シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ここまで待ったのだからもうちょっと待てる

昨日はワクチンに関するちょっとポジティブな記事について書いてみたのだが、もちろん現場レベルでワクチンの接種が混乱をきたしている記事を読んでいないわけではない。とりあえず、広い視点からポジティブになって、この戦いには必ず出口があり、出口は見えてきていることを書いておくのは意味があると思ったからだ。

実際のところ、カリフォルニアの現場レベルでは、ワクチン接種は未だ混乱が続いている。そもそも、州政府が65歳以上の住民に接種を促すような発表をしたのが、混乱の一つの原因だ。なぜなら、現時点では人口の多い郡には、その条件を満たすだけの十分なワクチンが配布されていない。そこで、郡当局は75歳以上の住民だけが、現在の接種対象だと繰り返し通達しているのだが、州政府と郡当局の言うことが違えば、住民が混乱するのも無理はない。

というわけで、問い合わせや接種の予約のための電話があちらこちらに殺到し、大きな病院システムの1つであるカイザーでは電話システムがパンクして、電話がかからない状態になった。こんなときに命に関わる容態を電話で問い合わせようとしている人がいたら大変である。

今日、カイザーは正式に75歳以上および医療関係者のみ現在接種可能であることを再確認し、75歳以上のカイザーのメンバーには、病院の方から電話をするので、病院に電話をかけないで待つようにというお知らせをだした。そして、それ以外人たちには、オンラインの情報ページをみて自分のカテゴリが来るまで待機するようにとのことだ。

カイザーのような病院ではない、郡の接種会場でも混乱は起きている。なぜか74歳以下の人でもオンライン予約ができてしまったりしたようで、接種会場まで行き長く待たされたのに、結局は年齢制限で接種してもらえなかった住民がインタビューを受けているというニュースもあった。

とにかく、混乱と不安と不満の中でワクチンの接種は進んでいる。

また、今日はModernaのワクチンの一部のバッチで、通常よりも高い確率でアレルギー反応を起こしているらしいというデータが南カリフォルニアから北上してきたために、そのバッチのワクチンの接種は一時的に停止されることになった。ただでさえワクチンが足りないところに、このような予期できない痛手が加わったりもしているする。

その上、こういうときに踊りまくるSNSの噂が再び暗躍中だ。ワクチンに関する様々な噂が飛び交っているのだが、中でも接種会場が閉まる直前にすでに解凍してしまったワクチンが余っていると、その場にいる人の誰でも接種してもらえるらしいという噂は相当広く出回っている。実はこの噂はデマではない。実際にそういう体験をした人がいるのである。そのため、どこに何時頃いけばいいのかという情報がSNSで飛び交っており、裏技で順番をスキップできるのかと、沢山の人が情報を求めてSNSで乱舞状態だ。この幸運にありつくために、一日中接種会場の外に立って待ち続ける人もいるらしい。

現時点で75歳未満の住民にワクチンを接種することはないと、サンタクララ郡は明言している。が、解凍した後、有効期限が残り1時間となったワクチンを接種者が現れなかったからといって捨てるわけにはいかない。貴重なワクチンを捨てたとなれば、それはそれで大問題だ。しかし、同時に接種資格のない人に、偶然そこにいたからという理由だけで接種すると、今度はその情報がSNSで踊ってしまい、批判や不平の元になる。いったいどうしたらいいんだろう。

もちろん、様々な解決法が提示されている。たとえば接種資格のある人達の後日の予約リストを使って電話をかけ、すぐに来て残ったワクチンを接種するように促すなど、いろいろな工夫はしているはずだ。だからといって、その解決策が必ずしもすべて実るというわけでもない。

それにしても、順番をスキップして幸運を掴みたい人たちというのはどういう人達なのだろう。多くは持病ももっているがために高い感染リスクに怯えざる得ない人々、また、未だ接種対象ではない食料品店の店員のようなエッシェンシャルワーカーなどだと思われる。これは気持ちがわからなくもない。が、たまにまったくそうでなく、元気で比較的若い人たちの中にも、このような接種のチャンスを狙っている者がいるらしい。

なぜなんだろう。ワクチンを接種しても、マスクなしの生活も、ソーシャルディスタンスなしの生活もすぐには戻ってこない。社会全体に安定した集団免疫が広がるまでは、先に接種しようが後で接種しようがたいして変わりはないのだ。

持病を持っていたり、食料品店など沢山の人達に触れて働いていたりする、リスクの高い人たちが1日でも早くワクチンの接種をうけたいと、幸運を求めて接種会場に足を運ぶ気持ちはわかる。しかし、健康で若く通常リスクしか持たない人たちが、それをやるのは、さすがに自分勝手なのでやめてほしい。

ワクチンも規制緩和も、ここまで待ったのだから、もうちょっと待てると思う。健康で若い人達は、幸運なワクチンを探す放浪の旅などにはでずに、むしろリスクの高い人達にワクチンを譲るためにも、順番が来るまで慌てず騒がずのんびり家で待ってあげてほしい。

出口は遠いけれどもちゃんと見えている。

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