シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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パンデミックのハロウィーン(オレンジティア)

今年のハロウィーンは特別だった。何年に一回しか来ない土曜日のハロウィーンだったのだ。ハロウィーンが好きな人達は去年のハロウィーンの頃から、今年のハロウィーンを楽しみにしていたはずだ。我が家もそうだった。

我が家は何年も前からトリックオアトリートにでかけない。反対にフロントヤードをデコレーションをして、怪しい照明や音響や霧製造マシンなどを使って、トリックオアトリーターを迎えるのがもっぱらの楽しみだ。ティーンたちが数人集まって、物陰に隠れながらこわごわとやってくる子どもたちを迎えてキャンディを渡したり、大人たちがピザとビールで時間を過ごしながら、ティーンがやりすぎないように見張ったりする。それが例年の過ごし方だ。

が、パンデミックに囚われた今年のハロウィーンは、結局「Sorry No Candy」の看板を持った骸骨が寂しくフロントヤードに座ることになった。

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夕暮れ時、散歩ついでに、近所のデコレーションやトリックオアトリーターたちの様子を確認してみた。州政府や保健局はトリックオアトリートもパーティも推奨していない。それでも、土曜日のハロウィーンだ。きっと、去年の平日ハロウィーンぐらいの子どもたちは出てきてしまうのではないかなと、正直なところ思っていた。

そう思っている人も結構いたようで、美しく恐ろしくデコレーションをしてある家の中には、庭先にセフルサービスのキャンディーポットをおいてある家が多い。中には、手作りのキャンディーシューターを用意して、離れた場所からキャンディを渡せる準備をしている家まであった。同時に、我が家のように「キャンディなしでごめんね」というメッセージを掲げている家も多くあった。

しかし、実際のところ、近所を歩いているトリックオアトリーターは、ほとんどいなかったのだ。ちらっと見かけた子どもたちを全部数えても20人もいなかったような気がする。例年なら平日でも100人ぐらいがうろうろしている住宅地だというのに。おどろくほど寂しく閑散としたハロウィーンだった。

偉い!と思う。小さな子どもたちにトリックオアトリートを諦めさせるのは簡単なことではない。多くの子どもたちが一年で一番楽しみにしている行事なのだ。やらせてあげたいなと思った親は数しれなかっただろう。マスクをしてソーシャルディスタンスを保っていればできないことはなかったのだから。

それでも、多くの人々は、州政府と保健局の呼びかけに従った。子どもたちを感染させないように、そして、コミュニティに感染を広げないために。自分の住んでいる地域には、信頼できる人が多いのだなと感じた。

現在、米国では1日10万人という恐ろしい数の新規感染者が報告されている。特に、ノースダコタやサウスダコタという中央部の州では、人口10万人につき100人以上の新規感染者が報告されている。この数字は、4月に感染爆発を起こしたニューヨークよりもずっと悪い数字なのだ。実際にサウスダコタでは ICU の占有率は100%を超えてしまっている。この状態だと、下手をすれば、医療関係者は助かる見込みのある患者とない患者の取捨選択を迫られることになりかねない。

なぜそんなことになっているのだろうか。なぜなら、これらの州では未だにほとんど規制が行われていないのだ。もちろん、マスクの着用やソーシャルディスタンスの推奨はされているが、規制はされていない。レストランもバーも開いているし、パーティも普通に開かれている。そして、これらの州の州政府は、州民に選択肢を与えている方針は正しいし、今後もこの方針を変えるつもりはないそうだ。

米国は不思議だ。厳しい規制を課されても、苦しいながらもそれに従う人が多い州がある。同時に、ほとんど規制を課さずに、人々が以前とまったく同じ生活をしている州もある。同じ国とは思えないほど暮らしぶりが違う。厳しい規制を課して、感染者数を可能な限りコントロールしようとしている州もあれば、とてつもなく感染者が増え、入院患者も増え、死者も増えつつあるのに、それは個人の選択だからと規制を課さない州もある。

これが同じ国なのかと聞かれれば、もう、「そうです」とは言いがたい。

だから、米国の名称はアメリカ合衆国なんだなと改めて思う。この国は、州という名前の国が集まって、大きな軍事経済圏を作っているというのが、たぶん実際の姿なんだなと再認識する。米国に暮らしていなければ、気づくことのなかったことだ。

米国外の人たちが、米国を好きとか、嫌いとかいうことがある。私も米国外にいたときは、そういう風に語っていたと思う。今、米国内にいて、米国が好きか嫌いかと問われても答えることができない。州よってあまりにも違いすぎる。米国の一貫性のある姿というのが、いったいどれを指すのかがわからない。このとらえどころのない非一貫性と流動性が、米国が唯一一貫して持ち続ける特徴なのかもしれないなとは思う。

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