シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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オンラインスクールの体育の授業(規制緩和フェーズ2)

シリコンバレーは現在熱波に襲われている。週末は最高気温40度を突破し、エアコンのない我が家では、まったくなにもする気になれなかった。ひたすら水を飲んで伸びていた。これが、通常の夏であれば、プールにいったりビーチにいったり、ショッピングモールや映画館にいったりして、涼をとるのは簡単なことだ。しかし、パンデミックの今、そのどれも難しい。ひたすら暑さを我慢してすごしていたが、今日になって少しづつ気温が下がり始めのが救いだ。

さて、我が家のティーンのオンラインスクールが始まって今日で4日目だ。たっぷり準備期間があった秋の新学期は、オフラインの授業が多かった春の在宅学習にくらべて、毎日70分授業を3科目、Zoom ミーティング形式で先生やクラスメイトと実際に顔を突き合わせながらすすめる形式だ。その中にはなんと体育の授業も含まれている。

オンラインスクールの体育の授業とはいったいどんなものなのか。

70分授業の半分の時間は座学だ。先生が提供する健康関係あるテーマについて、ウェブサイトをリサーチしてノートをとり提出するのが通常の流れだ。

そして残りの時間はエクササイズだ。Zoom 越しの先生の掛け声に合わせて、カメラの前で、腹筋をしたり腕立て伏せをしたりして、ドカドカバタバタしている。30分割された画面をちらりとのぞいてみると、小さな分割画面の中で30人の生徒たちがそれぞれの家でドタドタエクササイズをしているのが写っててなかなかシュールな眺めだった。

最後に、食育の一環として、その日の食事メニューを記載して提出するというので、晩御飯のメニューを聞かれたのだが、「ごぼうの肉巻き」と答えたら、ひたすら途方に暮れていた。なんて書きゃいいんだ!ちなみに、米国にはごぼうを食べる習慣はない。

それ以外の授業は、英語、数学、生物あたりは、ごく普通に Zoom で講義で進み、ときどきグループワークが導入されている。グループワークでは、先生が適当に 4、5人のグループを作り、生徒だけのグループビデオミーティングを開始させる。以前も書いたことだけれど、オンラインのミーティングでは、ミーティングを廻す人が必要だ。オンラインミーティングに慣れていない生徒ばかりのチームだと、全員がお見合い状態になりがちで、なかなか進まない。オンラインミーティングの経験が豊富な生徒がいると、その生徒がミーティングの司会をして廻してくれるので、あっというまに作業が終わってしまう。数週間後には、多くの生徒がオンラインミーティングの司会をするスキルを身につけているのだろうか、それとも一部の生徒にその役割が定着するのだろうか。ちょっと気になる。このスキルは、パンデミックによって、この世代に特に定着する新しいスキルになるかもしれない。

選択科目もある。我が家のティーンは選択科目には、劇場の裏方になるクラスを選択した。簡単に解説すると、米国の高校は、演劇やミュージカルが盛んで、構内に立派な劇場を持っていることが多く、本格的なショーを授業の一環として年に二回ほど披露する。大道具小道具衣装もすべて生徒が、授業の一環として本格的に作成するのだ。

ところがパンデミックにより、今年の春のショーはもちろん、今年の冬のショーも来年の春のショーも開催は危ぶまれている。演者の基礎練習だって、裏方の技術訓練だって、集まることができなければなにもできない。と、思っていたのだが、まったく予想を裏切って、授業は通常通りZoomで開かれ、演者たちはZoom越しに基礎練習、裏方はZoom越しにインストラクションを受けながら、技術訓練が始まることが判明した。そのために、学校側から様々な材料や道具が貸与され、生徒は自宅で各々衣装作りの練習や工作をするらしい。この独創性や柔軟性はこの国ならではだなと思う。

そんな風にハイスクールの新学期は思ったよりも順調に、特に問題なくすすんでいるのだが、何度も言っているように、これはシリコンバレーならではの幸運なのだ。この国のあちらこちらには、オンラインスクールに参加できる環境がなく、必然的におちこぼれてしまう子どもたちがいたり、オンラインスクールではなく、実際に登校するしかなく、感染の影に怯えながら暮らしている生徒たちもたくさんいるのだ。

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