シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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カリフォルニアが劣等生から優等生に

米国の冬の感染大拡大は本当に深刻だった。特に、ここカリフォルニアは秋まで抑えてこんできた感染対策の防護壁が、ホリデーシーズンによって一気に決壊、人口10万人あたりの計上でも米国の50州の中で最悪の感染者数と死者数を連続して記録した。12月末から1月末にかけてのピーク時には一日の新規感染者数が4万人、死者数が500人を記録している。人口10万人あたり100人近い新規感染者を記録していた。

そして、2月の後半から急激に下がり始めた感染者数はそのまま下がり続け、2ヶ月後の4月後半、なんと今度は全米の50州の中で最も感染が抑えられている州、人口10万人あたり最も感染者が少ない州となった。現在、一日の新規感染者数が2300人、死者数が68人を記録しており、人口10万人あたりに計算すると、たった5.8人の新規感染者である。

この劇的な変化の要因は何なのだろうか。

12月から1月の最悪の状態の原因はホリデーだった。秋に感染を抑え込んでいたカリフォルニア民は、COVIDを少し甘くみて油断をしていた。ホリデーシーズンぐらい家族を訪ねたり、友人とパーティをしてもいいのではないかと気を抜いていたところをつけこまれ、感染があっという間に広がったわけだ。

この間、特にロサンゼルスを中心とする南カリフォルニアでは病院に患者が溢れ、救急車が患者を病院に搬送できずにたらい回しになるという、医療崩壊寸前の自体が発生し、これを目の当たりにしたカリフォルニア民たちはさすがに恐れを抱いた。この頃からより沢山の人々が感染対策のマスクの着用やソーシャルディスタンスの維持を守るようになったと言われている。ちょうど、政権が交代した頃で、マスク着用の政治論争がようやく下火になったのも影響しているかもしれない。このような市民の意識の変化が現在の優等生状態の要因の一つだといわれている。

しかし、もちろんそれだけではない。ワクチンの接種に対する積極的な態度も関係があると言われている。多くの人が先を争ってワクチンの接種予約をするという、非常に積極的な接種努力により、カリフォルニアのワクチン接種回数は順調に伸びている。シリコンバレーが位置するサンタクララ郡では、18才以上の大人の65%以上がすでに1回目の接種が済んでいるそうだ。この日記にも何度も登場している、サンタクララ郡の感染防止対策の旗振りをしてきたサラ・コーディ博士は、この現状に非常に誇りを感じていると発表している。彼女が冬の拡大を食い止められない状況下で、市民に公開するウェビナー中に思わず涙したのは記憶に新しい。コーディ博士には本当に大変な一年だった。

州政府や郡政府も春の感染縮小をうけて、徐々に規制を緩和しているものの、ほかのいくつかの州政府が犯しているミスは犯していない。つまり、マスクの着用規制を撤廃したり、全規制を突然緩和したりというような、経済再開を焦るが故のやってはいけない政策に飛びついたりしていない。カリフォルニアは未だにちゃんとマスク着用州だ。

もしこれらだけが要因ならば、カリフォルニアを優等生にしたのはカリフォルニア民の意識の改善なのではとも思えるが、実はこれだけではない。カリフォルニアが優等生になった背景には実はもう一つ重要なファクタがあると言われている。

冬の感染拡大があまりにも大きかったために、非常に多くの人がすでにCOVIDに感染したのではないかといわれているのだ。その多くは無症状患者であった可能性も高く、しらずしらずのうちにカリフォルニアにはCOVIDに対し免疫を持つ人が増えていたところに、ワクチンの接種が始まった。つまり、実際免疫を持っている人は、ワクチンの接種者をはるかに超えているのではないかと言われている。

この説を後押ししているのは、ロサンゼルスの現在の状況である。ロサンゼルスはパンデミックが始まって以来、ついこの間までほぼ常にカリフォルニアの中でも最悪の感染状態、エピセンターだった。特に冬の拡大時は医療崩壊が起こるほどであったのだが、そのロサンゼルスは今、カリフォルニア州のなかでも非常に感染者が少ない優等郡となっている。

これは、ロサンゼルスの人々が突然意識をかえたために改善されたと考えるよりも、あれだけの感染者がでたのだから、それだけ免疫が確立された市民が増えてたのだろうと考えたほうが説得力がある。一節ではワクチンの接種前でも市民の50%ぐらいは免疫が確立されていたのではといもいわれている。

どちらにしても、感染者が激減し、かつ、低レベルに抑えられ続けているということは歓迎すべきことだ。どうやら、とうとうカリフォルニアに春がやってくるらしい。今後の変異株の推移や感染再拡大にも引き続き注意が必要だが、今は素直にカリフォルニアの現状を誇りに思ってもよいと思う。

同時に、これまで犠牲になったたくさんの方たちに哀悼の意をささげたい。

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