シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン貯蔵用冷凍庫が壊れた!

シリコンバレーの北、メンドシーノ郡の病院でちょっとした事件が発生した。この病院はModernaのワクチンを冷凍庫に保管していたのだが、その冷凍庫が故障していたのだ。

病院のスタッフが冷凍庫の故障にきづいた時には、ワクチンの室温での貯蔵寿命12時間のうち、2.5時間を残すのみとなっていた。2.5時間以内に接種してしまわなくてはいけないワクチンの数は850ショット。

これは大変とばかりに、病院は郡の衛生局に200回分を送り、郡当局は保安官や刑務官を含むエッセンシャルワーカーに急遽接種、ついでに受刑者にも接種した。ここで、受刑者?っと思う人もいるかもしれないが、カリフォルニアの大きなクラスタは介護施設と刑務所で発生していることを考えれば妥当な判断だったと思う。

また80回分は介護施設に送り急遽接種が行われた。残りはSNSで接種を希望する医療従事者を募集し、接種場所に来た順に接種したという。最後に、従業員に接種場所に来た順に誰でも接種できると伝達することですべてを接種完了したらしい。病院はスタッフやパートナーエージェンシー宛てに大量のテキストメッセージを送り、ワクチンの接種場所にすぐに来るようにお願いしたらしいが、接種場所に現れた多くの人は、テキストを読んだのではなく口伝えで話を聞いた人たちだった。人の伝達能力はいまだにテキストメッセージよりも速いらしい。

とにかく、2.5時間という短い間によくがんばりましたといったところだが、この事件により、ワクチンの認可前から懸念されていたワクチンの冷凍保存管理の大変さが現実のものとなっていることがわかる。とにかく解凍したワクチンは時間内に接種されなくてはならない。別の場所の別のニュースでは、接種会場に接種予定だった医療従事者が現れなかったために、余ってしまった解凍済みワクチンをその場に居合わせた一般人に希望を聞いて接種したという話もあった。

まあ、誰が接種しようが、無駄になるくらいなら接種したほうがいい。もちろん優先順位を守るのは大切だけれど、今回ような事件がおこれば、ワクチンが使えなくなる前に誰かに接種させるのは妥当な判断だ。こういうときの柔軟さや自由さや機動力には米国らしさがある。

この件で偶然、順番をスキップして第一回接種をした人たちは、必然的に4週間以内に第二回目の接種をしなければならないので、決して忘れないように。そういえば、このタイミング管理はどうなっているのだろう。第一回目の接種をした人には、第二回を受けられるタイミングで病院からテキストメッセージが送られきたりするのだろうか。今後、どういうしくみになるかわからないけれど、興味深い。また、このワクチン、接種証明書がでるので、飛行機に乗るのに提示しなくてはならなくなるかもしれないという話も出てきている。

さて、カリフォルニアの感染者数は相変わらず恐ろしい数なのだが、特にロサンゼルス郡はICUもなければ、病院のベッドもない状態が続いている。このため、今日はハリウッドの撮影にも一時停止するようにという推奨が入ったらしい。ハリウッドの撮影ではCOVIDの感染拡大防止処置は十分に取られているといわれているが、たとえCOVIDに感染しなくても撮影には危険やケガがつきものだ。スタントがけがをして救急車を呼んでも、救急車が遅れたり、受け入れてくれる病院が見つからなかったら大変なことである。そんなこんなで、ただでさえ厳しいエンターテイメント業界は今後数週間さらに息をひそめた生活になりそうだ。グラミー賞の授賞式も3月に延期になったと今日発表された。

救急車事情は、医療崩壊一歩手前のロサンゼルスでは相当ひっ迫していて、救急車に乗った状態で病院に受け入れてもらうまで7時間も待たなくてはいけないケースがでたりしている。現在、息をしていない患者は病院に連れてこないようにと救急隊員は申し送りされている。また、血中酸素が90%以下になるまで酸素補給を行わないようにとも決められている。病院のベッドも人も、補給酸素まで足りていないからである。すでに医療崩壊は始まっていると考えてもいいのかもしれない。

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