シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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米国の介護施設でなにが起こってるんだろう

今回のパンデミックで分かったことがある。老後は米国で暮らせない。

実はパンデミックの前からも思っていたことなのだが、とにかく米国の介護にかかる費用というのはあり得ないほど高い。日本のような公共の介護保険は存在していないので、介護が必要になったら格安で様々なサービスを受けることができたり、介護施設へ入居できたりすることはない。介護施設は、米国ではロングタームケアと呼ばれる施設なのだが、その使用料金は非常に高額で、働いているころから自分で民間の保険を買って準備している人でなければ、数か月入っただけで破産してしまってもおかしくない。

それに加えて、今回のパンデミックでのロングタームケア施設の状況が悲惨なのだ。

まず数字の話をしよう。米国で85歳以上の人がCOVIDでなくなる確率は20代の人よりも630倍も高い。630倍である。現在の米国のCOVIDによる死亡者の実に95%は50歳以上だ。そして、その死亡事例の実に40%がロングタームケア施設で発生しているのである。

ロングタームケア施設では、介護者をはじめ、様々な業者が出入りをする。共有ルームのでの食事やアクティビティなどもある。そもそも介護作業はソーシャルディスタンスを保つことが難しいものがほとんどだ。たしかに感染拡大のリスクは高い。

そこで、介護者には必然的に感染拡大防護用の様々なマテリアルが必要となるわけだが、これが十分に供給されていない。そんなこんなで、パンデミックの初期には米国のロングタームケア施設で次々とクラスタが発生して、一つの施設で何十人という感染者と死者をだしていた。死者に対応しきれず、冷凍トラックを一時保管所にしなくてはならなかった施設まで出たのだ。

このようは初期の状況を踏まえ、現在これらの施設は、外部の人間を立ち入り禁止にしたり、共有ルームでの食事やアクティビティを禁止にしたりすることで、感染から施設全体を守ろうとしているの。これにより、入居者たちは自分の部屋で孤立し、友人にも知り合いにも家族にも会えずに暮らす毎日となっている。施設によっては、窓越しやビニールの壁越しやネットワーク越しの面会が行われているところもあるが、多くの入居者はそのような方法では十分に必要なコミュニケーションがとれずに、心身の衰えに拍車がかかっているといわれている。

このような対策をしているにもかかわらず、ロングタームケア施設のクラスタは完全に収まらず、未だに米国のあちらこちらで発生しているのだ。高い入居費や保険料を払い、孤立しないですむ安心安全な老後の暮らしを求めた人々が、今最も寂しく最も危険な状況におかれている。

ここで、どうしても比較してしまうのは、日本の状況である。日本のほうが割合的にははるかに介護施設は多いと思うのだが、ネットのニュースをみている限り、介護施設で大型クラスタが発生し、たくさんの人が亡くなったというニュースを読んだことがない。たぶん多少はあるのかもしれないが、大きなニュースになるほど、米国のようにあ死亡者全体の40%が介護施設で死亡したなどという状況ではないだろう。

日本の介護施設も、施設外からの面会は止めていると思うが、それだけでウィルスを食い止められているのだとしたら、いったい米国のロングタームケア施設では、なにが起こっているんだろうかと、心から疑問に思うしちょっと怖い。

何が実際の問題なのかはわからない。わからないのだけれど、少なくとも高額の保険料を払って、最も死に近い位置に追いやられてしまう米国のロングタームケアに入るのはごめんだと深く強く心に誓うことになった

やっぱり老後は日本に帰ろう。

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