁にテストを受けている人間ですら、いつのまにか感染してしまうのである。今回のことで、ウィルスの巧妙さがさらに明らかになった形となった。

この見えない敵はとうとう米国の懐に深く入り込んだわけだが、だからといって、誰もが簡単に感染してしまうのだと、過度に騒いだり恐れる必要はないことを書いておきたい。実際のところ、マスクをしてソーシャルディスタンスを保ち、たくさんの人間のいるところにいかなければ、感染する確率は非常に低いウィルスなのだ。

大統領は、マスクをせずに、ソーシャルディスタンスを保たずに、マスクをしない沢山の人達と接した。リスクの高い生活を自ら選んでいた。ただ、それだけのことなのだ。

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