シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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連邦政府のマスク令

とうとう政権が交代した。1月6日の事件の後では、とにかく何も起こらずに平和に就任式が終わるだけでも十分だった。

感染と暴動の両方のリスクを回避するためにワシントンは厳戒態勢で、通常なら就任式に集まる一般人は皆無、ゲストも最小限に抑えた就任式だったが、通例ならば就任を祝う人々で埋め尽くされるナショナルモールの広場が、参加できない人々の代わりに無数の旗で埋められた光景は美しかった。人の代わりに旗を立てることを思いついた人はとてもよいセンスをしている。

就任式は全般的に落ち着いて和やかな雰囲気で行われ、レディガガのド派手な衣装とあまり聞き慣れないポップアレンジの国歌や、ジェニファーロペスの途中でスペイン語を叫ぶというびっくりパフォーマンスも、カジュアルで気取らず奔放な米国っぽくて、あれはあれでらしくていいんだと思う。

バイデン大統領のスピーチも良かったけれど、今日の就任式の話題をもっていったのは鮮やかな黄色の服に身を包んだ若い黒人女性の詩人だった。若干22歳。本当に若い。しかし、その声と言葉は聡明で力強かった。彼女のおかげで、歴史上最高齢の大統領の就任式が若さとフレッシュさで満たされた。

とにかく全体的に親しみやすいほっとした雰囲気だった。強すぎず弱すぎず明るく柔らかく気取りのない式典だった。

この式典で目についたのは人々が握手やハグの代わりにフィストバンプをすることだ。感染が深刻な米国なので、可能な限り握手やハグは避けるようにしていたようだった。フィストバンプというのは、互いのゲンコツをチョコンとぶつけ合う挨拶で、もともと若い人の挨拶だったのだが、パンデミックが始まってからというもの、老若男女問わず本当によく使われるようになった。パンデミックの光景としてすっかり馴染んだように思う。

そしてもちろん、みんなマスクをしていた。歌を歌っている人や、スピーチをしている人以外は皆ずらりとマスクをしていた。これも今ではすっかりおなじみの風景となったが、前政権ではマスクをしない人が結構いたので、連邦政府関係で全員が整然とマスクをしている光景は実は初めて見るような気がする。

そして、今日、大統領初日、バイデン大統領はすでに14個の大統領令に署名をしのだが、その中の一つは予告通りマスクの着用令だった。

連邦政府は連邦政府に関連する場所のルールしか作れないようで、各州のは州政府の自治に任せることになっている。そこで、大統領令の内容は、連邦政府の建物および敷地ではマスクは強制になった。これは、議会や連邦政府関連の施設すべてはもちろんだが、加えて国立公園も州政府の敷地であるためにマスクが強制になる。また、州を跨る乗り物、飛行機、列車、バスなどもすべてマスクが強制になる。この交通機関におけるマスク強制令は、すでにそれぞれの運行会社がポリシーを設けていたのであまり意味がないようにも思えるのだが、連邦の法律規制となるとやはり重さが違うらしく、顧客に守らせるのが容易になるらしい。運行会社にとっては願ってもない法律だっただろう。

それから、強制ではないがマスク100日チャレンジを推奨しているそうだ。とにかく、いままでマスクをしていなかった人も、今日からとりあえず100日だけでもマスクにチャレンジをしてほしいという呼びかけだ。普段の生活の場はほぼ州政府の管轄なので、連邦政府は強制命令はだせない。そこで出てきた、苦肉の策なのだろう。シリコンバレーではすでにマスクをしていない人を見ることがとてもまれなので、これらの命令や推奨の効果を肌で感じることはなさそうだから、今後の効果はニュースで読んでいこうと思う。

とにもかくにも連邦政府が、「マスクをしましょう」というメッセージをはっきりと出してくれたのはよいことだ。ロックダウンが始まって11ヶ月、400,000人の命が失われるまで、一度も公式に連邦政府がマスクを声高に推奨したことはなかったのだから。

それ以外の13個の大統領令も気になるところだけれど、どのような形の争いをみることなくすんだ今日はよい一日だったと思う。前大統領のツイッターのアカウントがロックされていてよかったなあと思う。

ちなみに就任式を欠席したトランプ前大統領は、バイデン大統領に手紙は残していった。手紙の内容はプライベートなのでと公開されていないが、バイデン大統領によるととても親切な内容であったそうだ。それを聞いたら、またほんの少し癒やされた。

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