シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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米国の失敗に向き合う

今日の地元新聞のニュースで読んだ数字は、改めて米国のコロナ対策の失敗を再認識させるものだった。

世界での感染者累計は9千7百万人だが、そのうち2千4百万人は米国の感染だ。つまり4人に1人は米国の感染者ということになる。米国の人口は世界人口の5%にも達していないというのに、感染者の25%近くが米国人だということになる

また、米国の4倍の人口を持つインドの累計感染数は米国の約半分だ。米国に継ぎ世界で2番目に感染者数の多いブラジルの人口は米国の3分の2だが、米国の死者数はブラジルの死者数の約2倍である。

とにかく米国だけが世界から突出して、COVIDにやられ続けているのだ。米国のウィルス対策は大失敗の連続だ。国としてのリーダーシップを取らなかったこととウィルスを軽視していた前政権が世間に発表し続けた「大丈夫、もうすぐ終わる」という情報により、必要な対策が行われなかっただけではなく、命に関わる健康問題が高度に政治化されてしまい、世論を分裂させてしまった。

なにしろ、ついこの間までは、世界と比べて相当に失敗しているという事実も公式には否定されていたのである。政権が変わり新政権が、悲惨な現状をとうとう公式に表明した今でも、その発表は嘘っぱちであると思っている人が相当いるというのだから、治るものも治らない。もう、本当に頭が痛い。

そんなわけで、相変わらず米国国内ではマスク要というサインを無視して買い物やら旅行やらをする人がいたりする呑気な光景がみれる土地がまだまだたくさんある。米国に世界一感染者がいても、死者数が多くても、驚くことは何もないのだ。それだけウィルスを軽視しているのだから、ただの当然な結果であるだけだ。

米国エピデミック当初から厳しい規制をはって他の州に比べると感染をうまく制御してきたカリフォルニアも、11月末から米国で最多の感染者を連続して叩き出す感染の大波に囚われてしまった。しかし、この現状でも、データをよくよく見てみると、米国一の人口を持つこの州は、人口比による感染者数は50州中23位であり、死者に至っては39位だそうだ。これは一重に州政府と郡当局のリーダシップによる拡大防止のための規制のおかげに他ならない。一方で、規制にはそれなりのコストがかかる。カリフォルニアの現在の失業率は、全国平均の6.7%に比べると相当高い9%である。

カリフォルニアの規制の厳しさの例をとると、シリコンバレーがホームのアイスホッケーチームであるサンノゼシャークスのホームゲームは、今現在のシリコンバレーの規制では開催できない。ということで、なんとホームゲームであるにもかかわらず、チームは、ホームでもなんでもないアリゾナ州のリンクを借りてゲームを開催することになったそうだ。ちなみに、アリゾナ州は累計どころか、今この瞬間でもカリフォルニア州よりも人口比あたりの感染者も感染率も陽性率も高い。それでも、アリゾナ州では普通にアイスホッケーゲームを開催できる程度の規制なのである。私はアイスホッケーには興味がないけれど、もし立場的に規制反対の人がホッケーファンだったら、相当な怒りを持ち反発するだろう。

この状況にカリフォルニアはどう耐えていくのか。また、新政権はどうやって感染の制御を取り戻すのか。これから数ヶ月はまだ苦しい期間が続く。

新大統領は会見で、厳しい先見をのべた。状況がよくなる前に、さらに悪くなることを覚悟しなくてはならない。米国人全てにワクチンが行き渡るには8ヶ月かかる。などなど、なかなかに厳しい現実を率直に告げた。どんなに憂鬱な現実でも、これまで「もうすぐ奇跡のようによくなる」とだけ伝えられてきた米国人には必要な認識だ。この認識を共有して、感染防止の努力は必要なのだと思い直してもらわなくてはならない。

新政権の約束は、良い事実も悪い事実も、必ず真実を国民に伝えるというものだ。辛い現実を目の前にして、米国民がどこまで信じることができるのか。陰謀による嘘っぱちだと辛い現実から逃げ出すことはないのか。残念ながらまだまだ不透明なところだ。

ところで、シリコンバレーが所属する領域の残りのICUベッドが、つい最近まで6%あたりをウロウロしていていたのに23%まで上がっていた。新規感染者数も陽性率も大きく下がってきている。どうやら、クリスマスーニューイヤーホリデーの影響下の大波を乗り越えたらしい。もうすぐ規制が少し緩まるかもしれない。

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