シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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超低温フリーザーを貸し出したのは…

pfizer につづき Modelna のワクチンの緊急使用が認可され、米国ではワクチンの分配と接種が進んでいる。連邦政府の目標は12月末までに2000万人への接種だったが、現在のレポートでは200万人への接種が完了しているらしい。

桁が違うじゃないかと焦る人もいるだろうが、実際にはワクチンの分配はしっかり進んでいるようなので、接種に必要な手続きや接種後の報告プロセスなどに時間がかかっているからだと考えられている。特に正確なレポートにはそれなりの時間がかかるものなので、実際には200万人よりもはるかに多い人数の接種が完了しているのではないかと考えられている。

さて、カリフォルニアでの現在ワクチンの接種対象は、ウィルスと最前線で向かいあっている医療関係者である。彼らの接種が完了した次の接種グループは、75歳以上の人とエッセンシャルワーカー(教師、保育士、農家、食料品品の店員)だそうだ。そして、彼らの次のグループが、16歳から65歳までの基本疾患を持つリスクの高い人々である。

この家の人間は健康そのものなので、ワクチンの接種はたぶん一番最後のグループになるだろうということで、その後のグループまで調べていない。時期が近づいたら調べようと思っているが、まだ半年ぐらい先のような気がする。

さて、随分前に「超低温で分配するにはどうする?」書いてように、pfizer は摂氏マイナス70度、Modelnaは摂氏マイナス20度の保存環境が必要となる。マイナス20度程度であれば通常の冷凍庫でも保存可能な温度なのだが、マイナス70度となるとドライアイスと一緒に密閉するか、科学や医学で使うような特別な冷凍庫が必要になる。運搬時は連邦政府や州政府に温度管理を任せられるとしても、受け取った側の病院の接種にいたるまでの保管体制が問題である。

特に地方の唯一の総合病院のような立ち位置にある病院は、その地方の人々のワクチンを保管する必要があるのだが、そのような地方病院に特別な冷凍庫があることはあまり期待できない。新しく購入するとなると何万ドルもするものなので、簡単に用意できるものでもない。そこで、多くの地方の病院はなんとかドライアイスで乗り切ろうとしていると思うのだが、ドライアイスと温度を管理する手間や人員のことも考えなくてならない。

さて、カリフォルニアの地方にサリナスという小さな田舎町があって、スタインベックの小説に出てくるのでちょっとばかり名は知れているのだが人口は少なく、まさしく今説明した状況であった。12月17日には最初のpfizerのワクチンが来るということで、とりあえずドライアイスで対応しよう奔走していた彼らに朗報が舞い込んだ。

サリナスの海側にはモントレーという有名な観光地がある。ここにあるモントレー水族館は米国でも有数の水族館なのだが、そこには生物学的または獣医学的サンプルを保存しておくために超低温フリーザーが設置されている。2018年、新しいプロジェクトのために新しい超低温フリーザーを買い足したばかりの水族館は、新しいフリーザーに水族館のすべてのサンプルを保管できるため、予備となっていた超低温フリーザーをサリナスの病院に貸し出すことを申し出たのだ。

サリナスの病院にとっては願ってもない話で、早速、水族館のマークのついたフリーザーが隣町の病院に運搬、設置されたのが12月11日、まさしく最初のワクチンが届く数日前に準備が完了し、病院に届いたワクチンは無事水族館マークのついたフリーザーに収まることとなった。

なんとも思いがけない経緯で水族館が病院を助けることになったのだが、暗いニュースが多いなか、明るい気分になるニュースだった。ちなみに、モントレーの水族館は特にクラゲとラッコで特に有名なのだが、今はお客さんのいない水族館で彼らは静かに暮らしていると思う。

ところで、モントレー水族館は映像が美しいライブビューがあるので、メディテーションにおすすめだ。https://www.montereybayaquarium.org/animals/live-cams

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