シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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学校は再開するのか?

シリコンバレーのお隣のサンフランシスコの学校区と教師の組合の間で、学校再開の条件に関する合意が結ばれたらしい。

今回合意に至った、教師が学校に戻るための条件は次の2つ。

1つめは、カリフォルニア州の定める規制緩和のティアシステム(「再挑戦」を参照)のレッドティアにサンフランススコが分類されていること。

2つめは、組合の学校に戻る教師全員にワクチンを接種する機会が確保されることである。

また、生徒が学校に戻るための条件は、サンフランシスコがオレンジティアに分類されていることである。生徒がワクチンを接種できていなくても、マスクや消毒などの設備が整い、ソーシャルディスタンスが保てて換気のよい環境が準備されている場合は、生徒が登校する学校再開が合意されている。

客観的に見てこの条件はそれほど厳しくないと思う。特にティアシステムに関しては、感染状況が常に抑えられているサンフラランシスコが、レッドティアやオレンジティアに属することはこれまでの経緯から言って現実的な条件だ。

問題はワクチンの方だ。今だにワクチン数は十分ではないうえに、ワクチン接種の優先順位は、現在のところ医療関係者、65歳以上の住民である。これが終わって初めて、教師や食料品店の定員など、外で働かなくてはいけない就労者の順番がやってくるのだが、2回の接種が必要になる場合、接種期間だけで一ヶ月かかる。仮に2月の末から教師の接種が可能になり、これまでにない順調なスピードで第一回目の接種が完了したとしても第二回目の接種が終了するのは3月の末だ。ちなみにカリフォルニアの主な学校は去年の3月中旬からオンライン授業で、もうすぐ一年になるが、振り返ってみると実に長いあいだ、子どもたちは学校に行っていない。

カリフォルニアの学校の学年末はたいてい6月の初めなので、2ヶ月、登校できればよいほうだと思ったほうがいい。少なくとも卒業式はできるかもしれない。

それくらいならば、このままオンラインで学年を終了してもよいかもと思うのは、一部の恵まれた人たちだけらしい。バイデン大統領の発表によると、全国で300万人の子供が、登校もしていなければ、オンラインスクールも受けていないという、無教育状態に陥っているという報告を受けているそうだ。どうやらパンデミックは確実に教育をうけない子供たちを増やしている。

現在、全米で学校に登校できるようになった生徒は、全体の4分の1だそうだ。残りの生徒はオンライン授業をうけているか、まったく授業を受けていないかという状況で、受けていない生徒はもちろんだが、受けている生徒の間でもクラス内容を習得できずに単位を落としてしまうような事態が起こっているらしい。

バイデン大統領は、この事態を深刻に捉え、就任100日以内に生徒を学校に戻すことが目標であると発表したが、ファウチ博士によると現在のワクチンの獲得数と分配状況では、その目標を達成するのは非常に微妙なようだ。とりあえず、バイデン大統領は現在国会を通過させようとしている経済的救済予算で、学校への補助にも大きく予算をふっている。ソーシャルディスタンスを守るために、クラスを少人数制にするためのスタッフの確保や、マスクやPPEの確保、換気システムの向上や適期的な消毒など、学校再開に向けて必要となる仕組みや設備のための予算である。

とにかく、鍵を握るのはワクチンだ。

10歳以下の子供の間では、今回の感染は重症化のリスクが非常に低い。が、彼らが感染媒体となることは普通にありうる。そして、彼らを教育するのは、普通にリスクを持つ大人たちなのである。教師たちが、ワクチンを接種できるまで学校に戻れないと主張するのも無理はない。

また、仮に教師が全員無事にワクチンを接種できたとしても、まだ、子どもたちはウィルスを運ぶ媒体にはなりうるわけで、子どもたちを介して運ばれるウィルスが、各家庭の親に感染するリスクを回避することはできない。だからこそ、ソーシャルディスタンスやマスクの着用が重要となるのだが、幼い子どもたちにどこまで可能なのかは難しいところだ。

子どもたちが学校に帰ることは重要だ。彼らの教育とってはもちろん重要だし、子供のオンライン学習をサポートするために現在働けなくなっている親のためにも重要だ。学校再開は経済復興にも影響を及ぼすのである。

はたして学校は3月に開くのか?

ワクチンの分配状況とともに非常に注目されているニュースである。

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