シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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旅行に行かない学生にはご褒美が出るんだって!

米国の大学は9月に始まって6月に終わるので、春休みは学年の最後ではない。どちらかというと、最終試験の準備にはいる前の一休み的な時期にある。

米国の大学生にとって、春休みはちょっと特別だ。3月末または4月初旬の比較的時間のある時に設定されていることや、感謝祭やクリスマスのように家族の行事と切り離された時期にあることもあって、春休みの一週間は友達同士で旅行にいくのが大学生の典型的な過ごし方だ。何度か映画にもなっているように、フロリダなどの観光地に学生が集まり、飲んで騒いでのどんちゃん騒ぎが有名だが、そのような文化も最近ではそろそろ時代遅れになりつつある。それでも、長年続いて来た伝統は根強く、友達同士で1週間旅行する学生はまだまだ多いだろう。

去年、パンデミックでロックダウンが始まった直後に、大学の春休みがやって来たので、まだCOVIDの危険性を認識していなかった学生たちの中には、すでに予約してある旅行をキャンセルしないで決行した者も多かった。そのため、旅行から帰って来た息子を家に入れずに大学のアパートに追い返した父親の話や、70人の学生が飛行機をチャーターしてメキシコ旅行に出かけ、帰国後40人以上が陽性と診断されたテキサスのオースティンの大学の話など、大きなニュースになった。

さて、今年ももうすぐその春休みがやってくる。今年は流石に海外旅行にでかけようという強者のスプリングブレイカー(春休みに旅行に出かけてハジける大学生の総称)はあまりいないのではないかと思われるが、ちょうど米国全体の感染が下火になって来ている上に、あちらこちらの州で(明らかに早すぎる)規制の全撤廃が発表されていることもあり、国内旅行ぐらいは結構繰り出してしまうのではないかと心配だ。

大学側もそのような心配をしているらしく、カリフォルニア州立大学の一つであるデイビス校は、なんと春休みにどこにもいかず大学のある街で過ごすと誓約した学生に一律75ドルを支給するという申し出をした。

これがなかなか好評で、申し込みが殺到し、当初750人分の準備しかしていなかったのだが、急遽2000人受け付けることにした。これにより、大学側が使う予算は15万ドルという巨額になるのだが、それを払っても大学は学生に春休みに旅行をしてもらいたくはないのだ。

旅行に行けば、ワクチンを接種していない彼らが感染してくる可能性は高く、帰って来てから大学街に感染拡大する可能性も高い。カリフォルニアは現在急激に感染者が減っていて、それに伴い徐々に経済再開を進めているところだ。そんな折に、春休みにフラフラとバケーションに出かけた学生が原因で、大学街が封鎖されるような事態になったらたまらない。大学の評判にも大いに関わる。そこで、お金で解決しようというところが、なかなか米国らしいプランではあるのだが、実際のところお金は威力があるのだからしょうがない。

というわけで、75ドルの臨時収入をえた若者たちは、申請時に大学に報告した各自の春休みの過ごし方プランに従い、旅行にはいかず、クレイジーなパーティも開かず、大人しく大学街で過ごすことが求められている。75ドルが高いか安いかは現在大学生ではない私にはよくわからないが、いつの時代も大学生は往々にして安い生活費で毎日をすごすことが多いので、75ドルあれば家賃や光熱費を別にすれば1週間の自炊の食費と家飲みの交際費ぐらいにはなるような気がする。ちなみに20年以上前に田舎の地方都市で学生たちと暮らしていた私は、家賃を別にすれば、75ドルあれば1ヶ月暮らせたと思う。

そんなこんなで、この大学のびっくり作戦が今日のニュースになっていた。数ヶ月もすれば旅行もパーティも今よりも自由になることが分かっっている今、学生たちには、ぜひ大人しく過ごして欲しい春休みがもうすぐやってくる。

 

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