シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン配布の新計画

暴徒による連邦議会の選挙に揺れた水曜日の翌日、ニュースは暴動の話題で持ちきりだったわけだが、その影では米国のウィルス感染による死亡者がその日だけで4000人を超えるという最新記録を出していた。

米国の感染はほぼ毎週新記録の連続で、どこまでいけば天井をつくのか予想がつかない。たとえ天井をついたところで、そこから下がってくるのには相当の時間がかかるので、大量の感染者と死亡者を横ばい状態で出し続けるという事実が待っている。いまや米国のあらゆる地域で医療崩壊は常に目と鼻の先だ。ギリギリのラインにいる地域がほとんどである。

少し前から一日の感染者数が横ばいになっているカリフォルニアは、感染者数を追いかけるように死亡者の数が上昇を始め、今日1日だけで州の死亡者合計は600人超えの記録を出した。感染拡大が最もひどいといわれているロサンゼルスでは8分に1人がウィルスにより亡くなっている計算だという。今や遺体を安置する場所が足りずに冷凍トレーラーがその役割を担っている。

カリフォルニアの一日の感染者数は12月20日前後からほぼ横ばいだ。先週になって少し上がったがクリスマスやニューイヤーの影響で更に大きな波に飲まれるのを懸念していたので、思っていたほどではない。クリスマスから2週間たった今、この程度の波の揺れですむのならば、少しだけほっとする。いや、まだ安心はできないのだけれど。この結論は、さらにもう一週間のデータの動きをみてから出したほうがいいだろう。

一方、ワクチン接種の方はどうなっているのかといえば、当初の計画よりもだいぶ遅れて接種が進んでいることが話題になっている。が、いかんせんクリスマスとニューイヤーがあった時期なので、ワクチンの分配状況を評価するには未だ時期尚早なのではないかという意見も多い。さらに2週間ほど様子を見て、それでも当初の計画通りに接種が進まないようならば、抜本的な改革が必要になるかもしれない。現時点では、シリコンバレーのあるサンタクララ郡を含め多くの郡が、今月中には計画にほぼ近い接種体制を実現できるのではないかと報告している。

接種体制が確立されてきているとなると、問題は政府から配られてくるワクチンの数である。今日、バイデン次期大統領が発表したところによると、現在の政権はワクチンの半分を2回目の接種の確保のためにプールしているそうなのだが、彼の新政権ではあるだけのワクチンをすべて分配する方式に変える計画なのだそうだ。では、3週間または4週間後に打たなくてはいけない2日目の接種のワクチンは確保できるのか?彼の計画によると、その3週間または4週間の間に新しいワクチンが納品されるはずなので問題がないようだ。現在の米国の感染が拡大し続ける状況において、ワクチンを冷凍庫に眠らせておくのではなく、可能な限り配布し接種規模を早めたいということらしい。

これはなかなか大胆でリスクの高い計画だ。もちろん、彼の周りの沢山の優秀なブレインたちが正確な情報と計算を元に計画をたてたのだと思うので、計画そのものが実行可能であることを疑っているわけではない。たぶん、データ上は2回目の接種用のワクチンは間に合うのだろう。ただし、それは予想外の事故が起こらないことが前提だ。たとえば、ワクチンの製造過程に何らかの問題が生じたり、輸送中になんらかの事故が起こるという予想外のリスクにどこまで対応できているのかはわからない。そのリスクをとってもなお、より多くの人に一回目の接種を促そうという一種の賭けなのだ。

新政権がこの賭けに勝つことを願うばかりだが、新政権がやるのはこれだけではない。1月20日の発足して最初にやることはマスク使用の規制化ではないかと言われている。すでにマスク無しでは外に出ていない我々には大歓迎の新規則だが、現時点でもマスク反対運動をしている人々や、それこそ水曜日に国会に乱入したマスクをしていない暴徒たちにとっては、まさに負けを強制認定させられる我慢のならない規則となる。再び社会が揺れるのはたぶん必須だ。

いったいいつになったら怒りを叫ぶ人々の心に平穏がやってくるんだろう。それはたぶん、秋になってワクチンの接種が広まり感染が収まってからも、やってこないものなのだろう。彼らは別にCOVIDが生み出したわけではない、ただ、パンデミックやロックダウンによる規制や経済停滞、そして現大統領の分断を促す政策が、彼らのくすぶっていた怒りに油を注いだだけだ。彼らはずーっと怒りを抱えていたし、これからも抱え続けるのだろう。

その怒りは、米国の生き馬の目を抜くような経済発展の恩恵を受けずに、マテリアリズムを煽られて焦燥し続ける米国に確かに存在する一部を構成していて、うず高く積み上げられ続ける彼らの不満感を解消しない限り、いつでも簡単に燃え上がる。

人種も家庭環境も背景も文化も国籍すら違う人々が集まって構成されている国が持つダイナミズムの良い部分と悪い部分のうち、悪い部分が目立ち続けているパンデミックと政権交代の混乱である。

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