シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン接種のタイムライン

一年前の今日、WHOはCOVID19によるパンデミックを宣言した。

あれから一年、米国はまさしく激動の年だった。パンデミックによる世界一の感染者と死者を出しただけでなく、大統領選挙がからんだために世論の二極化が発生し深い分断が表面化した。同時に、警察によるジョージフロイド氏の暴行死を発端に大規模な抗議運動に発展、平和的な抗議行動から機動隊まで巻き込んだ暴動にいたるまで毎日様々なニュースが流れ続けた。また、11月大揺れに揺れて最後まで手に汗握る大統領選挙の結果に納得できない人々が、1月6日、バイデン大統領の当選を公式にするための議会に暴徒として流れ込んで死者まで出す事態になった。

そんな一年を過ごし、パンデミックアニバーサリーの今日、バイデン大統領は就任式以来初めて、国民に対して公式なスピーチを行った。現在のパンデミックの状況からワクチンの配布状況、経済的救済処置、について触れ、国民に対して、あなた方の協力なしにはウィルスを撃退できないと語りかけ、ワクチンの接種、マスクの着用の継続などを呼びかけた。

このスピーチで最も話題になったのは、たぶんバイデン大統領が示したワクチン接種のタイムラインだろう。すでに5月中には米国のすべての大人の分のワクチンを確保していると語っていたが、今日のスピーチでは5月1日までに、すべての大人がワクチンを接種できる体制にする。つまり、現在の優先的に接種できるカテゴリわけを取り払って誰でもワクチンの接種を、少なくとも予約できるようにすると語った。

誤解のないように言っておくと、これは5月1日までにすべての大人がワクチンの接種を終えるという意味ではない。誰もが接種のための予約ができるようになるという意味である。これは、当初の見通しよりも数ヶ月早い。印象では、バイデン政権は相当効率的な運営を行っている。

また、スピーチの中でバイデン大統領は、国民にウィルスとの戦いへの協力を呼びかけ(それはまるで戦時中の大統領の呼びかけのようだった)、皆が協力し正しい流れにもっていければ、7月4日、米国で最も重要な記念日の一つである独立記念日には、大きなイベントで無理だが、数家族家族が集まって庭でバーベキューをするようなホームパーティを開けるだろうという、地味で正直な見通しを語った。そんな地味なビジョンでも、一年間、閉じこもっていた人々にはパンデミック以前の普通の生活が徐々に戻ってくることを示唆する幸福なビジョンである。

パンデミック前の7月4日は、毎年、サンフランシスコ交響楽団が開催する野外の大規模コンサートにいっていた。カリフォルニアらしい野外の芝生席にピクニックシートを敷いて、毛布にくるまってゴロゴロしながらコンサートを聞いたりおやつを食べたりして、コンサートの最後には毎年スターウォーズのテーマと一緒に上がる花火を見学したものだ。

あの7月4日はまだまだ帰ってきそうにないが、少なくとも庭でバーベキューパーティが開けるらしい。そのときまでにはたぶん自分もワクチンを接種してるだろうと思う。ワクチンを接種したら、急激にこの一年を遠く感じるようになるような予感がする。必要な用事以外は、ひたすらずっと家に閉じこもって暮らしていたロックダウンの一年だ。去年の7月4日はなにしてたっけなあと考えるが思い出せない。ただ、確実に家にいた。

同時に、ロックダウンの前って、毎週末何してたんだっけなと、その前の記憶に遡ろうと思っても、それもあんまり思い出せない。米国は揺れに揺れていたが、個人的には家に閉じこもって過ごしていたロックダウンの一年は、あまりにも長く平坦だった。

ニュースでは、徐々にパンデミック前の普通に戻っていくだろうが、それにはさらに時間がかかると語られていた。が、それだけ時間がかかった後、私達は何がパンデミック前の普通だったのか、それのどこが良かったのかを、きっと部分的に忘れてしまっているような気がする。パンデミックとロックダウンは、私達の中の価値観や思想にも影響を及ぼした。「普通」は、ロックダウンの間の日常生活と混じり合い、まったく「新しい普通」に作り変えられるだろう。

それはそれで、新しい時代が訪れといつヤツなのかもしれないなと思った。

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