不正確な情報を拡散しない方法
我らがファウチ博士が、ヨーロッパの感染拡大状況を心配している。これまでも、ヨーロッパの感染の波は、常に米国の感染の波が始まる数週間前に始まっている。ということは、米国でも数週間後にヨーロッパを追うように感染の波が発生する可能性があるのではないかと、ニュースで語っていた。
もちろん、この心配の背景には、米国の複数の州が早すぎる現段階で、マスクの着用規制を始めとする様々な規制を大幅に撤廃している状況がある。また、すでにフロリダに続々と繰り出している学生たち（スプリングブレーカーたち）のこともある。すでに今週末だけで、100人ほどの馬鹿騒ぎをする若者がマイアミビーチで逮捕されたらしい。世も末かなと思う。
これに加えて、ファウチ博士にさらなる懸念を与えているのは、共和党支持者の男性の40％近くがワクチンを接種する予定はないというアンケート結果である。実際のところ、正当な優先権をすっ飛ばしてお金にものを言わせてワクチンを先に接種しようとする人がいる一方で、優先権をもっていても頑なにワクチンを接種しないと言う人達も相当いるらしい。
一部は政治的な背景があるのかもしれないが、実際に受けない人の話を聞く限りは、政治的というよりも、ワクチンの安全性に多いに不安をいだいているという感じだ。それに加えて、自分が支持していない政党のリーダーによって、ワクチンは安全だから接種してほしいと言われても信じることができないというのは、なんとなく容易に想像できる。
これに加えて、たちが悪いのはワクチンの危険性を煽るような情報がSNSで簡単に拡散することだ。ワクチンの副作用について正しい情報が広がるのはなんら問題ない。確かに今回のワクチンの副作用は多くの人達の間で話題になっていて、数日から一週間ほど寝込んでしまう人も少なくない。問題はそのような正しい情報ではなくて、あきらかに誤った情報でも、SNSでは正しい情報と区別されることなくあっという間に広がってしまうとところだ。
SNSで間違った情報が広がり社会に悪影響を及ぼすのは、パンデミックが始まってからの新しい問題というわけでは決してないが、パンデミックが始まってからというもの悪影響はより深刻だ。COVIDに関する報道はすべてでたらめであるという極論に始まり、マスコミは操作されていて大げさに報道しているが本当は普通の風邪にすぎないというような、正しくない情報がまことしやかにSMSで広がり、実際に感染して呼吸に苦しんでいる人ですら自分がCOVID感染していることを認めないという信じられないようなことが実際に起きている。間違った情報によって命を落とす人が実際にいるという深刻な状況なのだ。誤った治療法や予防法や噂がSNSで広がり、沢山の人々が踊らされたのも記憶に新しい。そして、今はワクチンに関する根拠のない噂がSNSで拡散されている。
インターネットに浮遊する「正しくない情報」を拡散しないためには、人々にできることはなんだろう。わざと拡散しようとしている人には説明しても無駄なことなのだけれど、悪意がなくても、むしろ善意のつもりで、不正確な情報の拡散に手を貸していしまっている人々がたくさんいる。
そういう人々に対して下記のようなアドバイスをニュース解説者が述べていた。
どのような情報をSNSで受け取った場合でも、たとえそれが自分が信頼している人からの情報だったとしても、その情報を即座にシェアしたり再ツイートしたりしない。その前に、別のタブを開けて情報のキーワードを検索してほしい。検索した結果、同じ情報発信している信用できるソースが見つからなかったら、その情報はシェアも再ツイートもしない。それだけで、SNSで無限かつ高速で拡大される「正しくない情報」を劇的にへらすことができるそうだ。
これには多いに同意したい。別のタブを開けて検索することは難しいことではない。正しい情報であれば、あっという間に様々なメディアによって情報の根拠が示されている解説を見つけることができる。正しくない情報の場合は、検索結果はたくさんヒットするにもかかわらず、たいてい個人またはプライベートな団体のサイトであり、根拠が明確に示されていないことが多い。そのような不明確な情報の場合、仮に正しい情報だったとしても、私達はシェアする義務も必要もないのだ。
情報の伝達は、それを仕事にしているプロにまかせておけばよく、私達のような素人が伝達する必要はない。
と、それをブログに書くのは、なんだが自虐的なんじゃないかなと我ながら自嘲した。
