シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチンを接種した人だったら会えるのか?

身につまされる記事を読んだ。

ある記者の話だ。一年以上あっていない90歳の彼女の母親がワクチンの接種を完了した。すでに2回の接種を終え2週間たっている。つまり、理論的には母親はCOVIDに対する免疫があるはずである。さて、この記事を書いた記者は、母親に会いに行くべきかどうか多いに迷うことになる。去年90歳の誕生日を祝いに行くはずだった旅行をキャンセルして以来、いつになれば90歳の誕生日祝いのハグをできるのかと、今か今かと待っていた。そのうちに一年近くの時が流れ、とうとう母親のワクチン接種が完了した今、彼女は母親に会いに行っても大丈夫だろうか?記者は様々な専門家の意見をきいてみた。その答えは、予想できるように単純なイエスやノーではなかった。

専門家によると、先に米国で開発されたファイザーとモデルナのワクチンは、非常に防御率が高い。しかし、100%ではない。その上、通常の免疫力が落ちている高齢の人々の間では、その効果は研究結果により報告されている数字を下回る可能性があると指摘されている。米国で亡くなっている犠牲者の80%は80歳以上の高齢者だということを考えると、ワクチンの接種を完了していても感染には十分注意したほうがよいことがわかるだろう。たとえワクチンの接種が進んでも、COVID以前の生活に戻るには集団免疫の獲得が必要であり、現在の米国は未だその段階には程遠いのだ。

また、高齢者が高齢者専用の施設で暮らしている場合は、たとえ高齢者側の接種が完了していても、しばらくの間、外部のゲストを受け入れることはないだろうと考えられている。これらの施設では一度ウィルスが入り込むとすごい勢いで拡散してしまう。そうやって多くの人が亡くなってきた。接種が完了している高齢者でも、健康上の問題のために高いリスクを持つ人が多い環境では感染は脅威だ。接種がすんでいない外部のゲストの受け入れはするべきではないし、していたとしたら危険な施設だと思ったほうが良い。

それでは、一人で暮らしている高齢者の場合はどうだろう。高齢者が一人で暮らしているのは、それ自体がリスクが高い。このことを考えれば、たまに高齢者の家を訪ねて用事を済ませてあげたり、話をきいてあげることは、むしろ彼らの生活の安全度を高めるといえなくもない。しかし、何度も言うようだが、たとえ高齢者のワクチン接種が完了していても、訪問者側のワクチン接種が完了していない場合、訪問中は互いに可能な限りマスクを着用し、ソーシャルディスタンスをとって行動するることが推奨されている。

また、このワクチンの研究結果によれば、感染の重症化を防ぐために非常に有効であるが、軽い症状や無症状の感染に対する効果は今だに明確な結果は出ていない。とうことは、マスクもソーシャルディスタンスもとらないで集まれば、感染を広げる可能性が大いにあるのも考慮する点だ。

最後に忘れてはならないのは、訪問するための道のりである。車で訪ねられるような場所に住んでいるのであれば、自分で車で移動し、レストランやホテルなどにあまり頼らずに移動、訪問先でもマスクとソーシャルディスタンスを保つのであれば、感染のリスクも感染拡大に寄与するリスクも非常に小さい。

が、この記者の母親がそうであるように、遠方、それも海の向こうの英国などに住んでいる場合、米国人であると同時に英国人の彼女は、英国に出入国することも米国に出入国することも可能ではあるが、感染するリスク、感染に寄与するリスクなどを考えると飛行機にのって旅行をするのは厳しい。特に今、感染能力の高い英国の変異種が米国にも広がりを見せている時期なので、結局どう考えても母親に会いに行くことはできないと諦めるにいたったのだった。

私自身ももう長いこと、日本への帰国を先延ばし中だ。実は3月にロックダウンをした去年の4月、日本への帰国を予定して航空券を買っていた。もちろんキャンセルし、現在も航空会社のクレジットになって飛行機に乗れるようになるときを待っている。

高齢者がワクチンを接種できることは本当に喜ばしい。それだけで、犠牲者が格段に減ることは間違いはない。しかし、だからといってパンデミック前の生活が戻ってくると考えている人は残念ながら不正解だ。たとえ高齢者のワクチンの接種が完了していても、我々は彼らとコミュニティと自分自身を守るために、まだまだ規制された社会を生き続ける必要がある。集団免疫を達成するまでの道のりはまだ長い。

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