シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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救急室でのクラスタ

書くのに気が進まないニュースなのでよっぽど書かないでおこうかと思ったのだけれど、シリコンバレー視線でのパンデミックについて書いているからには、やっぱり触れておこうかなと思う。

数日前にニュースになったサンノゼの病院でのクラスタで感染した44人の医療従事者のうち1人が亡くなった。心からお悔やみを申し上げたい。

サンノゼはシリコンバレーの中心となる市であり、土地の広さも人口の多さも半端ないため、市内に複数の総合病院を持っているのだが、その中の1つの病院の救急用施設でクリスマスの日にクラスタが発生した。

未だに調査中ではあるが、クリスマスの日、ファンを使って内部に空気を送り込んで膨らますスタイルのクリスマスツリーのコスチュームを着たスタッフがいたらしい。このスタッフは当時感染症状はなかったし、単純に救急室の空気を元気づけようとしてコスチュームを着たという。そこには無邪気な親切心しかなかったことだろう。

病院の調査によれば、このコスチュームがウィルスを含む空気を部屋に拡散させることになり、それによってクラスタが発生したのではないかと考えているようだ。それが本当ならば、コスチュームを着たスタッフは今、悔やんでも悔やみきれず眠れない日々を送っているのではないかと思う。44人という中型のクラスタを形成しただけならまだしも、死者が出てしまったのは本当につらい

しかし、病院のスタックの匿名の報告によると、この病院の救急室の感染防止体制は十分でなかったため、クラスタの原因がコスチュームだと決めつけることができないと、息を荒くして語っていた。ボイスチェンジャー越しの証言曰く、その病院の体制ではほかの原因でもクラスタが起こってもおかしくなかった。そこを踏まえると、コスチュームを着たスタッフは「生贄の羊」になったようなものだそうだ。匿名のスタッフは、病院側はスタッフを十分守っていないと抗議の声を上げていた。

はたして、病院側の主張が正しいのか、スタッフの主張が正しいのかは、現時点ではわからないが、曲げようのない事実もある。病院内で大きなクラスタが発生したということだ。

今、救急室でクラスタが発生したという情報は歓迎されるべきではない。なぜなら、多くの人々がすでにウィルス感染を恐れて、救急手当てが必要ななんらかの症状があっても病院に行くのを避けてい傾向があるからだ。これはウィルス感染に限らない。心臓発作や脳梗塞など一時を争う症状の人々が救急室を信用できずに病院に行くのを躊躇すれば、その分、助かる命を犠牲にすることになるかもしれない。そんな折、サンノゼ有数の大病院の救急室でクラスタが発生した言うニュースは、病院の信頼性の低下という事態に拍車をかけてしまう。

今後は、コスチュームの使用を禁止したのはもちろんだが、さらに気を付けて救急室を管理してほしいし、患者はもちろんのこと、スタッフが安心して働けるようにしてほしいと思う。

同時に、少しでも早く医療従事者のワクチン接種が完了することを願うばかりだ。ちなみに、今回のクラスタの中にはすでにワクチンの第一回接種を終えたスタッフもいたそうだ。このワクチンを一回接種しただけでは50%の確率でしか免疫が確立されないという調査結果が出ているし、そもそも接種後いつから免疫が確立されるのかもはっきりとはわかっていない。よって、ワクチンを一回接種しただけでは、心理的には感染しない気分になるが、身体的には接種していない人とほぼ同等のリスクがあると考えてよい。

ワクチンを接種するときに覚えておいたほうが良い知識だ。

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