シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ロックダウンが命を奪う(ティア2)

ウェブのニュースを見ていると、合間にいろいろな広告が入るのだが、公共広告も多く、最近多いもののひとつに「具合が悪くなったら、病院に行くのが一番安全です」というものがある。あたり前のような気がする。それも、Covidにかかったら病院に行きましょうではなくて、胸の痛みや頭痛などの異変を感じたら病院に行きましょうというものだ。

こういう広告が多いのには理由がある。

ロックダウンは、コミュニティをウィルス感染から救うために始めたものだ。規制の厳しさに多少の差はあれ、この政策は確実にコミュニティを感染拡大から救っている。シリコンバレーでは、3月中旬に厳戒なロックダウンを始めたときは急速に感染が収まったが、6月に規制を緩めすぎた途端に感染は劇的に急増した。そして8月、ロックダウンを再び厳しくすると9月には再び急速に感染が収まった。

データを見なくても住んでいれば、ロックダウンの効果は感覚でわかる。だからこそ、シリコンバレーの住人は、公共スペースでは誰もがマスクをしているし、お互いに距離を取ることも身につけてきたのだ。

しかし、医療関係者の中には、このウィルスに対して非常に効果的なロックダウンが、同時にたくさんの命を奪っているという視点を指摘する人達がいる。また政治的な話かとうんざりする人がいるかもしれないが、実はこれはまったく政治的な話ではなくて、データに裏付けされた話なのだ。

ロックダウンが始まってからというもの、病院を訪れる人が激減した。理由はもちろん、病院に行くことでウィルスに感染することを恐れるからである。それが、ただの定期検診であれば 1 年ぐらい定期検診をスキップしても、すぐに死につながることはないが、心臓麻痺や脳梗塞の初期症状を感じているのだとしたら、まさに死に直結する問題だ。そして、これが実際に発生している問題なのだ。

ある家族の例をあげてみよう。38歳の男性が胸に普段感じないような痛みを感じた。通常であればすぐに病院に行くような人であったが、ロックダウンの折、彼は病院に行くことでウィルスに感染することを恐れて躊躇した。その夜、胸の痛みは耐えきれないものとなり、妻が救急車をよんだものの、救急隊員の必死の対応も虚しく自宅でそのまま亡くなった。心筋梗塞だった。38歳の若さである。もし、痛みを感じたときに救急に行っていれば助かった可能性は高かっただろう

これは 1 つの例に過ぎず、体の不調を訴えながらも、ウィルスを恐れ病院に行くことを躊躇して、別の理由で亡くなる人の数は確実に増えているらしい。だからこそ、公共広告が、「具合が悪くなったときは、病院に行くのが一番安全です」という広告を毎日のように流すようになったのだ。

実際のところ、ロックダウンが最も厳しかった3月4月のことを思い出すと、私自身も病院に行かなくてすむように神経質になっていた。たとえば、食中毒になって病院行きになったら大変だと、食料品の賞味期限や残り物の処理に通常以上に気を使っていたし、怪我をして病院に運ばれたらまずいと、リスクの高いアクティビティを避けていた。

しかし、ロックダウンの規制が徐々に緩和される中、血液検査などの定期検診をしないほうが疾患の予兆を見逃し危険なのではないかという風潮が広がり、血液検査にも行ったし、常備薬の処方箋を受け取りにいったりもした。

実際に行ってみれば、病院はさすがに予防のための対策が厳重で、入り口でサニタイザーで手を消毒、体温のチェック、進行方向の規制、床には2メートルおきの目安のマークがあって、ここまでやっているならそれほど心配することもないなと、安心させられるものがあった。

全員予約制で、予約するときにCovidののような症状であれば、通常の医者のオフィスには訪問しないようになっている。可能であれば、医者とネットミーティングで相談したり、重症じゃない限りは病院に行くよりも検査センターに行って感染検査をうけるように促される。重症であれば当然、専用のセンターに行くように促される。そのような体制を考えれば、一般の医者のオフィスは、食料品店と同じぐらいしか危険な要素はないと思っていい。

ロックダウンの最中、病院は危険なところではなくて、安心できる場所なのだと知っているのは大事なことだ。先程の例にあげた家族のように、病院にいるかいないかも定かではないウィルスのために、いたとしても感染予防をしっかりしている病院を必要以上に恐れるが故に、病院に行っていれば助かったであろう命を失うのは、あまりにも惜しい。

というわけで、体に異変を感じたら、いろいろ迷わず、難しく考えず病院に連絡し、支持に従って救急を訪れてほしい。医療関係者は、私達よりもはるかにウィルスのことを知っているし、感染の予防方法も知っている。そしてなによりも、命を奪うかもしれない急性疾患から人の命を救う方法を知っている。

ウィルスで奪われるよりも多くの命が、急性疾患で奪われているということにならないように、適正な線引をしてパンデミックを乗り越えよう。

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