シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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追加の経済対策がやっと合意

米国のパンデミックに対する追加経済対策の合意がようやくまとまった。私は政治に詳しくないので、いったいなにがどうしてこれだけ揉めてたのかよくわからないけれど揉めてた期間は知っている。7月末からだ。7月末に失業保険に毎月上乗せされていた600ドルが資金切れでなくなって、今後の生活をどうしようかと不安にかられる市民の記事を読んでいたのでよく覚えている。そのときは、そのうち追加予算が出るだろうぐらいに思っていたのだが、なんと遅れに遅れて、5ヶ月近くも遅れてやっと合意にたどり着いたみたいだ。

その間、つなぎの経済対策はとられていなかったので、沢山の失業者やスモールビジネスの所有者は相当に不安で苦しい期間だったと思う。今回の追加予算は3月の最初のものよりもだいぶ小さいが、それでもないよりはましだ。

5ヶ月近くも揉め続け、まったく出口が見えていなかった交渉が突然軌道に乗ったのは、迫りくる感染拡大の大波により経済活動を鈍化せざる得なくなった米国経済の現状を踏まえて、与野党両派が参加した超党派が新しい提案することにより、与野党が歩み寄ってそれを受け入れ合意した形である。

主な内容は、一人600ドルの一時給付金、失業保険への毎月上乗せ300ドル、追加のスモールビジネス救済ローン、学校などへの救済金などがあげられる。規模としては前回の半分ぐらいだ。

個人的に気になるのは、スモールビジネス救済ローンである。別に自分がスモールビジネス経営者だから救済ローンに申し込もうとしているわけでない。うちの会社はあまりコロナに関係ない業界なので、申し込んでも通る可能性が低いし。それでも、気になるのは、前回の経済対策で巨額のスモールビジネス救済ローンの予算がでたときに、あっという間に資金が尽きてしまったのだが、数ヶ月後いろいろわかってきたことには、スモールビジネス救済ローンのはずなのに、相当大きな資金を持つ企業のところに、なんだかんだと結構お金が流れていたからだ。また、政治家に関わりの深いビジネスマンの所有しているプロパティを借りている企業に救済ローンが流れている例もあり、これってローン審査には、政治家が有利になるようなコネクションが働いてたんじゃないのと眉をひそめたくなるような怪しげなエピソードが多かった。

今度の救済ローンは、受け取るビジネスを明確に公表して前回のようなグレーゾーンを設けないでほしいと思う。ほんとうの意味で苦しんでいるスモールビジネスにお金を回してほしい。また、救済ローンを扱う銀行は自分の上客を最優先して、そうでない客にはローンを後回しだったという事例もあったようだが、はっきりいって銀行の上客より、そうでない客のほうが深刻に救済が必要なはずなのだ。もうすこし現状に沿った給付体制を整える必要が有るような気がする。

もう一つ個人的に興味があるのは、家賃を払えない人をの立ち退き要求から保護する政策だが、現対策ではこの保護期間は12月31日に期限切れだった。今回の経済対策では、それが1ヶ月だけのびて1月31日に期限切れとなった。これは本当に沢山の人々が家を失うのではないかと心配していた期限だったので、1月の寒空の下に外に放り出されないですむことがわかった人たちには朗報だ。なぜ1ヶ月だけ伸びたのか?それはたぶん大統領が交代するのが1月21日からだからなのではないかと思う。民主党側からみれば、今回の追加経済対策は全く現状を救済するのには足りていないそうなのだが、1月21日にバイデン氏が大統領に就任すれば、さらに追加の対策を検討するできる可能性が今より高くなる。もちろんねじれ国会が予想されているため、再び議会で揉めるのは周知の上でだが、米国の大統領には大統領令を発行する権限があるので、立ち退き要求の延長のような対策であれば、高い確率でさらに延長可能なのではないかと思われる。

ところで、この立ち退き要求からの保護対策は実に曲者で、どんなに議会で合意に至っても、実際に建物の所有者側が優秀な弁護士を立てて裁判に持ち込めば、大抵の場合立ち退きさせることができているのが現状だ。そのため、この数ヶ月で住む家を失った人が相当数いると報道されていた。この報道で腹立たしいのは、このような立ち退き裁判を起こす建物の所有者つまり大家側は、たいてい個人の不動産所有者ではなく、大規模な企業であることだ。個人の不動産所有者には、政府が決めたことを弁護士を雇って覆そうと言う人は多分それほど多くない。しかし、大規模な企業はその資金を使って優秀な弁護士を雇い裁判を起こして、家賃が払えなくなった人たちを家から追い出しているという。

確かに家賃が入ってこないのは困る。予定していたキャッシュフローがなくなれば、どんな大企業でもビジネスへの打撃は大きい。しかし、だからといって、コロナが原因で仕事を失い家賃を払えなくなった人たちを、コロナの収束がまだほど遠い今、容赦なく家から追い出すというのは人道的にもあんまりだ。感染が収まり、追い出されてしまった人たちが再び安心して自分の家で暮らせる社会がやってくるのは、いったいいつになるんだろう。

そんな心配は尽きないが、今回の経済対策が合意したのはとりあえず良かったと思う。今は100ドルでも200ドルでも必要な人達がたくさんいるのだ。なるべく早く、正当な手段で、正当な受け取り手にお金が渡ることを願ってやまない。

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