シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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今回の感染拡大が今までより深刻だといわれる理由(オレンジティア)

最初に少しだけ良いニュース。カリフォルニアで10日ほど前から急激に増えていた一日新規感染者数が少し落ち着いて横ばいしてきた。あの勢いで右肩上がりに伸び続けたらどうしようかと思っていたのでほっと息をつく。これからも伸びていくのかもしれないけれど、その勢いが一時的だとしても弱まったのは素直に喜びたい。

それと全く逆の動きをしているのが米国全体の新規感染者数だ。パンデミック開始以来の再多数記録をいとも簡単に抜き去って1日8万人、9万人、10万人という数字をだしている。確かに感染者全体に対する死亡率は下がっているが、とにかく感染者の全体数が多いので、必然的に入院患者数も増えてきた。これまでの傾向だと、この後、1、2週間すると死者数が上がってくると思われる。

米国では、これが3度めの大波になる。1つ目はロックダウン直後のニューヨーク周辺のオーバーシュートで、医療崩壊寸前状態のニューヨーク周辺の地域は感染者も多かったが、医療危機やスタッフが追いつかなかったこともあり、なにより死亡者数が多かった。悲壮な記録を残している。

2つ目の大波は、フロリダやテキサスやカリフォルニア南部など、米国のサンベルトと呼ばれる南の国境付近の地域における感染拡大だ。この感染拡大は全体としては1つ目の拡大に比べ感染者数は多かったが、医療機器やスタッフに不足しそうになると患者を移送したり、別の場所から助っ人がやってきたりしたために、ニューヨークが体験した医療崩壊のような状態は発生しなかった。これが1つ目の波に比べて2つ目の波の死亡率が劇的に低い理由の一つだと思われる。

そして、今、米国は3つ目の波に揉まれているところだが、一部の専門家には、今回の波が一番深刻だと言われている。なぜだろう?だんだん寒くなってくるし、インフルエンザも流行るからかなと思ったのだが、実際に詳しい記事を読んでみると、そんなに単純な理由ではなかった。

今回の波は残念なことに、米国で全体的に発生している。特にこれまで大規模な拡大を経験してこなかった米国の中部北部中西部などを中心に、どこもかしこも感染拡大中だ。これらの州の1日あたりの新規感染者数は、1つ目の波を体験したニューヨークのそれよりもずっと高い数字をだしている。

ちなみに、先程言ったようにカリフォルニアの感染は、これらの州に比べればずっとましで、感染が広がっている印象はあまりない。が、カリフォルニアは米国で一番人口が高い州なので1日新規感染者が3500人ぐらいでてしまう。今、最も感染が広がっているノースダコタやサウスダコタの感染者数が各州で1300人から1500人ぐらいであることを考えると、なんだカリフォルニアのほうがひどいじゃないかと考える人もいる。

しかし、人口10万人に対して新規感染者を数える方法で数え直すと、カリフォルニアの感染者数は10万人にたいして10人ぐらいなのに対して、ノースダコタやサウスダコタは130人を超えてしまう。いかにこれらの地域で感染が浸透しているかがわかると思う。

街ですれ違う人々が感染している確率が、1万人に対して1人と1万人に対して13人というのは大きな差だ。同時に、これの地域で問題なのは、人口が少なく人が暮らす各町が小さいため、すべての患者をケアできる医療機関があっという間に足りなくなる可能性が高いところだ。

これまでの大波は米国の一部の地域で発生していたため、医療器具を州間で貸し出ししたり、医療従事者が州をまたいで助っ人に言ったりすることができた。しかし、この3つ目の波では、どの州も自分たちの州の患者をケアすることでいっぱいであることが多い。また、地方の町は患者を移送しようにも、近隣の病院もいっぱいである可能性があり、患者を簡単に移送して手当してもらうことも難しい。

心配なのはこのまま、ニューヨークのような医療崩壊寸前の状態になり、生き残る可能性のある生命まで奪われるかもしれないことだ。だからこそ、ファウチ博士やビークス博士のような米国を代表する感染症の専門家が、繰り返し口を酸っぱくして、マスクの着用や手洗いやソーシャルディスタンス、そしてパーティなどのイベントの回避を呼びかけている

しかし、必死の呼びかけも今の所あまり効果がなく、感染者は増える一方だ。それもそのはずで、当の州政府が規制を発表せずに個人の判断に任せるという態度をとっているからだ。そのような州では、これだけの感染者を出しているにも関わらず、人々はパンデミック前の生活を続けているという。

このような州では、「規制をした州でも感染者は増えている」と主張する関係者も多い。しかし、カリフォルニアやニューヨークのように州政府の旗振りで厳しい規制と緩和が行われている州は、たとえ拡大していても、明らかにその速度が遅い。桁違いに遅いのだ。

しかし、どんなにファウチ博士やビークス博士や、その他のたくさんの専門家たちが、現在の危機的状況を訴え、マスクの着用や手洗いやソーシャルディスタンス、そしてパーティなどのイベントの回避などを呼びかけても、現在再戦を狙っている大統領が、マスクをせず、ソーシャルディスタンスを守らない、大規模な遊説イベントを毎日行っている現状では説得力がない。大統領はとうとう、今日、ファウチ博士を連邦政府のコロナウィルス対策委員会から解雇することを暗に示唆した。

このまま進んでいったら、米国の感染拡大状況はいったいどんな状態になっていくのだろう。数え切れないほどの患者が苦しみ、亡くなり、その遺族が嘆き続ける日々がやってくるのだろうか。

テキサスのある葬儀会社の経営者が、急激に増えたCovidによる死者の葬儀を催しているうちに今回の大統領選で投票する候補者を変えたそうだ。故人を慕う人たちが集まることもできず、家族数人だけに送られて埋葬されていく人々をみていたら、なにか自分もできることがないだろうかと考えたという。もし現職の大統領が当選したら、今の状況はワクチンが広範囲に配布するまでは変わらない。このような葬儀を少しでも少なくできるように彼女は対抗候補に投票したという。

今回の選挙は、今後の感染対策の行方を決める重大な局面となっている。そして、この国に住む者にとって強大なストレスとなっている。

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