シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ロックダウンが奪うもの(ティア2)

ロックダウンによって奪われていくものは何だと聞かれれば、多くの人が、自由、仕事、友人との楽しい時間などそれぞれの答えをだすだろう。

実は、ロックダウンによって多くの人たちから奪われているものがある。健康だ。

ウィルスに感染した人はもちろんだが、感染していない人たちにも、できるだけ家で過ごすロックダウン生活では、注意しないとあっという間に健康が蝕まれてしまう。

まず、筋肉。トレーニングの好きな人であれば知っているように、筋肉というのは鍛えるのには数ヶ月かかるが、失うのは数週間だといわれている。6ヶ月の間、運動をせずに家で過ごし続ければ、当然筋肉の衰えはさけられない。

そして、肺と心臓。心拍数をあげない生活を続けていると、心臓は徐々に弱ると言われている。これは肺についても同様で、活動的に過ごしていないとはいの機能も徐々に弱ってくものらしい。

そんなことわかっているということで、ロックダウン中も頑張って運動をしている人は多い。ただし、ジムは閉まっていたし、一時期はビーチや公園も閉まっていたので、実際にできる運動は限られていた。散歩、ジョギング、サイクリング、狭い室内でもできる筋トレぐらいだ。気温の高い地域では日中の野外運動は難しいこともあり、早朝や夜に活動しなければならない。この状況下では、多くの人達の間で、筋肉、肺、心臓ともに弱くなったとしても驚きはない。

また、在宅ワークやオンラインスクールで姿勢が悪くなった人もいるだろう。オフィスにあるような人間工学を駆使した家具を持たない人々が、無理な姿勢や、正しくない装備を使い、人によってはソファーに寝転がりながら、作業をしたり勉強をしたりしてるかもしれない。そのような環境での長時間の無理な姿勢は、様々な健康被害につながる。腰痛、背骨の婉曲、肩こり、視力の低下とあげればきりがない。

こちらも、ロックダウンに対応して、金銭的に余裕のある人は、スタンディングデスクや、正しく座れるデスクチェア、画質の良いディスプレイなどを導入して対応してきただろうが、家の広さや予算などを考えれば誰もができる対応策ではない。

そして、体重の増加。運動量が減ったこととも関係あるが、同時に食べ物へのアクセスが簡単になったことも影響している。学校やオフィスにいれば、スナックを取る時間がきまっていたり、きまっていなくても取りに行くのにある程度の移動が求められる。しかし、自宅であれば、近くにいつでもスナックがあり、人目を気にすることなく口に放り込むことができる。また、子供や若者のいる場合、そもそも必要な摂取カロリーが違うので、なかなかコントロールが難しい。子供にスナックを用意するたびに一緒に食べてしまう親もいるだろうし、子供と一緒でなければサラダで済ませたいランチも、子供と一緒だとしっかとカロリーのあるものになってしまう。

それから、睡眠障害もある。個人差が大きいとは思うが、活動が減った分なかなか眠れなくなったり、パンデミックに伴う様々なストレスが原因で眠れなくなった人もいる。また、朝起きて外で太陽の光を浴びていないがゆえに体内時計の狂いが生じて眠れなくなる人もいるという。日光に当たらないがゆえのビタミンDの不足も心配されている。

少しあげてみるだけでも、ロックダウンによって奪われた、または、奪われつつある健康についてが見に覚えがあるのではないだろうか。

まだまだ続く自粛生活。ここらで、身を引き締めて、一日一回は外気に触れてある程度心拍数をあげる運動するとか、仕事中も一時間に一回は立ち上がって軽く運動をするとか、摂取カロリーに気をつけてスナックの買いだめはしないとか、簡単にできる対応策を考えてみよう。

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インフルエンザとCovid-19(ティア2)

来週には10月が始まる。いよいよインフルエンザの季節がやってくる。

専門家が恐れているのは、このままCovidの感染拡大がおさまらず、かつ、インフルエンザが流行った場合、医療機関が対応しきれなくなる可能性があること、また、2つのウィルスに同時にかかる可能性があるため、合併症の危険性がさらに高まることだ。

インフルエンザとCovid-19は、その症状がそっくりだ。どちらも熱、体の痛み、喉の痛み、咳、息苦しさ、倦怠感、頭痛、と共有する症状のオンパレードで、具合悪くなっても実際はどちらにかかっているのかはテスト結果を見るまでわからないと言われている。

若干の違いは、インフルエンザの患者は症状が出始めた週が一番重いのに対し、Covidの患者は2週目3週目の方が重い症状が見られる傾向があることと、Covidの患者は匂いや味が感じられなくなる人が多い点だが、これらも必ずという訳ではなく、決め手に欠けている。結局、テストを受けるまではどちらにかかったかわからないそうだ。

実際、インフルエンザの特徴といえば、飛沫感染、エアロゾル感染の可能性、基本疾患をもつ人、高齢者、肥満症状のある人は合併症を起こして重症化しやすいことだが、まさしくCovidの特性とほぼ一致している。

そして予防の仕方も全く同じだ。マスクをして、ソーシャルディスタンスを保ち、手をよく洗うことによって、かなり予防することができる。つまり、Covid-19 が予防できていれば、必然的にインフルエンザも予防できるのだ。

だから、インフルエンザの予防注射をしなくてもよいという人もいるかもしれない。確かに家から一歩も出ず、誰とも会わないで今後6ヶ月を過ごす予定があるのなれば、それでも良いのかもしれないが、実際には、それを実現できる人はあまり多くない。いつどこで、ウィルス感染するかわからない現状においては、今年インフルエンザの予防注射を受けることは、例年よりもさらに重要であると専門家は訴えている。

世の中には、インフルエンザの予防注射によって病気になる可能性があるから摂取したくないという人たちがいるが、医療関係者はインフルエンザのワクチンによってインフルエンザにかかることはないと断言している。また、過去にインフルエンザの予防注射も受けたに関わらず、インフルエンザにかかった経験のある人たちは、予防注射は無駄だから受けないという人たちがいる。

実はこれについて、学ぶとなかなか面白い。全てのワクチンというのは発症を100%予防するものはないのだが、例えばワクチンの発症予防率が50%だと言われた場合、人々はワクチンを摂取しても50%の確率で発症するのであれば、そんなワクチンは受ける必要がないと考える。ところが、発症率予防率というのはそういう視点で考えるものではないのだ。

例えば100人いて、そのうち10%がウィルスに感染するとする。発症予防率50%のワクチンを100人全員が摂取している場合、発症する人は5人に抑えらえる。全員が摂取していない場合は10人が発症する。これをもっと大きな人数に置き換えると、よりわかりやすい。

人口100万人の街があった場合、街で10万人が発症するのと、5万人が発症するのとでは、医療機関への影響は雲泥の差だ。また、マスクなどの感染予防の手段をしっかり実行していない場合、発症者からの感染が指数関数的に増えていくことを考えれば、発症者が半分になることは、社会的健康という視点で考えると非常に効果が高い。

だから、どうせ摂取しても効かないから摂取しないというのは、あくまでも個人目線の話であって、社会目線では、できるだけたくさんの人がワクチンを摂取するべきなのだ。

そして、忘れてはいけないのは、予防注射を受けた後も、感染防止のための努力を続けることだ。これはインフルエンザワクチンはもちろんだが、仮にCovidのワクチンが受けれる状態になった場合も同じである。

発症予防率100%のワクチンは存在しないし、国民全員がウィルスを摂取することもないと言われている。うまくいっても、国民の75%から80%に摂取されることができれば合格だと考えられている。つまり、ワクチンが完成した後にも、Covidが魔法のように消えて無くなることはないのだ。

それはインフルエンザと同じで、インフルエンザが無くなることもなければ100%予防できることもない。毎年何人もの人がインフルエンザで亡くなっていることを考えれば、Covidのワクチンが完成され摂取が進んだとしても、感染をゼロにするのが難しいことは想像できるだろう。もちろん、今のような勢いで広がることは防止できるようになるだろうし、たくさんの人が摂取すればするほど、発症者は少なくなっていくだろう。

最終的には、Covidも今のインフルエンザのように、退治することはできないけれど、大多数の人にとっては、感染しても死に至ることはない病として存在し続けるのではないかと思う。その段階に到達できるのが、いつになるかはまだわからないけれど。

 

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サンフランシスコの功績(ティア2)

シリコンバレーのお隣には、美しい霧の都サンフランシスコがある。北カリフォルニア最大の都市であるサンフランシスコの市民は、今、自分たちの街を誇りに思っていることだろう。死者が20万人というとんでもない数字を超えてしまった米国において、サンフランシスコは米国大都市の中で最も低い死亡率を保っている。

これがまたちょっと低いというレベルではない。例えば、人口10万人あたりの死者数は、ロサンゼルスが57人、シアトルが32人と記録されている中、サンフランシスコは9.7人とされている。また、感染者に対する死者の割合が、ロサンゼルスが2.42%、シアトルが3.68%に対して、サンフランシスコはなんと0.87%という桁違いの低さだ。これらの値はもちろん、そのほかの米国の有名都市、ニューヨーク、ボストン、デンバー、アトランタなどと比べても、歴然として低いのである。

なにがサンフランシスコをパンデミックにおける優等生にしているのか。専門家は次の理由を上げている。

まず、注目なのは、サンフランシスコでは感染者のケアがずば抜けて良い条件で行われていることだ。サンフランシスコでは、1人患者には1人看護師がつき、個人単位のケアが行われている。これは非常に珍しいことで、例えば、ニューヨークでは1人看護師が最大6人の患者を担当することになっている。これだけでも、サンフランシスコの患者へのケアがどれだけ手厚いかがわかる。しかし、この体制を続けるためには入院者が少なくてはなくてはならない。それでは、なぜ入院患者が少ないのかを考えてみよう。

専門家の間で理由としてあげられているのは、サンフランシスコはほかの米国の大都市に比べて、もともと健康的なコミュニティであるということだ。今や誰もが知っているように、このウィルスは基本疾患を持つ人に対しては非常に獰猛だが、多くの健康な人にとってはただの風邪のような症状であったり、無症状であったりする。サンフランシスコは、健康志向なカリフォルニア州の中でも特に健康的な都市である。カリフォルニアのもう一つの大都市である広大なロサンゼルスエリアに比べて、人々は移動を車だけに頼らず、公共交通機関、徒歩、自転車などを利用する。そんな生活習慣もあり、サンフランシスコは、ほかの米国の大都市に比べると、糖尿病や喫煙のようなCovidの大好物を患っている市民が比較的少ないのである。これにより、入院する必要のある患者が少なくなり、患者に対するケアが手厚くなり、入院した患者が重症化して死に至る可能性も少なくなっているのだ。

最後に、これはサンフランシスコにとっては幸運だったのだが、ニューヨークのような米国で先頭をきって感染爆発を起こしてしまった大都市に遅れて感染が広がりだしたことも大きな要因だといわれている。この遅れが、ニューヨークやその他の都市のデータや経験を研究・検討して、感染拡大防止に対する準備を十分に整える時間を、サンフランシスコに与えてくれたのだ。

これらの理由により、サンフランシスコは奇跡的に感染拡大をほぼスルーして、今でも北カリフォルニアのベイエリアをリードして、規制緩和を進めている。これだけ感染状況が低いのにもかかわらず、慎重に慎重を重ねて、少しづつ規制を緩和していく方法は、その他のベイエリアの街のロールモデルとなりつつある。

サンフランシスコの医療関係者、保健局、そして、ブリード市長陣営に心からの敬意を評したい。

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このまま頑張っていこう(ティア2)

シリコンバレーのあるサンタクララ郡が、カリフォルニア州の定める4段階の規制緩和システムのティア2に昇進させてもらったのが9月8日だ (ティアシステムについては「再挑戦」、サンタクララ郡が昇進した日については「ティア2がやってきた」を参照)。

それから今日まで2週間。2週間の間、ティア2の条件にとどまり続けることができた場合、いよいよ通常の学校の再開が徐々にではあるが許可されることになっている。カリフォルニアもサンタクララ郡も、7月にはとんでもない感染者数を叩き出していたので、この収まり方がいまでも信じられない。

カリフォルニア州は全体的に、10万人あたりの感染者数もテストの陽性率も、安定して下がってきているが、その中でも、サンタクララ郡が含まれる、サンフランシスコ湾一体のベイエリアと呼ばれる地域は、すでに何週間も低いレベルにとどまり続けている。その結果、徐々にティア1からティア2に移行する郡が増え、今日もさらに3つの郡がティア2に仲間入りをした。

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左がティアシステム開始時の8月28日、中央がサンタクララがティア2に昇進した9月8日、右が本日9月22日。右に行くほど色が明るくなっていくのがわかる。色が明るいと規制がより緩和されている。

さて、米国では再び感染者や陽性率が上がっている州もあるというのに、カリフォルニア州、特に北カリフォルニアは順調に状況が改善されていて、陽性率に至ってはパンデミックが始まって以来最低レベルに突入している。これは本当に良いニュースだ。

なぜこれほど順調に状況が改善しているのかについては、いろいろな意見があって、ベイエリアではマスクの着用率が非常に高いこともあげられているが、実は誰も証明はできないけれど、大きな要因があるような気がする。

山火事だ。8月17日から18日にかけて始まったカリフォルニアを燃やし続けている大規模な山火事のため、北カリフォルニアの空気は高い確率で汚染された。ベイエリアは先週になってやっと通常の生活ができるようになったが、それまでの一ヶ月近く、外にでて行動することが危ぶまれるレベルの大気汚染だった。通常なら人々が遊びにでかける9月初旬の三連休時は、特に大気汚染レベルが高く、パンデミックじゃなくても外にでて遊びに行けるような状態ではなかった。

ロックダウンでなるべく家にいた人々が、更に散歩も庭仕事もやめて家に閉じこもっていた数週間。この数週間と感染の大幅な縮小とには関連性があるような気がする。

となると、山火事はまだ燃えているけれど、空気が晴れてきたベイエリアは、実は今後が勝負となる。せっかくここまで下げた感染状況を、今後、規制緩和によるビジネスの拡大、学校の再開に加え、大気汚染がなくなり外に出れるようになった状態で、どこまで抑えたまま維持できるのか。

さて、これからが本当の正念場だ。インフルエンザや風邪が流行る秋が、目と鼻の先にやってきている。手を洗って、マスクをして、ソーシャルディスタンスを保ち、クラスタの発生を抑止する最大限の努力が、シリコンバレーの住民に今こそ求められている。このまま頑張ろう。

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遠くなったけど、世界は狭くなった(ティア2)

カリフォルニア夕方5時、北京時間で朝の8時を迎えた人から仕事のチャットが舞い込んでくる。時差の関係でこういう時間ぐらいしか、効率の良いチャットができないので、夕方のタイミングはいつだって覚悟している。むしろ、午後6時じゃなかったことに胸をなでおろした、6時だったら晩御飯が落ち着いて食べられないところだった。

ああでもない、こうでもないとチャットで会話をしている間に、ピポピポと今度は日本から別のチャットシステムで質問が入って来た。日本と北京の時差は1時間しかない。カリフォルニアの人が中国や日本と連絡がとりやすい時間帯は、この時間帯だからしょうがない。2つの違う問題を、2つのチャットで同時進行する。電話や顔を合わせた会議ではできないけれど、テキストチャットなら誰でも割と簡単に聖徳太子になれる。

日本の人からチャットが入って来たのは6時ごろ。これじゃあ、やっぱり晩御飯は普通に食べられないということで、結局家人には先に食べるように告げる。

なんとか北京の問題をクリアし、ダイニングに一人分だけ残された晩御飯を10分でパパッと食べて、日本と続き。日本の一件が終わりそうだから、今日はこれで休めるってところで、北京の人が出て行ったチャットシステムに、ピロリンっとインドの人が入って来た。ああ、そうだった。インドとの時差はもっと厳しくて、カリフォルニアの夜8時すぎないと繋がらないんだった。その時間でやっとむこうは朝の8時なんだから。どこの人も、世界にちらばってる話し相手をつかまえるためにいろんな時間にコンピュータを開けてる。ため息。

という感じにロックダウン以降、世界はグッと狭くなった。

コンピュータ業界は多くの人が、世界中で在宅ワークをしている。在宅ワークの特徴は仕事をしている時間としていない時間の切り分けが難しいところだ。オフィスで働いていれば、オフィスを後にしてしまえば、基本仕事のコンピュータを開けないですむかもしれないところだが、在宅だとコンピュータはついつい開けっ放しだ。チャットで仕事がどんどん進行し始めると、それを途中で切るのは難しい。「家に帰らなくてはいけない」とか「子供を迎えに行かなくてはならない」というような、明示的な理由はなくなってしまったし。

ネットの反対側の人も同じで、パンデミック前には、現地時間の朝8時からチャットを始める人などいなかった。家で仕事をしているからこそ、朝早くから作業を始めることができるし、時差的に繋がりやすい時間にチャットをするタイミングを測って早朝から連絡を取れば効率的に仕事ができる。そんなこんなで今や、世界を股にかけた仕事のチャット進行が大流行だ。

パンデミック前も同じネットワーク環境はあったのに、こんな風にカジュアルにチャットが世界中を駆け巡ることはあまりなかった。時差のあると相手の出社時間も曖昧だし、とりあえずメールを書いて、翌日に返事を待つという姿勢が、仕事の通常モードだったように思う。どうしても話したいときは、オンライン会議時間を設定したものだ。

今は誰も彼も、ちなみに私も、とりあえずチャットを流すことが多くなった。もし相手が働いてなくても、働き始めたら答えがもらえるし、その時に自分がコンピュータの前にいれば、会話が成立するので進行がグッと効率的だ。

こんな風に世界のあちこちの人とごく普通に会話をしながら仕事をしていると、なんだか最近世界がえらく狭くなったな、と感じる。

プライベートでも、Zoom飲み会やお茶会などに代表されるオンライン集会が盛んになったため、以前よりもずっと頻繁に日本と会話をする機会が増えた。20年間会う機会がなかった同窓生と、オンライン飲み会で再開するなんていうのも、ロックダウンが生み出した副作用だ。こんな風に、プライベートでも、やっぱり世界が狭くなったなと感じる。

しかし、いざ本当に出かけるとなると、どこに行くのもとんでもなく遠い。なにしろ、ロックダウン以降、住んでいる街から出ることもすら滅多にない。1週間の90%近くを家のなかで過ごしているのだ。

毎日同じところにいるのに、毎日ネットで繋がってあっちこっちの人たちと話している。ネットワークのおかげでググッと狭くなった世界、パンデミックが生み出したNew Normalでは、バーチャル世界がそうとう大きな意味を持つようになった。これは多分、パンデミックが終わった後もこのまま続いていくだろう。

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超低温で分配するにはどうする?(ティア2)

日曜日に一日中仕事をしていた。

カリフォルニア州政府は、膨大な失業保険の申請を処理しきれず、明日から受付を2週間一時停止することになったそうだ。そんな状況下の中、仕事があることに文句を言ってはいけないので、文句は言わないことにする。が、ちょっと辛い。

そんなこんなでニュースもあまり読んでいないが、ワクチンを巡って興味深い記事を見つけたので少し記載しておく。

現在、ニュースはワクチンがいつ承認されるのか、または、いつ広範囲に接種可能になるのか話題の中心だが、どうやって届けられるのかに関してはそれほど話題になっていない。しかし、実はこれは相当難しい課題で、どのように接種可能になるかに深く結びついている。

というのも、米国で承認される可能性が高い3つのワクチンのうち、2つは超低温のまま分配されなくてはならないからだ。ラボでケースに詰め込まれてから、注射器で接種される直前まで、1つのワクチンは摂氏マイナス80度で保存されなくてはならず、もう1つのワクチンは摂氏マイナス20度で保存されなくてはならない。最後の1つだけは、冷たくしておけば凍らせなくてもいいという保存条件になっている。

承認されたワクチンに超低温が必要である場合、その保管、輸送条件は相当厳しい。

Fedexは現在、各主要都市に、摂氏マイナス80度を保てる超低温フリーザを導入中だ。同時にフリーズしなくてもよいタイプのワクチンのためには冷蔵トレーラーを用意している。

そのような施設に保存する間はよいとして、そこから接種施設に分配するために運び出されるときには大量のドライアイスが必要となる。ちなみに、ワクチン開発現場にドライアイスを供給している会社は、会社設立以来の膨大なドライアイス需要のため、ドライアイス不足に悩まされている状況だ。ワクチンの輸送というビッグマーケットを狙っている Fedex と UPS は、自社でドライアイスを用意できるようにドライアイスマシンを導入した施設を用意しているところだ。

また、それだけセンシティブな取り扱いが必要となれば、輸送するスタッフにも取り扱いのための教育が必要になる。とにかく課題は山積み状態だ。

それらの輸送時の課題を克服したとしても、最終的な接種場所で接種直前まで超低温で保存されていなくてはいけないという難関がまだ残る。そのことを考えると、通常のインフルエンザワクチンのように、身近な病院や薬局や公民館のような施設でワクチンの接種を行うのは無理ではないかと考えられている。各地に接種専用の施設を用意して、そこでしか接種はできないという形態になる可能性が高い。これもワクチン分配が遅れる一つの要因になるだろう。

これだけでも、いかに今回のワクチンを広範囲に分配し、たくさんの人に接種させるのは困難な道程であり、そうとうな時間がかかることが想像できる。でも、だからといって失望する必要はないのかもしれない。視点をかえてみれば、その長い期間に、ワクチンの信頼性があがり、国民の75%が摂取する気になれば、最終的には集団免疫が達成されることになる

仮に10月に承認されて、来年の春までに全員が摂取できる環境が整ったとしても、今のワクチンの信頼性では過半数の人間に摂取させることができるかどうかも怪しい。長い時間をかけて少しづつ摂取する人が増えていったほうが、むしろ最終的には多くの人が摂取する結果になるのではないのかなとも思う。

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この矛盾を誰かに解いてほしい(ティア2)

10月が近づくにつれて、パンデミック関連のニュースはワクチンの承認時期と接種にシフトしてきている。10月中に承認され、素早く広く分配されると主張する現政権サイドと、早くても11月、12月に承認、その後の段階的摂取には時間がかかるだろうとする専門家サイドの意見のすれ違いが、どのメディアの見出しにもいっぱいだ。

それらの記事を読みながら、私にはどうしても納得できないことがある。共和党の大統領支持者の行動だ。選挙キャンペーンでの彼らの取材記事を読む限り、マスクをしないしソーシャルディスタンスもとらずにキャンペーンに参加している人が多く、その理由を聞くと、感染の心配をしていないからだという。パンデミックはでっち上げであるとか、ウィルスの危険性は大げさに報道されているだけで実はたいしたことはないとか、自分が死ぬか生きるかは自分の責任であるからルールは必要ないとか、そんな主張が多い。それはいい。各自の主張は自由だ。

ところが、近日の選挙キャンペーンで、優れたリーダシップと運営によりワクチンがもうすぐ完成して使用できるようになる!と、大統領が声を張り上げてスピーチをすると、聴衆たちは割れんばかりの拍手喝采で盛り上がるのだ。ウィルスが危険だと信じていないのにもかかわらず、そのワクチンの完成には盛り上がる。危険じゃないウィルスのワクチンなんて、はっきり言って彼らにはどうでもいいんじゃないだろうか。

最近のアンケート結果によると共和党支持者でワクチンを摂取すると答えた人は44%、つまり半数にも満たない。つまり彼らは、必要がないと思っていて摂取する予定もないワクチンの完成に対して、拍手喝采し、喜び、誇りに感じている。

これはちょっと意味がわからない。だれか、ぜひこの矛盾を解いてほしい。

ちなみに、5月の初期のアンケートでは、党派にかかわらず、72%の人がワクチンがあるのであれば摂取するつもりだと答えている。また、5月時点では42%の人が、「確実に」摂取すると答えていた。しかし、9月になって、「確実に」摂取すると答えた人はなんと21%に半減してしまったのである。

5月の時点からワクチンを摂取しないと決めていた人はおいておいて、5月から9月の間になにがあったのか。ワクチンを摂取しようという意欲がここまで急速にしぼんでしまったのはなぜだろう。

多くの米国人はその答えを知っている。

ワクチンがあまりにも早く開発され、かつ、その完成時期が政治に絡め取られてしまっているからだ。通常なら3、4年かかるワクチンの開発が7、8ヶ月で承認できたと言われれば、誰でも不安になる。その上、多くの専門家が10月中に承認されるのは無理があると言い続けているにもかかわらず、政権側はどうしても10月中に承認にこぎつけようとしている。大統領選挙が11月3日だからだ。そこには、子供でもわかってしまうような単純な関連性がある。この状態では、10月中に承認されるワクチンへの不信感を拭うのは難しい。

確かにワクチンは完成されているかもしれないが、それを証明するデータはじっくり検証されるべきだし、データの信用性も保証されるべきだ。その全てが揃ってからでなければ、人々が安心してワクチンを摂取することができない。

現政権の言うことを信じる支持者ならば、データをみなくても疑いなくワクチンを摂取することができるだろう。が、彼らの多くはワクチンを摂取する気は最初からない。なぜなら、彼らはパンデミックはでたらめか、大げさに宣伝されたただの風邪だと思っているからだ。

この社会情勢では、どんなに安全で効果があるワクチンが開発されたとしても、その最大の目的である集団免疫の獲得の達成は難しい。なぜなら、通常、国民の75%以上がワクチンを摂取することによって、初めて集団免疫を獲得できるといわれているからだ。

だからこそ、こんなに急いでワクチンをリリースする必要はないのだ。ワクチンは、早くリリースするという側面よりも、強固な信頼性を確立することのほうが大切だ。何年も検証されているインフルエンザの予防注射ですら、信用しないで摂取しない人々がたくさんいるのである。そういう人々も含めて説得できるデータと啓蒙活動により、世間の75%の人々に、たとえ自分自身には必要がなくても、社会の集団免疫のために摂取してもらえるような土台を用意していかなくてはならない。

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