シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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社会的チャレンジ

昨日もちょっと書いたけれど、ここ数日、日本のワクチン接種の現状が米国やヨーロッパのメディアでちょこちょこ取り上げられている。

残念ながら良いニュースではない。日本人なら知っているだろうが、現在の日本のワクチン接種状況はOECD(経済協力開発機構)で最下位であり、その数字はダントツに低い。世界のいわゆる豊かな国々の中で最下位を独走中である。しかし、ニュースによると日本はワクチンの確保はできているということで、すでに輸入済みのワクチンの数も相当するあるのだが、現時点で輸入済みのワクチンの5分の1しか接種されていないことが、こちらのメディアの注目を集めることになっている。

特に数カ月後に東京オリンピックの開催を控えているため、これほどワクチンの接種が進んでいない国でオリンピックを開催していいのだろうかと考えない人はたぶんいないだろう。それに加え、ここ数週間の日本では感染者数がのびている。

ワクチンの数が足りないというのであれば、これほど取り上げラることはなかったかもしれない。しかし、ワクチンがすでにある程度用意できているのに、いっこうに接種が進んでいないこと、それが世界の国々の最低レベル並にすすんでいないことが話題をよんでしまっている。

日本人であれば、なんとなくその原因が官僚体制にあるんだろうなと予想できるところだが、米国や英国のように、とにかくバンバン打ち続ける国にとっては理解できないところがあって、ニューヨークタイムスでもロイターでも、それ以外のメディアでも取り上げられいる。

さて、接種体制が遅れているのは官僚主義のせいとしても、接種を望んでいない人が多いというニュースも読んだ。こちらは日本のニュースで読んだ。米国にも接種を拒む人や躊躇する人が35%ぐらいいるといわれているが、それよりも先を争って接種する人のほうが多い。日本の場合はむしろ逆で進んで接種する人が30%以下で、それ以外の人は接種をしないか、様子を見てからすると答えているらしい。

なんらかの主義主張があって、接種しないと決めている人たちはしょうがない。このような行動は、集団免疫を確立する障害になってしまうが、無理やり接種させるわけにもいかない。それよりも問題なのは、先に接種した人の様子をみてからというような消極的な人々の数が多すぎるために、たぶん接種が始まっても接種スピードはあまりあがらないのではないかという可能性である。

ワクチン接種者が増え免疫が広がらなければ、今のように経済を開いたり閉じたりをいつまでも繰り返さなくてはならなくなる。これでは、感染者や死者がふえるだけはなく、経済に与え続ける損害はとても大きくなると予想される。

米国のコロナ対応はいろいろと問題が多く、未だに世界第一位の累計感染者数と死者数を記録している。が、一つ感心したのは、ワクチンの分配の速さとそれを接種する米国の人々の積極性だ。

最新技術かつ臨床試験期間が極端に短いワクチンは、確かに通常のプロセスを経て生まれたものではない。技術そのものはすでに何十年も研究段階だったので、決していきあたりばったりではないし、安全性が著しく低いものでもないが、接種後一年後、十年後、三十年後などの調査はもちろんされていない。ということは今接種している私達は、半年前に臨床試験を始めた治験者に続いて、ワクチンを試している最初の患者であるともいえる。

これを人体実験だと拒否する人たちがいる。米国にもいる。しかし、米国は個人の責任で自分の生き方を選択をする国でもある。そして、パンデミックの収束を目指す多くの米国人は、ワクチンを接種することで、自分の命と米国社会を救うという選択をしているのだ。米国では、周りの誰かの様子をみて、だいじょうぶだったら、自分もするというような、受動的な行動は評価されない。ワクチンの十年後の治験結果がわからなくて、実は自分たちが治験結果になるのだとしても、それは人体実験ではなくて、自分が参加している社会的科学的チャレンジなのだ。だからこそ、たくさんの人達が躊躇せずに、いっそのこと誇りをもって新技術のワクチン接種する。

もし、ワクチンを国民の半分以上の人が接種しなかったらどうなるだろう。その国ではパンデミックがなかなか収束しないために、人々は感染拡大防止策を守り続け、経済を閉じたり開けたりしながら過ごしていくのだろう。感染率の低い国では、たしかにこうしていれば自分が感染する確率を限りなくゼロに近づけるし、ワクチンを接種した時に万が一運が悪くて、非常にまれな副反応にあたり死ぬかもしれないのであれば、そんなチャレンジはしたくない、今の状態でいたほうが安全だと思うのだろう。

しかし、それでは社会が前に進まない。参加者たちが周りの様子をみて互いに追従するという行動パターンでは、社会はなかなか進んでいかない。もっと動的に推し進めなくては変化は起こらない。

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