シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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高リスクの業界

今日も数字の話。米国エピデミックが始まってから、労働人口の年齢層の死亡リスクの増加率についての話だ。

カリフォルニアの労働人口の年齢層全体で、死亡リスクは22%増加している。これだけでも大変高い増加率だと考えることができるが、ここから先の数字が怖い。この中でレストラン業と農業で働いている人たちだけ抽出すると、死亡リスクはなんと40%も増加しているというのだ。そして、極めつけは、この中でラテンアメリカ系を抽出すると、なんと60%も増加しているという数字が出ている。

これらの業界で働いている人々は、それ以外の業界で働いている人々よりもこのような現状を把握せざるえない状況にあるので、大きな不安を抱えながら今も働き続けている。ちなみに、レストラン業と農業に続いて死亡率があがっている業界は、オンラインショッピングなどのために働いている倉庫や配送業者、それに続くのが食料品店や小売店の店員だそうだ。

なぜこれらの業界で、それも特にラテンアメリカ系の従業員が死亡リスクが高くなっているかというと、今回の感染は最も貧しく、最も働かざるえない状況にあり、最も職場で感染防止の努力ができないコミュニティが深刻な打撃を受けているからだ。

中でも大きな問題なのは、これらのコミュニティの労働者は「病気になって休むと仕事をクビになるかもしれない」という不安をいつもかかえて暮らしていることだ。そのために、多少具合が悪くても無理をして出勤するし、具合が悪いことを周りに伝えない。そのため、知らないうちにCOVIDにかかっていてもそのまま働き続けることで感染を拡大させてしまうのだ。

現在、カリフォルニアでは、高齢者の死亡リスクのあまりの高さを受けて、高リスク業界で働いている人々よりも先に65歳以上の人々にワクチンを接種させるポリシーを進めているのだが、この現状を考えると65歳以下でもあっても、これらの業界の人々のワクチンの接種を検討していかなければ、感染の拡大を鎮めることは難しいと一部の専門家は語っている。

現在カリフォルニアは、歯医者なども含め医療関係者への接種が完了しつつあり、75歳以上の住民への接種を勧めているところだ。今後65歳以上の接種にうつると言われているが、これらの高リスク業界への接種はいつまで待たなくてはいけないのかは未だ不明である。ちなみに普通のリスクの健康な労働者は、夏の中頃か終わりまで待たなくてはいけないと言われている。

そんななか、カリフォルニアの新規感染者数は急激に減少傾向をたどり始め、ICUの残り数も地域によっては劇的に回復した。これを受けて、今週にはカリフォルニアの一部または全部で Stay-at-Home と呼ばれるロックダウン規制が一部緩和するのではないかと言われている。どこまで緩和されるかは不透明だが、一部の地域でアウトドアのレストラン営業などが許可される可能性はある。虫の息のレストラン業界はもちろんこの流れを歓迎しているのだが、同時に、ワクチンの接種の目安が立たない中で感染への不安を抱えながらの営業再開となる。

ちなみに現在、COVIDに感染して隔離期間を含め仕事を長期に休んだ場合、雇い主に政府からの補助が出るはずなので、それが原因でクビなることはない、またはクビにはできないようになっていると思うのだが、世の中そうそう決められたようにはいかない。

私はスモールビジネスの経営者なので、このような新しいルールについてのお知らせはボチボチきいている。幸いなことに、私のビジネスはCOVIDの影響をほとんど受けていないので、これらの新しいルールをすべて把握して対応する必要はないわけだが、影響を受けているビジネスの経営者は、これらのすべてのルールを把握して、必要に応じて対応し、申請しなくてはならなくなる。ただでさえ、経営難対策のために忙しくしているスモールビジネスの経営者たちにとって、タスクが一つ増えることは簡単なことではない。小さければ小さいほど、時間がなければ時間がないほど、新しいルールに迅速に柔軟に対応するのは難しい。

たとえば、小さなレストランの唯一のシェフが感染したとする。彼の給料は申請すれば政府からの補助が出るから問題がないとしても、彼が休んでいる間、この店はどうやって営業すればいいのだろう。店が営業できなければ、シェフ以外の従業員の給料も払えないし、店舗の賃貸料も維持費も払えない。

スモールビジネスとその従業員たちのため息が聞こえてくるような気がした。

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