シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

良いニュースと悪いニュース(規制緩和フェーズ2・次の緩和レベルまで残り9日)

米国の各州が規制を緩和し始めたのは、だいたい5月の半ばぐらいからだったことを考えると、約4週間が過ぎようとしている。それぞれの州で規制緩和のスケジュールは違うし、緩和の程度も違うが、そろそろなんらかの結果が出てきてもいい頃だ。

そこで、感染拡大についてのニュースを読めば、良いニュースと悪いニュースが同時に目に飛び込んでくる。

まず、米国のいくつかの州では感染数が今週になって再び多くなり始めたというニュースが多い。最初はテスト数が増えたのに伴う増加かもしれないと誰もが思っていたが、ここカリフォルニアを含めいくつかの州では、どうやらそれだけで片付けることができない増加数である。やはり、人々が動くにつれて感染は確実に広がっている。

カリフォルニア州は感染拡大の可能性を考慮して病院や医療機器、医療関係者の確保をしてあるので、このペースの感染増加数であれば、好ましくはないけれども、すぐに怖がる必要はない。が、アリゾナ州ではすでに入院用ベッドや医療機器が足りなくなる可能性が検討されているほどの急激な増加がみられている。

これらの悪いニュースは、規制が緩和されたとはいえ、ウィルスが消滅したわけではないため、気を緩ませてうっかり元の生活に戻ろうとするのは危険だと伝えている。

にもかかわらず、一歩外に出ると、たくさんの人々が集っている。どう考えても同じ家族ではない人々が集合して、サッカーをしていたり、パーティをしていたりする。ティーン達も集まってあちらこちらをぶらついている。心配になる光景ではあるが、それらがアウトドアで行われているというのは救いだ。

なぜなら、良いニュースの方に目を向けるてみると、米国の多くの州の感染者数は、規制緩和の後も、実際のところは減り続けている。悪いニュースばかりに目を向けていると見逃してしまうデータなのだが、特に死者数においては米国全体においても6週間以上減り続けている。もちろん、比較点が相当高いので減り続けてくれなくては困るのだが、それにしても規制緩和の後も減り続けているというのは勇気付けられるデータだ。

専門家の見方によると、感染の威力は、思われていたよりも夏という季節に弱まるらしい。ウィルスそのものが夏だから弱まるわけではないが、人々がアウトドアで過ごすことや高い気温と湿気は思っていたよりも、感染する機会を減らしているようだ。そう考えると、夏に湿度が低く、極度に暑い地域はこの条件に不利である。あまりに暑いてと、人々はかえって屋内で過ごしてしまう。また、州によっては夏の方が湿度が低い地域もある。例えば、アリゾナやカリフォルニアのように。

多くの州で感染が思ったよりも増えないもう一つの要因と思われるのは、ロックダウン前に比べて人々が注意深くなったことだ。長いロックダウンの間に、人々は感染について多くのことを学んだ。あれは社交が大好きな米国人にとって必要な学習期間だった。その学習効果により、規制緩和の後も多くの人は公衆でマスクをするし、たくさん人を集めるようなイベントを開催していない。規制が緩和されても、ロックダウン以前の米国との生活とは違う生活パターンを保つ努力をしているために、以前のような感染爆発が起きる要因が少なくなっているのだ。

良いニュースを読むのは気持ちいい。気分が明るくなる。しかし同時に、自分自身の緊張感が緩みすぎないように、悪いニュースも読んだ方がいい。バランスは大切だ。一部とはいえ、急激に感染者が伸びている州を見れば、いつ自分たちの住んでいる場所も同じ状況に陥るかはわからない。ウィルスが消滅したかのように感じるのは非常に危険なのだ。

先日書いた過去のパンデミックでは、第二波は秋からだった。夏の間、何ヶ月間か感染が減り続け、人々はまるでウィルスはなくなったかのように感じただろう。そして、徐々に寒くなり湿度が下がり始める秋に、季節的な要因から感染が抑制されていたウィルスが一気に爆発した。

今、緊張感をなくすことのリスクを専門家と歴史が教えてくれている。良いニュースを楽しみつつも、ロックダウン中に学習した有効な武器をうっかり捨ててしまわないように人々は確認しあってほしい。

 

 

PVアクセスランキング にほんブログ村